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【書籍化】ハズレポーションが醤油だったので料理することにしました【web版】  作者: 富士とまと


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310/343

番外*クロスオーバー 世界が交錯する

こういうの嫌いな人は読まないでね。

「あれは、夢だったのかな?」

 ローファスさんが夕飯に、手をつけないで首をかしげている。

 ……ローファスさんが、夕飯に手をつけずに、首をかしげている。

 大事なことなので2回言ってみた。

「あのね、夢って何?キリカしりたいのよ?」

「俺も、俺も、すげー夢なんだよな?」

 夕飯に手も付けないローファスさんを珍しがって、キリカちゃんとカーツくんがローファスさんに声をかけた。

 ……。

「あの、今日は……せっかく卵があったので、えーっと……夕飯のおかずとしてはどうかとも思ったんですが……」

 気に入らなかったのかな。

 こっちの世界じゃ、朝も昼も晩もパンだけというのも普通だったから、大丈夫かな?なんてちょっと思ったりもしたんだけれど。

 卵が今日はたくさん手に入ったので、まずはマヨネーズを作った。カーツくんが頑張ってまぜまぜしてくれた。

 ……あ、泡だて器でね、普通の。泡立て鬼じゃないやつ、ローファスさんがお土産で持ってきてくれたの。私以外の人にも使える普通のやつ。

 誰かに注文して作ってもらったみたい。……ハンノマさんじゃない人だと思う……無印だったから。

 それで、さっそくカーツ君にマヨネーズを頼んだ。

 乳化するまで根気よく混ぜてもらうのは結構大変だけれど、酢と卵と油の様子が変わっていくのは楽しかったみたい。あ、もちろん前に食べたことがあるから頑張っていたというのもあるよね。

 マヨネーズがあるならと、今日は、生野菜のサラダ。

 マヨネーズで食べたくてつい。

 それから、ゆで卵の卵サンド。

 だって、卵がある贅沢といえば、卵かけごはんがゆで卵でしょう?

 ゆで卵そのままだと塩で食べるのが定番だけれど、せっかくマヨネーズがあるので卵サンドにしました。

 それからベーコンエッグ。

 いや、だって、卵がせっかく……ぐにゅ。

 そうです。今日の夕飯メニューは、

 卵サンド、サラダ、ベーコンエッグです。

 すいません、まるで、モーニングのようなメニューです。

 だって、食べたかったんです。

 旦那なら間違いなく「こんなもの夕飯と言えないだろう!ふざけてんのか!」と怒り出すなぁとは思ったんだけれど、こっちの世界なら大丈夫かも……なんて……。

 ローファスさんが手も付けずにいるのを見て、不安がよぎる。

 あれは夢だったというのは、どういうことだろう。

 あれとは?角煮を食べた夢でも見たの?

 現実の食卓が質素でがっかりした?

 でも、ベーコンはモーニングのようなものではなくて、厚切りでどっさり。

 ステーキレベルに用意したし……。

 卵サンドの他に、ベーコンサンドも用意したし……ああ、でもやっぱり、スープも作ればよかったかな。

 今から簡単にできるスープは……。

「なんかな、ダンジョンの深窓で、扉があったんだよ」

「ダンジョンの扉?それ、隠し部屋とかの?」

 カーツ君が興奮気味にローファスさんの話を聞く。

「扉があったら、隠してないのよ?」

 キリカちゃんが冷静に話を聞いてる。

「あー、うん、どうだろうか、突然扉は現れたから、普段は隠れている、何かの条件がそれってはじめて出現する隠し扉の類だった可能性はある……」

 ローファスさんがカーツ君にもキリカちゃんにも合わせた言葉を返した。

「で、当然入ったんだろう?ローファスさん、中には何があったんだ?どんなレアアイテムが?」

「それが、罠が仕掛けられている可能性おあるからな、ゆっくり音を立てないように少し扉を開いて中を確認したんだ」

 ローファスさんが、ゆっくり、音をたてないように、そんな行動もできるんだ!

 いつもバッターんンと勢いよく扉を開いて大きな音を立てながら小屋に来るイメージが強すぎて全く想像できない。

 ……っていうか、ローファスさん、たぶん、その話、夢だと思います。

 ……夢ですよ、夢。

「するとな、嗅いだことのない香ばしいようなおいしそうな匂いが鼻を突いた」

 ん?おいしそうな匂い?

 あ、現実かもしれない……。

「ユーリに似た子供が、食べ物を運んでいる姿が見えたんだ」

 へ?

「ユーリ姉ちゃんに似た?」

 私に似てるってどういうことだろう?

「あのね、ローファスさん、ユーリお姉ちゃんのこと夢に見たの?」

 キリカちゃんの言葉を、ローファスさんが勢いよく否定する。

「ち、違うぞ、決してユーリじゃない。ユーリが俺の夢に出てきたわけじゃない。ユーリを夢に見るなんてそんな、そんなことはないぞ」

 べ、別に、私が夢に出てもいいのに、そこまでひどく否定しなくても……。

 ちょっとショックを受ける。

「似てるというのは、黒目で、黒髪で、ユーリのような雰囲気……柔らかな顔だったんだよ」

 柔らかなって、のっぺりしたってごてごて彫が深くてくどいっていう意味かな?

 だとすると……。黒目、黒髪で……もしかして、日本人っぽい人だったのかな。だったら、似てるよね。

 ただ、それだけで似てると思うのは分かる。

「それで、ちょうど運んでいた食べ物は、こんな感じのものだった」

 へ?

 こんなかんじと指さしたのは、私の前の皿。

 サンドイッチにサラダを食べやすい量を取り分けたもの。

「それで、思い出したんだ……」

 カーツ君がにかっと笑う。

「予知夢見たのか?すげーなローファスさん。ユーリねえちゃんが作る料理を夢で予知するとか!」

 ……いやカーツくん、ローファスさんならありそうだけど。

 というか、私を夢に見ることはないけれど、私がつくる料理は夢に見るとか、重ね重ね、ローファスさんらしいというか。

「さぁ、夢の話はその辺で、食べましょう。今日は冷めるようなものはないけれど」

 ローファスさんが、そうだなと小さく頷き、卵サンドを手にした。

「くぅ、うめぇ!ユーリ、最高」

「本当だ、ユーリ姉ちゃん、卵サンド美味しいな。コカトリスの飼育これからも頑張るぜ」

「キリカもこの味大好きなのー。カーツお兄ちゃんが作ったマネネーズもおいちいのよ!」

 ふふ。

 よかった。

 夕飯にサンドイッチなんてダメだったかなと思ったけれど、喜んでもらえた。

「なぁ、ユーリ、コーヒーっていうのはないのか?」

 え?

 コーヒー?

「なぁ、ローファスさんコーヒーってなんだ?」

 この世界にも珈琲はあるの?

「知らない」

 ローファスさんが首を横に振った。

「なんか、その夢で、食事を運んでる子供が言ってたんだ。飲み物はコーヒーでいいですか?って」

 え?

 どういうこと?

「予知夢だったらさ、そのコーヒーもユーリが出してくれるかなと思っただけで、美味しいんだろうなぁと思ったんだけど」

 私が動きを止めたのを見て、ローファスさんが黙った。

「いや、出してくれってことじゃないんだ、ユーリ、困らせる気はなくて、夢、だしな?夢の中の料理がなんでもなんでもユーリが知ってるわけないよな」

 ……それは、夢なの?

 日本人のような姿の女性……ローファスさんは子供と言っているけれど、たぶん女性よね。

 そして、サンドイッチなどの食事を運んでいて……しかも、コーヒーというこの世界ではない飲み物のことを口にしているなんて……。

 その人も、日本からこの世界に来てしまった?

 それとも……日本へとつながる扉があったということでは……。

「ローファスさん、それから、どうしたんですか?扉の中には入ったんですか?」

 私は、ハローワークの扉をくぐったと思ったらこちらへ来てしまっていた。

 もしかすると、扉をくぐるという行為で唐突に世界を移動してしまうことが起きるのかもしれない。

「いや、背後にモンスターの気配を感じたから、すぐに扉を閉めてモンスターを退治して、振り返ったときには扉はもう消えていた……だから、夢でも見たのかと……」

 そう……なんだ。

 扉は消えてしまったのか……。

「扉は、消えてしまったんですね……」

 もしかしたら日本とつながっていたかもしれない。

 ……だとしたら、私……。

 帰れる。

 いや、帰るの?

 帰るの?

「ユーリ、そうだよな、故郷から一人離れて寂しもんな。もしかしたら同じ故郷の人間だったかもしれないよな。あーっと、隠し扉の類なら、その、条件がそろえばまた出現するかもしれないし、えーっと、調べておいてやるよ」

 条件がそろえば、日本への扉が?

「わ、私……その、さ、寂しくないです。ローファスさんがいてくれれば」

 顔を上げてローファスさんに笑いかける。

「え?俺がいれば、寂しくない?って、それは、その、ユーリ、えーっと」

「それに、カーツくんもいるし、キリカちゃんもいる。今日はいないけれどブライス君もいるし……みんながいてくれれば、私、全然寂しくないです!だから、大丈夫です」

「あ、ああ、みんな、そうか、みんながな……」

 ローファスさんが、フォークでベーコンを突き刺して口に放り込んだ。

 もぎゅもぎゅっと、かみ切れるのかなと、心配になるボリュームのものを口に。

「うめぇぜ!ユーリ、俺がいれば寂しくないってんなら、ずっといてやるからな!」

 二カッと笑うローファスさん。

 ……私のためにいてくれるのか、食べ物のためにいるだけなのか微妙と、一瞬思ったけれど。

「ありがとう」

 素直にお礼を言っておいた。


 ……だけれど、一度その扉のことは確かめたい……。

 もし、本当に日本とつながっているのならば……。

 帰る……ううん、帰りたくない……けれど。

 離婚届にハンコを押さなければ……。

 華菜さんが主人と結婚できない。

 男性は離婚成立すればすぐに別の女性と結婚できるんだ。だから、お腹の子が生まれるまでに離婚してあげたい。今何か月なのだろう。……時間はない。

 けれど、どうしたらいいんだろう。


 

ご覧いただきありがとうございます!


書きたかったんだー!

カフェオレはエリクサー(カフェエリ)では、日本の喫茶店にダンジョンが現れちゃうって話なんだけれど、そんでもって、いろんな異世界とつながりがって感じなんだけれど、

そうすると、ローファスさんも、もしかしていくことがあるのかも?と思って、書きたかったの!

というわけで、まだお外執筆再開できなくて、更新のめどがたってないんだけれど、お家で一気に書き上げちゃいましたー。

わははははー。


おっと、タイマーがなった。時間が!ではでは!

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― 新着の感想 ―
そっと 『甘めの厚焼き玉子焼きサンド』 『アイスブラック珈琲』 を差し出したい
[一言] 何羽か追加されてる(尻尾何本も持ってる) コーヒー魔石どっかで出た?(でも他サイトかも)
[気になる点] 余字:ん いつもバッターんンと勢いよく扉を開いて大きな音を立てながら小屋に来るイメージが強すぎて全く想像できない。 [一言] アニメで見た”異世界食堂”かと思ったよ。
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