157 牛乳から生クリーム
あの、白い液体は、牛乳に違いない!
牛乳といえば、牛乳といえば……。
うひゃーっ!どぉんと料理の幅が広がりますよ。
あ、料理よりもお菓子の幅かなぁ。
うれしい、うふふ。牛乳……。
牛乳があれば、生クリームが作れるよね。
日本にいたときには、市販の牛乳は乳脂肪分が分離しないような処理をされていたから、一般的に売られている牛乳から生クリームは作れなかったけれど。
もともと生クリームは牛乳から作るんだもん。作れるはず。
確か、短時間で作ろうと思えば遠心分離機にかけるということだった。つまりバケツに水を入れて回しても水がこぼれないあれ。遠心力が働いているっていうやつなんだけど……あの程度のスピードで振り回したくらいで分離するのかなぁ?
……やっぱり、少し時間はかかるけど、そーっと負いおいて、生クリームが上に浮いてくるのを待って作る方が無難かな。
1日待てば、脂は水よりも軽いから上の方に上がって分離するんだよね。それをすくって集めれば生クリーム。
……根気がいるのと、腐らないように温度管理は大事。冷蔵庫がないから……涼しいところ……って、どこ?
あれ?
冷蔵庫って10度以下だよね。10度以下のところなんてあったっけ?あれ?
「ブライス君……氷……」
「はい。どうぞ」
ブライス君を見てつぶやくと、すぐにカップに入った水を凍らせてくれた。
いや、違う。違うけど。
「ありがとう。でも、違うの。ブライス君がいないと氷がないから、牛乳も腐っちゃうかなぁと思って……生クリームはあきらめた方がいいなかと思っていたところで……」
ブライス君が首を傾げた。
「牛乳?生クリーム?なんですか、それ?」
ブライス君の言葉に、カーツ君が声を上げた。
「わかった!食べ物だよな?おいしいものなんだろ?」
はい。あたりです。食べ物ですよ。正確には飲み物。だけど、食べ物の原料でもあるんですよ。
「え?ブライスお兄ちゃんがいないと、おいしい食べ物をあきらめないといけないの?」
キリカちゃんが悲しそうな声を出した。
「大丈夫よ、生クリームはあきらめなくちゃいけなくても、牛乳だけでもすごくいろいろおいしいものができるから」
牛乳があれば、カッテージチーズだってできるよ。
ああ、卵もあるんだから、まずはフレンチトーストなんかからスタートしようかなあ。小屋に帰ったらフレンチトーストで朝食。ふふふ。おいしそう。
はちみつとろーっとかけて。
はぁ、想像しただけでも幸せになれる。
「そんなにおいしいのか?ユーリねえちゃん、なんかよだれ垂れそうな顔してる」
へ?
カーツ君に言われて慌てて口元をぬぐう。大丈夫、垂れてない。
「僕は、ユーリさんのためならなんだってしますよ?僕が必要だというなら、何でも言ってください」
ブライス君が力強く宣言する。
いつもご覧いただきありがとうございます。
ちょっくらブライス君ターン?
牛乳から生クリームを作ることがなぜできないのか、調べて初めて知りました。
分離しないように処理されてるからなんですね。
そういう処理されてないやつで、ビンいりミルクが冷蔵庫で分離したの見たことあったんで、なんで牛乳は上に脂肪が浮かないんだろう?ってずっと疑問だったんです。
つまり、家で牛を買っていれば、乳しぼりして得た牛乳からは生クリーム作れるんですよ。家で牛を飼う……ハードル高いな




