233 土の魔石ダンジョンのモンスター
ああ、遅かったか!
「出てから叩いたのでは遅いのよ。こう、頭がにょきっと出始めたところで動かないと!」
えーっとですね。
モンスター、モグラでした。しかもピンクの。
にょきにょきと出ては引っ込みを繰り返しています。
「も、もぐら叩き……」
そう。モンスターを倒すというより、360度全面モグラたたきという、なんか楽しいアトラクションみたいになってます。
「出た!出たー!」
魔石?それともハズレ魔石?ハズレ魔石なら一体何?
ふっと小さな塊に触れる。
「これは、小豆……小豆だよね?大納言?」
とりあえず、後で外に出てじっくり見ればいい。ぽっけに収納。
……って、結構倒して1個って、これ、集まらないよね……うううう。3日くらい籠れば、おはぎ1個分くらいにはなるかしら?……ううう。
「少し、先に進んでみましょうか?」
ダイーズ君が1時間ほどモグラたたきをした後に提案した。ポケットの中には小豆が10個。ポケットを叩いても増えない。
「別のハズレ魔石が取れるかもしれません」
と、ダイーズ君が入ってすぐの部屋の奥に、細い道があるのを示した。
そう。ここは、今までのダンジョンと違い、奥がある。
迷路というほど複雑ではないけれど、奥に3つほど部屋があって、部屋ごとに出てくるモンスターのレベルが違うらしい。だから、見習い冒険者だけでは入ってはいけないとなっている。
「えーっと、一つ目の部屋はレベル1~3のモンスター、2つ目の部屋がレベル2~4のモンスター、3つ目の部屋がレベル3~5のモンスターが出ると、ダンジョン地図には記載があります。いずれも土の魔法石が出る。ハズレ魔石についての記載は当然ながらありません」
ダイーズ君がハンノマさんに持たされたダンジョンメモを見せてくれた。
モンスターのレベル?
「私は2つ目の部屋までしか行けないかな?」
レベル5のモンスターなんて倒せる気がしない……。守備力がアップしているからって。
「そうだよな。いきなり最深部まで行くのは危険だもんな。まずはステータス確認して、万全の体制で2つ目の部屋に行くべきだな」
「わかったなの。ダンジョンルールなのよ。危険を冒すようなことはだめなのよー。回復してから次の部屋なの。ステータスオープン、HPが10くらい減ってる」
「じゃぁ、いったん外にでて休憩しましょうか。お茶でも飲みましょう。あ、そうそう、朝採ってきてくれた果物食べましょうか」
というわけで、外に出て梨を向いてみんなでお茶タイム。
梨独特の水分たっぷりシャキシャキ感。喉潤う……けど、やっぱり日本の甘い梨に口が慣れてるから、甘味が足りない。
あ、そうだ!
むいた梨を器に入れ、取り出すのはハンドミキサー。それー。粉砕。
……すごい。なんかジューサーレベルで粉砕できるよ……。おかしい。大きくしなきゃ刃はないのに……いや、まぁ、ジューサーも刃物がついているわけじゃないか。
それに、ジンジャーエール味のポーションを入れます。
うん、ジンジャーエールはポーションだから、HP回復しても別にいいよね……。いいよね……。
梨ジンジャージュースのでっきあがり!
「はいどうぞ。ジンジャーエールじゃない、初級ポーションが入ってるから、疲れが取れるよ」
にこっと笑う。
初級というには回復早いけども、ダイーズ君気が付くかな。気がついたら……えーっと、そのうち教えよう。そうしよう。
「ポーション?そんな、もったいない」
へ?
ダイーズ君がびっくりした顔をする。
「僕、全然疲れていませんから、もったいないです」
全然、疲れて、いない……。
な、泣いていいかな。私、モグラたたきで、HP半分くらい減ったんだけど。うぐぐぐ。
まぁ、半分っていったって、数十だけどさ。
千以上HPある人にとったら、たかが数十。つかれたうちにはいらない……の、かも。
ダイーズ君はHPどんだけあるんだろう。
「俺も全然疲れてないけど、ダンジョンルール。体調は万全に!だからな!」
「あのね、キリカもまだ全然平気なのよ、でもユーリお姉ちゃんが作ってくれたのおいしいから大好きなの!」
な、泣いていいかな……。
ううう。つ、疲れてない、そうですか。はい。ぐすん。私も、内緒でこっそり全部入り食べて挑んだから効果が切れるまでは大丈夫だったんだよ?
効果は、2時間~3時間の間で切れる感じかなぁ。
え?ドーピング?いいの。使えるものは何でも使う。それが、万全の体制だから。私にとって……。
いつもありがとう。
モグラたたきでした。
(=゜ω゜)ノ
6月10日に3巻が出るってことは、あと1週間だよぉぉぉ!
すでにコミカライズ版の1巻は出てるよぉぉぉ!




