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【書籍化】ハズレポーションが醤油だったので料理することにしました【web版】  作者: 富士とまと


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198 エルフ直伝の弓だからってことは説明しないのですが

「ねー、それ弓だよね?」

 キリカちゃんがダイーズ君が背中に背負っていた弓と矢筒を指さした。

「弓使いか!じゃあ、後方支援じゃないか?俺はメインは剣だから、前衛だな。キリカも短剣だから前衛。ユーリ姉ちゃんは」

 カーツ君が、そこで言葉に詰まった。

 うぐぐぐ、ですよね、ですよね、私にできる役割なんて……あうううっ。

「あのね、ユーリお姉ちゃんは食事係よ」

 は?

 キリカちゃんが迷わず言った。

「ああ、大きなパーティーには野営時などに食事や物資調達など雑務を一手に引き受ける役職の人がいると聞いたことが」

 ダイーズ君がいいように解釈してくれた……。

 違う、そうじゃないのよ。

「いや、二人とも違うだろう、ユーリ姉ちゃんは隠し玉だな。うん」

 隠し玉……そ、それって……。

 カーツ君うまい事言うわ。

 私の作ったポーション料理のことは隠しておかないとだめだし、ポーションもなくていざという時、料理を一口食べるとHPとか回復することができるし。

「隠し玉!」

 ダイーズ君がキラキラした顔で私を見ている。

 違う、そうじゃない、絶対ダイーズ君の考えている隠し玉と、事実は違う……。

「あのね、本当に、私、最弱のレベル5だから……」

「はい、隠し玉は最後まで能力は出さないんですよね!僕が守ります!」

 いや、だから、えっと……違う。

「HPだけなら、結構あるほうなので、盾になりますから」

「ちょ、それって……」

 例えば、何かの攻撃が私に向けられて、私に危険が及んだ時に、「危ないっ!」とかいって、身を挺してかばうみたいなこと?

 私の代わりにダイーズ君が攻撃を受けて傷つくってこと?

「だ、駄目、それは駄目!そんなの絶対ダメ!」

 私のために誰かが傷つくとか、許さない。許せない。

「何で?パーティーの仲間だからな。助け合うのは普通だろう?」

 カーツ君が首を傾げた。

 え?

「あのね、キリカもね、ユーリお姉ちゃん守るよ。頑張って強くなるんだ」

 何、駄目、それ。

 カーツ君やキリカちゃんまで?

 パーティーの仲間っていうのは……。

 だって、ダンジョンルールって、人を助けないんじゃないの?パーティーの仲間は別?

 ……分からないことばっかりだけど、一つだけはっきりわかったことがある。

「……私、強くならなくちゃ……」

 冒険者になるのを目標にしちゃだめだ。

 レベル10でも弱い強いがあると言っていた。

 今は見習い冒険者として、危険のないダンジョンに入るだけだけれど……。もし、何らかの事情で冒険者としてパーティーを組んで、もっと危険なダンジョンに入ることがあったら……。

 戦えない人間、役に立たない人間どころか、誰かの足手まといになるような人間なんて、そんなの駄目だ。

「うん。僕ももっと強くなれるように頑張ります」

「俺も!俺もS級冒険者になるために頑張るんだ!」

「キリカもなのよー。もっと強くなるのよ!」

 ああ、何てこと。

 強くなることなんて、冒険者にとっては当たり前のことなんだ……。

 それなのに私は。

 今頃改めて決意を固めるなんて。

 冒険者になったら料理屋でも開こうかとか、魔法が使えるようになったら何しようとか、そのあとどうしようかなぁなんてことばかり考えて……。

 肝心の「冒険者とは」ってところが抜け落ちてる。

「ユーリさんの武器は何ですか?」

 ダイーズ君の質問に一同首を傾げる。

 それを見て、ダイーズ君が慌てて両手を横に振る。

「あ、ごめんなさい、そうですよね、隠し玉なんで、武器も知られちゃ駄目なんですよね?」

 違う、そうじゃないっ。

 ああ、何度心の中で違うを言ったことか……。


ご覧いただいありがとうございます。


ダイーズ君の弓の師匠に関しては、番外編ご覧いただければ分かります。

番外編を飛ばした方もいらっしゃると思うので……まぁ、気になればですが。

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武器は「ほうちょう」 トンベリさんくらいにつよいかも
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