236 新しいハズレ魔石
「あの、僕もまだよくわからなくて……」
「サーガお兄ちゃんは、身体強化魔法が得意だって言ってたよ。ダイーズお兄ちゃんは何が得意になるのかなぁ」
「リリアンヌ様は、逆に身体強化魔法は魔力効率が悪いって言ってたもんなぁ」
うんうん。使える魔法とか得意な魔法とか人それぞれだもんね。
「す、すごい……これ、本当に美味しいです」
ダイーズ君が梨ジンジャージュースを飲んで目を見開いた。
「あの、ポーション畑に戻ったら、ポーションを採取して返しますので、……また、作っていただいても」
ダイーズ君が遠慮気味に頼んできた。なんだろう、このかわいい男の子!
「キリカもまた飲みたいのよ!ユーリお姉ちゃん、ポーションちゃんと渡すの!」
「俺も、作り方教えてくれ!作るのも手伝うよ!」
ううう!みんなかわいすぎる!ぎゅーって、ぎゅーってしたいけど、むぐぐ、我慢しよう。その代わり。
「ポーションは私にも採取できるけど、あそこには私は行けそうにないから、梨を取るほうをお願いするね!ギブアンドテイク!できることの交換ね」
土の魔石ダンジョンの上を指さす。
ポーション畑の上の畑には私もなんとかよじ登ることができた。
だけど、さすがにここは……登れそうにない。角度が、もう、ほぼ90度。クライマーでもない私に登れるわけがない。っていうか、ロープとかあっても登れる気がしない。
「おう、任せてくれよ!」
「うん、キリカも取ってくるね!」
「僕も。頑張ってたくさんとってきますね」
……ダイーズ君が狩ってきた猪を思い出す。ダイーズ君の頑張ってたくさんに寒気がしたのは気のせいだろうか。
さて。だいたい感覚としては10時のおやつタイム終了。
てことは、次にダンジョンに入って、2~3時間で出てくるとちょうどお昼ごろ。うん、いいペースなんじゃないかな。
「じゃ、ステータスオープン、装備の確認!」
カーツ君の掛け声に皆で確認。
「では、今回は2つ目の部屋に進みますので、1つ目の部屋でモンスターが出てもそのままにして進みます」
ブライス君の言葉に頷く。
でもって、私はこそっと、また全部入り干し肉のかけらをパンのかけらにはさんでパクリ。ドーピングドーピング。
出てきたのは、モグラだ。
ちょっとサイズがでっかくなってる。
えっと、さっきのモグラが、500mlペットボトルくらいで、今回は2リットルのペットボトルサイズ。サイズ的に倍だよね。
ってことはさぁ……。
「てりゃ!」
的がでかくなったわけで。叩きやすいんですけど。
叩いたら、消えて、ハズレ魔石が出てきた。
ころころころころりん。
「ふおうっ!」
小豆が10つぶ。
「サイズが大きくなると、いっぱいハズレが出るの?」
私の声に、ダイーズ君が説明してくれた。
「えっと、通常モンスターは強くなると、取れる魔石が違ってくるそうです。弱いと小さな魔石。強いモンスターになると大きな魔石が取れるそうです。ハズレ魔石だと、大きさが変わらず数が増えるんですねぇ。さすがにそこまでは知りませんでした」
キリカちゃんがぽこんと叩いて出てきた魔石を拾う。
「本当だ。さっきのお部屋で出てきた土の魔石よりもちょこっと大きい」
と、手のひらに魔石を並べて見せてくれた。
うん、確かに。小指の爪サイズから、親指の爪サイズになっている。
「なんか、違う色のも出てきた」
今まで出てきたのは、ピンクのモグラだ。今出てきたのは、スカイブルー。水色のモグラ。
「えいっ!」
カーツ君が飛び蹴りをくらわす。
うん、短剣よりも効率よく倒せるみたいですよ。
ごらんいただきありがとうございます。
くどいようですが、3巻発売は6月10日。本日です。本屋によってはすでに並んでいたり、まだ並んでいなかったりかと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
なろうにはない展開……なので、新鮮な気持ちで読めると思います。
泡だて器を使いこなすユーリさんの姿に全米が涙……しない。そもそも全米は美味しくご飯にします。
え?米は、こめ、不味い麦のことでしょ?




