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ダイーズくんが笑う。
「美味しいものをおなか一杯食べれば万全ですね」
いや。違うんだな。
そうじゃないんだよね。補正値つけられるものはつけまくるという意味なのです。……ダイーズ君にはまだ補正値のことは伝えてないし、気が付かれても不審がられてもいない。
まぁ、そんなにステータスを見る場面はないし、どうやらダイーズ君も私と同じで、いろいろと知らないことが多いみたいなのだ。
田舎育ちだから常識がかけてる……というのを、カーツ君もキリカちゃんもすぐに信じた。
まって、私の場合は故郷が遠いからってことよりも、もしかしたら深層の令嬢疑惑とか持ったよね?なんで……あ、この年齢なのにレベル1とかだったからですね。はい。ダイーズ君とは同じもの知らずでも全く違いますね……うぐぐ。こ、これでも少しは体力ついてきたんだよ。
それに……。
「ステータスオープン、防御力、攻撃力開示」
木の棒を手に取ってステータスをみんなに見せる。
「うわー、なんだかユーリお姉ちゃんすごいの。補正値いっぱいついてる」
「すげーな。その木の棒……攻撃力の補正値が400以上あるのか……」
そうなんです。私自身の攻撃力は二桁なんですけど……二ケタの前半なんですけど……なんとか二ケタなんですけど……うぐぐぐ。
「木の棒って、すごいんですね」
ダイーズ君の目が輝いた。
「うん。私にも持てる武器てすごいんですよ、他の武器は持つことしかできなかったんで」
と言ってから、あれ?そういう意味ですごいんじゃないんじゃと気が付く。
うううう、普通の人はもっといろいろ武器が持てるんですよ……ね……。ぐずっ。
「あ、あのね、ダイーズ君、木の棒の攻撃力はたぶんあんまりないからね?なんか、このわっかの効果がついてるんじゃないかな……」
ダイーズ君が木の棒にはまっているわっかを見る。
「ああ、そういえば、聞いたことがあります。剣の柄にはめて、効果を高めるリングがあると。木の棒にもはめられるんですねぇ。しかも、木の棒なら、柄よりも長いですし、たくさんはめられそうですね」
へ?
確かに、剣の柄じゃ、持つところなくなると困るからそんなにたくさんはめられないけど、木の棒なら持つところの先っぽ全部にリングをはめられないこともなさそう……。
いや、なんか、それ、もう木の棒なの?
一体どんな武器なの?
っていうか、私の力じゃ……たっぷりリング付きの木の棒、持ち上がらない気がするんだけど……。
「ダイーズ兄ちゃんすげぇ。そうだよな!木の棒にいっぱいリングつけたほうが、その辺の剣より強いのできそうだよな!」
いや、待って待って……。
「ユーリ姉ちゃんのやつ、リング3つで400越えだろ、それと同じくらい効果のあるリング、あと30ははめられるだろうから……うわー、すげー、攻撃力4000の武器とか」
カーツ君が目を輝かせている。
「木の棒すごいのよっ!」
キリカちゃんの目も輝いている。
まって、なんか、木の棒が剣よりも強い世界って何なの?ちょっとおかしい気がするんですけど……。
「あ、でも、ほら、カーツ君やキリカちゃん、ハンノマさんの強い武器持ってるでしょ?」
「そーだ、ダイーズお兄ちゃん、ユーリお姉ちゃんすごいのよ。あのね、誰も持てない武器を使いこなしちゃうのよ」
「そうだった。なんか、他の武器は持てないのに、逆にほかの誰も持てない武器が持てちゃうんだよ」
ん?
「あ、これのこと?」
さっきポケットに入れたつまようじさいずの菜箸を取り出す。
武器じゃないけどね。
「うわー、小さな武器ですね」
いや、武器じゃないけどね。
「オープン」
と呪文で通常サイズに戻る。
「うわっ」
と、カーツ君が大きな声を上げた。
ん?見たことあるはずなのになんでそんなに驚くの?




