表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】ハズレポーションが醤油だったので料理することにしました【web版】  作者: 富士とまと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

244/343

207 獣臭くなるというのは

「あのね、キリカはママがいないのよ。ダイーズお兄ちゃんはお父さんがいないのね」

 そうだ。

 この世界は日本と違う。

 医療も日本ほど発達していないし、安全も空気のように当たり前ではない。

「カーツお兄ちゃんは、お父さんもお母さんもいないのよ」

 ……って、よく考えたら……。

 私もお父さんは幼いころ。女で一つで育ててくれた母も成人するかしないかの時に亡くしている。

「あの、それで、村の人はどれくらいいたの?ダイーズ君が村を離れても大丈夫なの?」

「村には80人くらいかなぁ」

 なるほど、80人がおなか一杯……食べるにしても、軽自動車3台分の肉は多すぎない?

「ハンノマさんが色々良くしてくれたんだ。冒険者になって、お金を稼いでそのお金で食料を買うこともできるって教えてくれた。あと、猪の毛皮とか今まで使い道がなかったものも売れるって教えてくれて……」

 なるほど。

 って、あれ?猪の皮って、そういえばどうしてたっけ?

「……えっと、80人の3日分の肉……どうしましょう……」

 ダイーズ君の顔が青ざめた。

 はい。気が付きましたね。

「干し肉にすればいいんじゃないか?」

 いつの間にか来たカーツ君が提案する。

「あのね、キリカね、角煮の干し肉がいいのっ!」

 と、キリカちゃんが手を挙げた。

 ふふふ、残念なお知らせがありますよ。

「干し肉作ってる小屋に入りきらないよね……」

 ちらりと小屋を見る。

 風の魔石で効率的に乾燥させる小屋だ。

「うわ、そうか!じゃぁ、外に干すしかないか?」

 えーっと、外に干して安全性とか大丈夫なのかなぁ……。うまくできるかどうかも分からない。

 天日が当たらないようにしたほうがいいって話だし。

「角煮にしようにも、鍋が足りないかな……少しはできると思うけど……」

 キリカちゃんががっかりする。

 たぶん、炊き出し用のでかい鍋でも無理だよ。軽自動車サイズの猪を全部角煮にするの……。

「す、すいません、あの、僕、頑張って食べます……」

 いや、無理でしょう、さすがに……頑張るにもほどがある。

「えっと、なんか方法がないか考えるからね?大丈夫。ダイーズ君、ほら、まずは解体を頑張って?」

 肉にならないとその先ができない。

 私はとりあえずみんなが猪をさばいている間に、野菜を干す。

 ……野菜は天日でもいいか。小屋は干し肉に譲ろう。

 天日に充てるとビタミンDが増えるんだったっけ?野菜はうまみを増すはずだし。

 それから、鍋類の確認。

 一番大きな二つを使うとする。

 角煮……えーっと、じっくり煮込みたいところだけど、とりあえず味が染みればいいか。というわけで、3時間がベストなんだけど、1時間で作ろう。

 1時間でワンセット。寝るまでにとりあえず5セットくらいできるだろうか?

 それでもなぁ……鍋を見て、小屋の外の猪を思い出す。

 うん、あとは塩もみこんだだけのものか。仕方がない。

 それから、塩と醤油と酒とみりんと酢に漬け込んだだけのものも作ろうか。

 それにしても、干す場所がないよね……。

 うーん。ひらめいた!

「ダイーズ君、今日は小屋に泊まるでしょう?」

「え?あ、そういえば、まだ出発しないなら……泊めていただけるなら、えっと、床でもどこでも……」

 床って……。

「キリカちゃん、あとで部屋のこと教えてあげてね」

「うん、分かったの!」

「でね、私とキリカちゃんとカーツ君とダイーズ君が使う部屋以外って、空いてるでしょ?だからさ、そこに風の魔石置いて干し肉作れないかなって思うんだけど?」

「おお、いいんじゃないか?ユーリ姉ちゃんさすがだな!」

 部屋で肉干しても誰も怒らないよね?

 主人みたいにみっともないとかいう人いないよね?

「でも、大丈夫かな?心配なの」

 キリカちゃんの顔が曇る。

「え?心配?えっと、部屋を使うのが?」


いつもありがとうなの!


小屋の中に干すことにしたの。

でも、キリカ心配なのよ……だって、だって、

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 誤記:部屋 小屋の中に干すことにしたの。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ