表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

221/343

番外編 ハンノマの旅9 ダイーズ君の村へ

「おい、ドワーフ、一度しか言わないからよくきけ。この木は樹液がよく出るのは夜中から早朝にかけてだ。日が昇って気温が高くなると樹液を出す量が減る。それからこの木は枝を切ってさして置けば簡単に増やすことができる。だいたい6年もすれば樹液をよく出すようになる。あちこちで木を探すよりは、安全な場所で木を育てた方が早いはずだ」

 なんと!

「あ、ありがとうございます!何とお礼を言えばいいのか……」

 高度鑑定魔法ではなければ到底知りえなかったような情報ばかりだ。

「お礼の言葉など何の役にもたたん。だれがタダだと言った?」

 え?

「それは、失礼いたしました。いくらお支払いすれば……?」

「金などいらん。その剣よりも、よい剣を持ってこい。礼はそれでいい」

 エルフの老人が意地悪そうな笑みを顔に浮かべて、ワシの背中にある剣を指さした。

「これよりも、よい剣を……」

「7年だ。その木が成長するまでの7年は待ってやる。それに間に合わなければ、無能なドワーフのことなど私は忘れるぞ。覚えておくのも記憶がもったいないからな」

 7年たてば、お礼はいらぬと?

「次に来るときには必ず。剣を……この剣よりもよい剣を持って参ります」

「まぁ、期待などしておらぬ。お前の腕じゃ、あと10年や20年はかかるかもしれないからな。ははははは」

 7年以内……いいや。1年以内に作って見せよう。

 もし、本当に10年もかかると思っていれば、ただで高度鑑定魔法をしてくれたことになる。だとしたら親切な爺さんだ。

 だが、ワシの成長を信じてくれて7年と言ったのであれば……。ダイーズを鍛えるように、ワシのことも鍛えてくれようとしているのじゃろう。嘗てワシが、ローファスの坊主にしたように……。

 望むところじゃ。

 いつかは師匠に追いつき追い越すんじゃ。ワシも、伝説の域にいつかは必ずなるという目標がある。

 そうじゃ。今ワシが使っているものよりも良い剣と、短剣も作って持って来よう。

 そして、実験に行き詰ったときに、ヒントをもら……というのはどうじゃ。うむ。

「なんだ、その顔は?」

「はて?目が見えないのでは?魔法で顔まで見えますかな?」

「揚げ足取りのうるさいドワーフだな。もう、さっさと帰れ!弱虫、剣ができるまでこいつをここに連れてくるなよ!」

「いや、待ってくだされ、樹液の採取と、枝を……」

「ふんっ。うるさいお前たちがちょろちょろしたんじゃ、私は落ち着いて生活できないからな。いくつか同じ木を探して用意してやる。明日の昼に、赤い布のところに取りに来い」

 それは、もしかして……。

「採取の協力をしてくださると?」

「誰が、協力すると言った?お前たちがうるさいから来ないようにするためだと言っている。お前は耳が悪いのか?」

 あなたは口が悪いですねと、思わず突っ込みたくなる言葉をごくりと飲み込む。


 ダイーズに案内された村は、想像通りの小さな疲弊した村だった。

 大きな町が近くにはなく、街道からも離れている。特に特産物となるものもないため、人の行き来はほとんどない。

 森で取れるものを食べ、ほぼ自給自足で成り立っている村だ。

 若者たちは時に冒険者を夢見て村を出て行く。次第に村の若者が減り、若者が減ったことで子供も減り、働き手も減り……今のような状態になったのであろう。

 人口は100人に満たない。ほとんどが老人。子供と呼べる世代はタリーズともう一人だけ。老人ではないのは、タリーズの母親ともう一人の子の母親だけだ。父親は出稼ぎに出ているそうだ。

「よく、今まで飢えなかったな……」

 正直な感想がそれだ。

 ダイーズが町へ行き冒険者登録してくるという話を母親は快く送り出した。

 その間の食糧はワシが何とかしようと言ったんじゃが、逆にそれくらいは大丈夫ですよと、母親が首を横に振る。

「あの子が狩りをする前の生活をすればいいんですから」

 それはそうかもしれないが……。

 ダイーズとの約束を反故するわけにもいかぬじゃろ。

「では、ワシは自分の食い扶持を捕まえてくるとするかの」

「気を付けて行ってらっしゃいませ」

 ダリーズの母親がにこりと笑って手を振る。

 いってらっしゃい……か。なんだかくすぐったい言葉じゃの。

 森へ入り、なるべく大きな獲物を探す。

 猪……ふむ、そういえばこの森に出る猪は他の場所の倍くらいの大きさじゃったな。これなら十分か?

 いや、猪ばかりじゃ飽きるじゃろうか?

 ん?

 熊か。これまた大きな熊じゃな。これなら、熊の手も大きくて食べがいがあるじゃろう。

 人の背丈の3倍ほどありそうな熊を一突き。肩に担いで村に戻る。

 うむ、ワシの背が低いため、肩に担いだが大きな熊なので手足は引きずられておるな。


いつも、ありがとう、ごっざーいまぁす!

終わらない、ハンノマの旅……(´・ω・`)

さて、ダイーズ君のお母さんの名前は何でしょう?


答え*決めてない。なぜならモブだから。


ってことは、名前が出てこなかった、エルフの爺さんは、モブ?それとも……。


答え*名前考えるのがめんどくさいので、必要がある人には必要が出てきたら名前を考えるのさ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] アズさんとかもいいけどソラ(豆)さんとかも良いね。
[良い点] じー様ええ人や! [気になる点] タリーズだったりダリーズだったり ダイーズが出てきて 多分同一人物なんだろうけど え!?誰!?ってなって笑ってしまいました(笑) [一言] タリーズ…
[一言] ダイーズのは母ならアーズキさんとか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ