24 私だって働ける
「なるほど。薬草の調合か。材料の組み合わせや分量や手順を間違えれば効果が得られないからな。ユーリの作った料理は効果の得られる調合をしたといことか」
え?
調合?
いやいや、普通に料理しただけですけど。分量だって、目分量だよ?
「これはすごい発見だ!すぐにギルドに報告をしなければ!」
すごい発見?
報告?あ、そうだね。今までハズレっていうことで収穫されなかった黒や薄黄色ポーションも収穫するようにしなくちゃいけないだろうし。
「ユーリ、調合レシピをギルドが買い取ろう。レシピを使用すれば使用料がユーリには入る」
レシピを売るの?
でも、私が考えた料理っていうわけじゃないし……。
それに、もっと材料がそろっていればもっとおいしいもの作れるし……。
なんか、私が考えたものじゃないのに私のレシピって発表してお金までもらえるとか……SNSのパクツイとか、画像無断盗用だとか、なんか悪いイメージしかないんですけど……。
躊躇している私に
「すぐにギルドに行って契約をすべきだ」
え?
ギルドに行く?
「それって、ここを出てギルドへ行くってこと?」
子供たちの顔を見る。
ブライス君もここを出てしまったら、小屋に残るのは小さなキリカちゃんとカーツ君だけになってしまう。
「行きません……。私、まだここでレベルを上げないといけないので……」
「いやいや、もう冒険者になる必要なんてないんだぞ?レシピの使用料で一生遊んで暮らせるようになる」
専業主婦になってほしい。
働く必要なんてない。
10年間お前は遊んでいただけじゃないか。
お前に働けるわけない。
……。
主人の言葉がフラッシュバックして、目の前が真っ暗になる。
「私だって、働ける。私だって、冒険者になれますっ!」
ローファスさんが私を困った顔で見ている。
「いや、ユーリに冒険者は無理だと言っているわけじゃないんだ。何も冒険者になって苦労する必要はないと」
違う、お金が欲しいとか、楽に暮らしたいとか、そういう話じゃない。どういえばわかってもらえるだろうか。
「ローファスさん」
ブライスくんがローファスさんの名を呼んだ。
「ローファスさんはS級冒険者として、一生遊んで暮らせるだけのお金をもう持っているんじゃないですか?」
ローファスさんは、ブライス君の問いに肯定も否定もしない。それが暗に肯定だと告げているように見えた。
いや、むしろ遊んで暮らせる以上のお金を持っているのかもしれない。
「だったら、冒険者をやめて一生遊んで暮らせばいんじゃないですか?厄介な依頼をギルドから押し付けられて苦労する必要はない」
ブライス君の言葉に、ローファスさんがハッとした表情を見せ、そして私に頭を下げた。
「すまん」
テーブルに額が付くくらい深く頭を下げられる。
「お金さえあれば働く必要がないなんて失礼なことを言った。許してほしい」
「あ、あの、頭を上げてください」
ローファスさんに悪気がないのは分かっている。
冒険者という仕事が決して楽じゃないというのもわかる。ダンジョンルールには命を守るための厳しい決まりがいっぱいある。
私の身を案じて、最善の方法を提案してくれただけだ。
「ユーリの冒険者としての判断に任せる。レシピを登録するのも公開するのも……」
冒険者として……。
「はい。ありがとうございます。私、冒険者ですって胸を張って言えるように頑張ります」
ぐっとこぶしを握り締める。
「面倒見るよ。約束する。ユーリのことは俺が守ってやる」
はい?
どういうことですかね?
いっぱしの冒険者になれるように先輩冒険者として面倒を見てくれるってこと?
「S級冒険者のローファスさんの保護下に入れば、ユーリさんの危険も少なくなるでしょうね」
「え?危険?」
びっくりして声を上げる。
いつもご覧いただきありがとうございます。
少し気になったので教えていただけるとありがたいです。
この作品、主人公が三十路主婦なのですが、男性の方も読んでくださっているのでしょうか?面白いと感じていただけていればうれしいのですが、どうなのでしょう?




