222 ギルドでお買い物
「失礼しました。では、ギルドへ行きましょうか。計算も終わっているでしょう」
ハンノマさんの店を後にして、何か忘れているような気がして首を傾げる。
なんだっけ?
ギルドの建物は、登録したり、依頼書を見たりする建物の本館と、素材などの買い取りをする倉庫と、販売を行う店舗の3つからできていた。
……うん、まだ本館には入る勇気が起きない。
お金の入った袋を、買取倉庫のカウンターで渡されて、思い出した。忘れてたこと、思い出しました。
「あー、武器!武器買うの忘れてた!」
菜箸は買ったけど、武器を買いに行ったのに、武器を買い忘れた!
昔からよくやっちゃうんだよね……。卵がなくて買い物に行ったのに、牛乳とかキャベツとかいろいろ買って、卵だけ買い忘れてくるとか……。
主婦あるあるだと言ってほしい。私が忘れっぽいだけじゃないと……。
そうだ。忘れないようにと言えば。
「セバスティアンさん、私たち4人で魔石畑のダンジョンに行くんですけど、移動に時間がかかるので何日かダンジョンの近くで生活するつもりなんですが、準備で持っていくものをここで買えますか?」
元冒険者のセバスティアンさんなら知っているかと尋ねてみる。
「そうですね、ギルドの販売部でも基本的なものは売っているはずですから、見に行きましょうか?」
よかった。
「まずは、ポーション類や薬類はある程度持っていったほうがいいでしょうね」
一番初めに棚に見覚えのあるポーションの瓶が並んだ棚に案内される。
「ポーションは、自分たちで取ったのがあるのよ!ちゃんと持っていくのよ!」
キリカちゃんの言葉にセバスティアンさんがにこっと笑う。
「そうですね。初級ポーションは買う必要はありませんね。念のため中級ポーションもいくつか用意しておくといいと思いますよ。万が一ということもあります」
ちゅ、ちゅ、ちゅ、中級ポーションきたぁ!
何味?何の調味料?
どれ?どれ、どれなのぉ!
「これですよ。子供は一日3本までしか飲めません。ですが、飲みなれていない場合は体調が悪くなることもあるので1日2本までにしておいたほうがいいでしょう」
何味?
瓶の中身は薄緑の液体。
ギラギラした目で見てしまう。
「とはいえ、美味しくないのでよっぽどのことがない限り飲みすぎるようなことはないと思います」
セバスティアンさんがちょっと顔をしかめる。好きな味じゃないのかな?どう美味しくないんだろう?
緑でおいしくないというと、青汁?青汁なの?
ちょっとがっかり。
だって、青汁って野菜汁でしょ?野菜ならいっぱいあるんだもん。作りたての青汁飲み放題だよ……。
あ、でも、土の魔石ダンジョンにいる間は不思議畑はないかな?だったら野菜不足になる可能性はある。
……1日2本か。もし野菜不足になりそうなら飲んだほうがいい。はちみつとリンゴを持っていって、ジュースを作ろう。
というわけで、多めに購入決定です。
その上の棚には、無色透明の液体の入った瓶が。
私の視線の動きで気が付いたようで、セバスティアンさんが慌てて説明してくれる。
「それは上級ポーションですよ。子供は絶対に飲んじゃダメなものです。間違って飲むといけないので、手にしてはいけませんっ」
えー。
そうなの?っていうか、私、子供に見えるけど、大人なので、大人なので……って、駄目か。
子供のふりしてるから、やっぱり駄目か。
なんだろう、気になる。無色透明……なんだろうか?
「こちらはMPポーションですが、まだ魔法が使えないので必要ないですよね」
え?
いるよ、いる!
魔法使えないけど、料理に使いたいのよ!何か知りたいの!
っていっても、怪しまれるかな?
「これはハズレMPポーションですよ。灯り取りに使いますが、光の魔石を買えば必要ありません。光の魔石のほうが安全に使えますから」
ちょっと、まって、いる!いる!
ハズレMPポーションは油だから、欲しいよ!欲しい!揚げ物するときにはたくさんいるから、いっぱい欲しいよっ!
と、心のなかで叫び続けるけれど、実際口にすることはない。
だって、何に使うんですか?とか尋ねられても困るし。
「それからこれが、麻痺回避草」
はい、山わさびです。買います。
「これが毒消し草」
ん?毒消し草?そういえば、ハズレ毒消し草は本わさびだったけど、毒消し草は初めて見るかも?
茎の部分は確かに太くてワサビに似てないこともない……けど、葉っぱの形が明らかに違う……。よく、ローファスさん間違えたな。
ってくらい違う。
しかも、この葉っぱの形、セリに似てるんだけど……。
ご覧いただきありがとうございます。
いくつ新しいアイテム入手できるかな?
ふふふ。




