閑話*日本では~奈々視点3~
閑話
「ある日さ、絨毯っていうの?ラグっていうの?が捨ててあったんだよ。ゴミ置き場に」
「なに?クレオパトラみたいにくるまれた死体が」
「だーかーら、違うって。本当はダメなんだろうけどさ、犬のゲージの中の絨毯ってすぐ汚れるんだよ。エサや水がこぼれたりで。だから、さ、まだ使えそうならもらっちゃおうかなって魔がさして、丸めてあった絨毯を開いてみたんだよ」
「あー、ゴミも持って行ったらダメって言うもんな。っていうか、殺人関係ない話じゃん、お前がゴミを窃盗したって話に変わってんじゃん」
「いや、だから、話の腰を折るなよ。開いてみたらさ、まだ全然使える綺麗なやつで、ラッキーって思ったんだけど……」
「けど?」
「ついてたんだよ。血が」
「血?見間違いじゃないのか?」
「いや、あの色は血だと思う。っていうか、まだ十分綺麗で使えるのに、落ちるような汚れなら落とさないか?捨てるなんてよっぽどだよ。あれは血……しかも、殺人事件の現場の証拠隠滅を図ったに違いないんだ」
血の跡のついた絨毯が捨ててあったというだけで殺人事件だと思うなんて、ずいぶん思い込みの激しい人だなと、奈々は思った。それで引っ越しまで考えるなんて……。
時計の針が13時4分になったところで、奈々は、すっかり氷の解けたカップを持ちあげて、残っていたコーヒーを飲み干す。
「おいおい、それだけで殺人事件があったってちょっと飛躍しすぎじゃないか?そもそも、死体がないと、殺人事件にならないんじゃなかったか?」
「そりゃ、俺だって、血の付いた絨毯を見たくらいで殺人事件だなんて思わないさ。だけど、そのゴミを出した人間の奥さんが行方不明になってるんだ」
ふっと、話を聞いていたサラリーマンが笑いを漏らす。
「そりゃ、単に奥さんに逃げられただけじゃないのか?絨毯だって、血じゃなくて、奥さんが出て行ってしまってケチャップか酒でもこぼして汚してどうにもならなくて捨てただけだろう?自分が捨てられた腹いせに、奥さんの大事にしてた絨毯を捨てただけかもしれないし」
「んー、なるほど、そう言われれば……。考えすぎ……だったかな?」
奈々がトレーを持って席を立つ。
ごみ箱にゴミを捨て、トレーをゴミ箱の上に置く。振り返ってみると、時計の針は13時10分。
今日も、親友は現れなかった。
次の休みの日にでも、家に行ってみよう。
年賀状の住所をメモして。ネットで場所を調べておかないと。
奈々視点とりあえずここで一旦おしまい。
サスペンス超?
事件解決に動くのだ!
奈々の仕事が婦警さんだと楽しいかもしれぬ。
かっこいいだろうな




