240 第三の部屋
土の魔石生活も3日目になると……。
こう、慣れは恐ろしいというか、欲が出てしまったというか……。
「なぁ、ユーリ姉ちゃん、もしかしてさ、1つ目の部屋のモンスターを倒すとハズレ魔石が一つでるだろう?二つ目の部屋のモンスターを倒すと、ハズレ魔石が10個くらい出るから、3つ目の部屋のモンスターを倒したら、100個くらい一度にハズレ魔石でないかな?」
と、カーツ君が言いました。
「あのね、キリカね、2つ目の部屋のモンスターなら、全然問題なく倒せるのよ。3つめの部屋のモンスターも倒せるような気がするの」
と、キリカちゃんが言いました。
……うう、確かに。
モグラたたきですよ。1つ目の部屋より2つ目の部屋のモグラは大きくなっただけで、頭を出した瞬間に叩けばやっつけれる。
3つ目の部屋もモグラたたきなら、倒せるんじゃないかな?
……とか、思っちゃいますよね。
「えーっと、でた魔石に倒した本人が触れないといけないというルールを気にしなければ、倒すだけならこれが使えますし」
と、ダイーズ君が弓を見せる。
「よほど素早い動きをするモンスターでは無理ですが、ネズミくらいのうごきまでなら僕が遠方から攻撃するので危険はないですよ」
ネズミって結構早い動きなんですけど……そんな早い動きのモンスターに弓を当てれるの?すごい。
あ、命中率100パーセントになるオリーブオイルを飲んでおけば、私もいざとなればなんか投げれば当たるよね。
ん?
投げる?
あれ?
そういえば……投擲用の武器だとハンノマさんに大量に持たされたつまようじ……じゃなくて、つまようじサイズにもなる菜箸がありましたね
念のためポケットにいくつか忍ばせて、それからオリーブオイル料理を食べてからのぞめば……。
うん、行けそうじゃない?
3つ目の部屋も、大丈夫そうじゃない?
「なぁ、試しに少しだけ行ってみようぜ」
「キリカも、中見てみたいのよ」
と、思うよねぇ。
だって、ほんとうに1つ目の部屋も2つ目の部屋もなんの危険もなくて、楽勝で、そして、カーツ君がいうように……。
もし、1つ目より二つ目、2つ目より3つ目の部屋の方が豆がたくさん出るのであれば……。ううう、欲張っちゃいけないとはわかっているんだけど……。で、でも、うーんと。
「ねぇ、カーツ君、キリカちゃん、ダンジョンルールはどうなっているの?」
カーツ君がしょんぼりとする。
「無理はしちゃだめだ……」
ああそうか。
でも、無理なのかどうかっていうのは微妙なライン……って、まって、もしかして……一番体力がなくて、先に進むのが無理そうなのって……。
ごめん。
私だよ。
もしかしたら、私がいなければ全然無理じゃないんじゃないのかな?うううう。
キリカちゃんが口を開く。
「あとね、万全の態勢なの。うんと、油断しちゃだめなの」
ゆ、油断……。
うん、もしかしたらいけるかもしれないっていうのはある意味油断なのかもしれない。
危ない危ない。
もぐらたたきだしと軽く考えちゃダメなんじゃないかな。
でも、逆に、気を引き締めて万全の態勢を整えれば……いけないこともない?
「よし、では、万全の態勢を作りましょう!それから油断しないように気を引き締めて。入り口からのぞいて深入りしない。無理せず危険だと判断したらすぐに2つ目の部屋に戻るということでどうかな?」
私の言葉に、カーツくんとキリカちゃんの目が輝く。
「え?いいのか?」
「わーい。キリカね、気になってたのよ。奥の部屋に何があるのか見てみたかったのよ!」
大喜びするキリカちゃんと、素直に喜ぶことができずに少し不安な目を向けるカーツくん。
「万全の態勢を、整えましょう」
シャキーンと、ハズレポーションを取り出してカーツ君に見せる。
「お、おお!そうだな!ユーリ姉ちゃんさすがだ!」
「ふふふ。じゃぁ。早速美味しい朝ごはんをみんなで準備しましょうね」




