231 新しい武器
おや?まだ芯が残ってた?
慌てて私もご飯を食べる。うん、ちょっとお湯入れすぎたかな。いつもより柔らかめのご飯になってしまっている。けど、悪くはないよね?炊き立ての味するよ?
「うんめぇ!」
カーツ君ががつがつとベーコンをおかずにご飯を食べ始めた。
「あ、本当ですね。干し肉のようなものだと言っていたので、干し肉のようなものを想像していましたが……全然違います」
え?
干し肉を想像?何それ?
「ユーリお姉ちゃん、干し肉は硬いけど、干飯は柔らかいね」
はい?
「そりゃ、そのままでは硬いよ?ちゃんとお湯で戻したからね?」
「え?でも、干し肉をお湯に入れても簡単に柔らかくなんないぞ?小さくしてじっくり煮込まないと……」
カーツ君の言葉になるほどとうなづく。
確かにそうかも。切り干し大根や干ししいたけや煮干しなんかも、15分でおいしく食べられる状態になるかと言われると微妙だもんなぁ。そう考えると、干飯、めちゃすごいっ!
「お腹もいっぱいになったし、ステータスオープン」
朝食が終わりました。さぁ、ついに、ついにぃぃぃ!土の魔石ダンジョンに入ることになります。
まずはみんなでステータスの確認。
補正値付くものは、食べてないので大丈夫だよね?カーツ君に焼いてもらったベーコンも塩味だし。
おっと、私は何かあるといけないので、こっそりポケットからいろいろ全部入り干し肉を、オリーブオイル少し塗ったパンで挟んでこそっと食べます。
「ステータスオープン」
はい。命中率100%、守備力……ん?
守備力の補正値が倍になってるのは分かるけど、えーっと、あれ?呪いのネックレスの補正値ってこんなに高かった?あ、まさか、このセバスティアンさんにもらったロングベストにも補正値付いてる?
いったん脱いで数値を確認。減った。あー、やっぱりだ!もう一度着る。
……守備力の補正値、2600あります。……2600。呪いのネックレスだけでもかなりすごいって言われてたのに……。
「装備確認」
みんなでそれぞれ防具にほつれなどないか、チェック。それから、武器チェックも終えていざ、ダンジョンへ!
武器は、カーツ君短剣。キリカちゃんナイフ。それぞれハンノマ印のすごい奴。
ダイーズ君が弓がメインで、短剣が補助。短剣はこえまたハンノマ印です。
で、私は、と言えば、木の棒。
そう、ヒノキの木の棒です。
ふはー、いい匂い。リングが3つはまっているので、ただの木の棒と間違えることはありませんよ?ちゃんと武器として買ったものですよ?
「ユーリ姉ちゃん、泡だて器は?」
はい?
「小屋に置いて来たよ?」
「じゃぁ、武器どうするんだよ」
いや、だからね、泡だて器は武器じゃありません。
「じゃぁ、包丁を持っていくの?」
やだよ、モンスター切った包丁で料理したくないです。特に、黒い悪魔みたいなのだったらもう……。
「ほ、ほら、包丁は、えーっと、入れ物もないし、持ち歩くの危ないかなぁって……」
えへ。
キリカちゃんもカーツ君も心配そうな顔してこっち見てるよ……。
「大丈夫よ、ほら、私の武器はこれね」
と、木の棒を振り回して見せるんだけど、相変わらずキリカちゃんとカーツ君が心配そうな顔をしてる。
ダイーズ君が二人の心配そうな顔を見て、少しうつむいてから顔を上げた。
「ぼ、僕は、冒険者になりたてで頼りないかもしれませんが、でも、みんなを守れるよう頑張りますから……あの、その……」
ああ、ごめん。不安な顔を二人にさせてるのは私で、別にダイーズ君が頼りないなんてそんなこと誰も思ってないのに、落ち込ませちゃった?
ど、どうしよう……。あ、そうだ。
ポケットに入れっぱなしになっていたつまようじを取り出す。
「つまようじオープン……じゃない、菜箸オープンだったっけ?いいや、とにかくオープン」
手に持ったつまようじが途端に菜箸に変身。
うん、サイズが変わっただけですけどね。
「ほ、ほら、ちゃんと持ってる、ハンノマさんの家で買った菜箸……ぶ、ぶ、武器……」
あああ、ついに武器って言っちゃった。
苦渋。
ううう。違う、これ、調理器具、武器違う。仕方がない。たくさんあるから、1つくらいは武器ということで時々みんなを安心するために使おう……。ぐすっ。
他のと間違えないように印付けておかないとな。リボンでも結んでおこうか?あ、結んだリボンは縮んだり伸びたりしないのかな?
いつもありがとうございます。
そろそろ早売りとかで、コミカライズ版のハズレポーション店頭に並んでたりするのかな……。
ソワソワ、ソワソワ。




