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【書籍化】ハズレポーションが醤油だったので料理することにしました【web版】  作者: 富士とまと


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226 セバスの剣がコカトリスにっ!

「ユーリさん、これは私からのプレゼントです」

 会計を済ませたところで、セバスティアンさんがいつ買ったのか、薄オレンジ色のワンピース?丈の長い前ボタンのベスト?

 膝の少し上あたりまであるベストと言えばいいのか。ふわりと裾に行くにしたがって広がっているので、前開きの袖のないワンピースと言えばいいのか……を、くれた。

「え、あの?」

「エプロンでしたか、あれの洗い替え変わりだと思って受け取ってください」

 ほわ!

「ありがとうございます!大事に使いますね!」

「いえ、できれば今買った服と合わせてコーディネートしてきていただけると……」

 なるほど。白シャツに茶色ズボンだけでは女子力が下がるという気遣いでしょうか。それをエプロンということで胡麻化してプレゼントしてくれるなんて……。セバスティアンさん紳士的です。

 ううう。そうですね。万が一白シャツ、水でもひっかぶって胸元張り付いたりするとまずいのでずっと身に着けていたほうが無難ですよね。

「キリカさんにもプレゼントいたしましょうか?」

 セバスティアンさんの言葉に、キリカちゃんが首を横に振った。

「あのね、ベストは、これでいいの」

 キリカちゃんがお母さんに作ってもらった大切なベストをそっと撫でた。

 そうだね。うん。

「サイズのお直しをいたしますので、こちらへどうぞ」

 と、案内された場所でシャツとズボンと長ベストを身に着ける。

「少しここを詰めましょうか。ウエストの紐をサービスいたしますね。これをここに取り付けますので、きゅっと縛っていただければ」

 と、ものの10分でサイズ合わせが終わる。

 待っててくれてるセバスティアンさんとキリカちゃんの前に姿を現すと、二人はにこやかに出迎えてくれた。

「お似合いですよ」

「ユーリお姉ちゃん可愛いのよ!」

「ありがとう」

「そうそう、こちらもプレゼントさせてください。勝手ではありますが、すでに取り付けしていただきましたので……」

 と、木の棒に、金属のわっかが3つ取り付けられていた。

 受け取って手に持つ。

「何者だ、あの子供……」

「初心者すぎる装備なのに……」

「オレンジサラマンダーの皮に、熊ドラゴンのうろこを粉末にして加工したという、防具……」

「さらにあの棒のリング……。普通は剣の束にはめる奴だろう?補正効果がつくもので……3つも……どんな補正効果があるやつかはわからんが」

「なんというアンバランス」

 なにやら、周りに噂されているような気が……?

 私のことじゃないよね?

 着替えと、燻製用のヒノキ買っただけだもん。

 あ、ヒノキは1本は一応武器として使うんだった。

 叩く……というよりも、私の場合は「近寄らないでー」と振り回すになりそうだけど……。

 あ、高いところになってる木の実とか、この棒でぽこんと落とせないかな?


 さて。小屋に帰ってからまだ一仕事待ってますよ。

 ……ダンプカーサイズの肉……の処理。

「では、ありがとうございました。これだけの量をいただけたので、次回は一月ほど後に伺おうと思います」

 セバスティアンさんが荷台に大型自動車くらいの量の干し肉とベーコンを積み上げた。防水布をかぶせてぎゅっぎゅと縛って落ちないようにした。

 なるほど、防水布って、ブルーシートみたいなものでいろいろ使えると思えばいいのね。布だと思うかブルーシートだと思うかで、使い方違ってくるよね。ふむふむ。

「セバスティアンさん、あの、お願いした鳥の世話なんですが……」

「ああ、それは大丈夫です。干し肉をいただきに来るのが一月後というだけで、世話は5日1回来ますよ?」

「はい。お願いします。えっと、それで、ちょっと変わった鳥……なので、えーっと、一度小屋を見ていただけますか?」

 鶏は、他の鶏といくつか違う点がある。まず飛べないし。サイズ的にもカナリアとは全然違う。それから卵……はどうしようかなぁ。1か月くらいなら腐らないはずなんだけど、鶏が温めちゃうとどうだろう。無精卵を温めると腐る?このあたり分からない……うーん。

 卵を温めている間はどんどん生むなんてことはないと思うんだけどなぁ……。

「ここが鶏小屋です」

「おや、ずいぶんと厳重ですね?」

「はい。逃げ出したりしないように……念のため」

 鶏小屋の3重になっている扉の一番奥の扉を開ける。

 その瞬間、セバスティアンの体が私の後ろから私の前へとワープした。いや、ワープしたかのような速さで移動した。

「なぜ、こんなところにコカトリスが!」

 剣を構えるセバスティアンさん。

「ぎゃー、まって、やめて、鶏、それ、鶏、にわとりーっ!」

 いやまって、コカトリスってもうバレた。やばい。

 でも、えっと、胡麻化さなくちゃ。

「はい?鶏?いえ、これはコカトリスという魔物ですよ?」

「ち、違います、ほ、ほら、尻尾、ないですよね?」

 セバスティアンさんが、とりあえず剣を収めた。

 そして、一番近くにいた鶏をひっつかんで尾羽をまくる。

 んぎゃーっ、切った後とか見つかる?蛇尻尾切った後、見つかる?


にゃおーん。

ユーリさんがおかしな方向に装備を整えた……(´・ω・`)

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― 新着の感想 ―
「良い点」 初心者装備なのに付属が最強過ぎるのとても好きです笑 「気になる点」 胡麻化す→誤魔化す
[気になる点] ヒナの尻尾切りもお願いしないと!
[良い点] オレンジサラマンダーと熊ドラゴン…尻尾ステーキとか美味しいかも [気になる点] 誤字報告: 5行目くらい 「あれの洗い替え変わり」変わり→代わり
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