156 うっしっし
綺麗すぎるほど綺麗な顔をしているけど、冷たく感じないのはこうして表情がころころ変わるからなんだろうなぁ。
「だと、よかったんですけどね。最近料理って言わずにユーリに会いたいって言うんですよ」
え?
どういうこと?もう、私イコール料理みたいな、わざわざ言わなくてもわかってるだろうみたいな感じ?……ケータイといえば電話みたいな?
「お前だけずるいと何百回も言われて……」
ふぅと小さなため息を漏らすブライス君。
「僕だけがずるいというなら、リリアンヌ様やセバスティアンさんやサーガさんも連れて行きましょうかと言ったら……」
言ったら?
「泣きました」
ぷっ。
目に浮かぶようだ。俺だけのけものにするのかとか、S級冒険者なんてやめるとか言ってそうですね。ふふ。
「で、結局ローファスさんはどう説得したんだ?」
カーツ君の問いに、ブライス君がにっと口の端を上げた。
「S級冒険者への指名依頼達成したら、お祝いのごちそうをユーリさんなら作ってくれるんじゃないですか?と言ってみました。勝手をしてすいません」
S級っ冒険者への指名依頼って、すごいことなの?
……いまだに、冒険者のすごさの基準がよくわからないんだよね。
だって、ブライス君はこの間冒険者になったばかりだけど、すごいでしょ?
S級冒険者を引退したセバスティアンさんもすごいでしょ?
ダイーズ君も、ブライス君と一緒に冒険者になったってことはさ、まだなりたてなんだよね。それなのに、すごいよ。みんなほどじゃないけど、なんかかなりすごい。
……うーん。
「すごいです。ブライス君もすごいけど、ローファスさんってS級冒険者のローファスさんですよね。いろいろ噂は聞きました!そんな人と知り合いなんて……」
ダイーズ君が感動している。
……ローファスさんの噂?どんな噂だろう。全く想像がつかない。
っていうか、私たちの会話聞いていましたかね?その会話の中には、何もローファスさんのすごさが分かる話はなかったと思います。
むしろ、泣いたとか……かっこ悪いこと暴露されてた気が……。
「そのローファスさんも一目置くのがユーリさんだったんですね」
は、い?
いやいや、期待に満ちた目を向けられても困る。一目置かれてるんじゃないよぉ。
うん、話題変えよう。話題。
「あ、それでね、えーっと、ミノタウレスの攻撃に使ってる、あの白い液体って、毒じゃないよね?」
ブライス君が私の質問に即答する。
「ええ、毒ではありません。ただ、放置すると臭くなりますが……」
はい。分かります。
「それから、口に入るとお腹が痛くなるという証言もありますが……ステータスに毒表示は出ないそうです」
あー、はいはい。それも分かります。
時々いるよね。弱い人。
うん、こりゃ間違いないな。
なんといっても、ミノタウレスの見た目はホルスタインだし。牛だよ。乳牛。
あけおめ。ことよろ。と、懐かしい言葉でご挨拶。
ところで、ミニチュア豚ってのは割と有名ですが、ミニチュア牛っていうのもいるってしってますか?
めっちゃ可愛いよ。サイズ的にはやっぱり大型犬くらいなんだけど……。ググるとかわい画像が見られるかと。
で、今年の干支って何だっけ?ねずみか。来年が牛だね。惜しかった。タイムリーにはなれなかったなぁ。




