264話 ぎゅ、ぎゅ、ぎゅ
言葉が分かってるなら……ダメもとで頼んでみようか?
「ねぇ、ミノタウレスちゃん……えーっと、白い液体……あの、攻撃するときに出すやつが欲しいんだけど」
ミノタウレスちゃんが小首をかしげた。
うう、かわいい、かわいい、かわいい!
「この中に、もらえると嬉しいな……?」
鍋を差し出す。
「モフゥ?ウモ?」
ミノタウレスちゃんが前足……右手?を鍋の中にちょこんと入れた。
「うわぁ、ありがとう、ありがとう、嬉しい!」
手の先から、ちょろちょろちょろと白い液体、牛乳が出てきて鍋に溜まっていく!
「牛乳だ、牛乳だ、牛乳だ!」
もう語彙が崩壊してるのは分かっているんだけど、この喜びを表現する言葉が他に見つからない。
牛乳よ?
小学校の給食では毎日でてた牛乳よ?
つまり日本人のほぼ100%が、子供のころは牛乳とともに生きてきたのよ?
もちろん飲めない子もいたし、好きか嫌いかはそれぞれだったけど。でも、牛乳が身近にある生活をしてきたことは確かなの。
牛乳が嫌いという子だって、プリンは大好きだったりしたし。
プリンには当然牛乳が使われてたし。
牛乳が飲めないという子だって、アイスクリームが大好きだと言う子もいたし。
アイスクリームだって当然牛乳が……。
とにかく、日本人にとって、牛乳が無い生活っていうのは、醤油が無い生活と同じくらいありえないのよっ。
その牛乳が!牛乳が!
ああ、嬉しい。泣きそう。
いや、泣いている場合じゃない。
「ふわ、ありがとう、これで充分よ!」
ちょっと牛乳愛を脳内で語っている間に、一抱えもある鍋に、なみなみと牛乳が注がれていた。
「ウモフゥ、ウモフモフ、モーフゥ!」
ミノタウレスちゃんが、どんどんと自分の胸を叩いて何かを主張している。
んー、遠慮しなくていいんだモ。牛乳ならいくらでも出してあげるんだモ。……と、言っているような気がする。
あ、語尾のモは完全に私の趣味です。
「ありがとう、あの、またお願いすることがあると思うんだけど、頼んでもいいかな?」
「モフゥ!」
ドンッと、一段と強く胸を叩くミノタウレスちゃん。
うん、完全に任せてモと言ってるような気がする。
「あ、これを使った料理……えーっと、ご飯は食べられる?」
確認しておかなきゃ。
牛乳は、肉や卵とちがって、共食いには入らないと思うけれど……。それでも人間に置き換えると、母乳を飲むかと言われれば、ちょっと遠慮したい。
あ、でも粉ミルクは料理にも使えるんだよね。栄養満点なの。
コーヒーとかに入れるとちょっと鉄臭い感じがしちゃうんだけど、それこそクリームシチューなんかに入れるとあまり気にならない。
離乳食の料理にもいろいろと使えるけど、大人用でも問題ないんだよ。
てなわけで、ミノタウレスちゃんは自分が出した牛乳を使ったご飯を食べるの平気か、それともそれはちょっとと思うか確認です。
「モフ」
えーっと。
一言答えて大きく頷く。それは、食べられるってことだろうか。
「じゃぁ、できたら持ってくるね」
「モフゥ、ウモウモウモ」
尻尾がフリフリ。
か、か、かわいい。もふもふしたい。ああ、でも今は料理。
と、今の反応からすると、食べられるし、できたもの持って来たら嬉しいってことだよね。
あ。もう一つ……。
ご無沙汰!
やっと少し書き進めたので、週1くらいのペースでしばらく更新しまーす。
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