242 おかしな攻撃力
「ゆ、ゆ、ゆ、ユーリねえちゃん」
カーツ君が、ステータスの表示を指さす。
「すごいのよ、その武器……。攻撃力が1000超えてるのよ」
キリカちゃんに言われてステータスを見る。確かに、1000は超えてるけど、さっぱり強さの基準がわからない。
えーっと、呪いのペンダント、防御力800を身に着けた時に、なんか少し話を聞いた気がする?
防御力800あれば、並みの冒険者の攻撃なら全然聞かないとか?ローファスさんでも一撃ではやっつけられないかもしれないみたいな話だったっけ?ちがったかな?
んー、とすると、1000っていうと、えーっと、かなり強い?
「すごいですねぇ。僕の攻撃力は半分もないですよ」
と、さらりとダイーズ君が口を開く。
ん?まって、ダイーズ君、今丸腰じゃない?ねぇ、丸腰だよね?
武器持ってなくて、補正値ついてなくて、半分もないですよっていう言い方って、300とか400とか半分には到達してないけど、まぁ、比較できるだけの数値はあるって話じゃないんですか?
冒険者になりたてなんだよね?
ええええっ!私、かろうじて自力の攻撃力二ケタなのに!
レベルばかり上がってるけど、やっぱり私、レベル10になったとしても冒険者としてやっていける自身がない……。
「防御力もすごいのよ、ユーリお姉ちゃん。呪いのネックレスと、オレンジ色の服の効果すごいのよ」
はい。防御力の補正値も1000です。
でもって、今から朝ごはん食べると、それぞれ補正値倍増ドーンの予定です。
つまり……。
「3つ目の部屋に行っても、これとかこれとかこれとかあれば大丈夫だと思うんだ」
と、つまようじサイズに戻した菜箸やネックレスをみんなに見せた。
「そうですね。僕が聞いた話だと、攻撃力50もあれば一撃で倒せるし、防御力が40あればかすり傷程度の傷しか負わないという話でしたので」
ダイーズ君の言葉に背筋が寒くなる。
うごっ。
補正値ないと、私には倒せないし、大けがするって話ですね……うぎゅぎゅ、気を付けます。
「じゃぁ、3つ目の部屋に……行けるのか?」
カーツ君の言葉に、ダイーズ君が頷いた。
「問題ないと思うのですが、でも、不安に思うことがあるならやめましょう」
一応唯一の冒険者であるダイーズ君がパーティーリーダだ。なので、最終判断はダイーズ君。
「行きたいのよ!」
「行こうぜ!」
「ダイーズ君、お願いします」
ダイーズ君が頷いた。
おおう、3つ目の部屋だ!
2つ目の部屋までは、大豆とコーヒー豆と小豆をゲットしている。3つ目の部屋では何豆が出るのか!
ワクワクが止まらない。ああもちろん、新しい種類の豆じゃなくてもいいんです。10粒前後ずつしか取れないのが、あわよくば100粒ずつ取れたら嬉しいなんて。えへ。
では、朝ごはんは、醤油、味醂、酢、料理酒を入れてある燻製肉……つまりベーコンをオリーブオイルで炒めます。
これで、もろもろ補正値アップと命中率100パーセントですよ。
それを、トーストしたパンにレタスとトマトと挟んでベーコンほっとサンドの出来上がり。
ん、生野菜はそろそろ最後かな。レタスもトマトもよく日持ちしたほうだ。
「いただきまーす」
「ああ、もう何度もユーリさんの料理は食べていますが、また新しいおいしさに出会いました。野菜と干し肉……でなくてベーコンでしたか、をパンにはさんで食べると、これほど美味しいなんて……」




