表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

219/343

番外編 ハンノマの旅7 口の悪いエルフの爺さん

「だが弱虫、いい気になるなよ!ここから奥はお前のような弱虫が入っていい場所じゃない」

 エルフの爺さんの言葉に、奥に視線を向ける。

 ああ、確かに。上級モンスターが目に映った。

「どうしても行きたいのであれば、私に懇願するんだな。あそこへ行きたいのでついてきてくださいとな」

 どうやら、ここから向こうは上級ダンジョンという位置づけのようだ。平地ダンジョンはこういうところが怖い。

 どこからダンジョンになっているのかが分かりにくい上に、通常のダンジョンでは階層を上がることで中級から上級へと出て来るモンスターの強さが変化したことが分かるのじゃが。平地ダンジョンは気が付けば踏み入っている。

 しかし、エルフの爺さんは、ダイーズが近づいてきているのに気が付いていて、誤って奥へと進まないように忠告するために木の上にいたのか?

 ふん。ずいぶん人がいいな。

「必要がないと分かれば踏み入ることはない。教えていただけないだろうか?この先に、樹液が白い、葉につやのある木があるかどうか」

 エルフの爺さんがはんっと笑った。

「弱虫の連れてきたドワーフも、頭は悪そうだな」

 うん?ワシが頭が悪いじゃと?

「目が見えぬ私が、樹液の色や、葉のつやなど知るわけがないわ」

「は?目が見えないと?だが、ワシのことをドワーフだと当てたではないか?」

 エルフの老人は話の途中で後ろを振り向きもせず、背後に魔法を放った。

 放たれた雷の矢は、現れた上級モンスターの胸に吸い込まれるように当たる。

「見ることもなく……一撃で……」

「はっ。ドワーフは長寿とはいえ、お前はまだ若造のようだな。無知すぎる。目が見えなくとも気配は感じることができるだろう?」

 は!

「ワシは……ハンマーをふるっている時に、確かに目に見えない何かを剣に感じることがあるな。そうじゃ……あの見えない何か……か」

 そうじゃ。ここを叩けばいいと、見た目にはどこも同じように平になった剣なのに、時々ふと、打ち込むポイントのようなものを感じることがある。ここじゃ、ここを打ち込むのじゃ!と。そんなとき、ワシの体は何の迷いも一寸の狂いもなくそこを打ち込むことができる。

 まるで何かに操られているかのように。

「ははははは。馬鹿だの。信じたのか」

 いきなりエルフの爺さんが笑いだした。

「馬鹿なお主に教えてやろう。魔法だ。あたりの地図を表示させる魔法と、敵を感知する魔法。それから簡易鑑定魔法を組み合わせて常時発動し脳内に表示させておれば目が見えなくとも困るようなことはない」

「は?」

 顎が落ちそうになる。

 3つの魔法を組み合わせるじゃと?

 2つの魔法を組み合わせるという話は聞いたことがある。聞いたことがあるだけで、見たのは一度だけじゃ。

 それくらい複数の魔法を組み合わせるのは困難なことで成功させられる人間は少ないはずなのに……。

 3つ?

 さらには、その難しいはずの魔法を常時発動?ありえない話だ。

 いや、実際に目の前のエルフの爺さんが行っているというのだから……。

 どれだけ器用で、どれだけ魔力を持っているのか。

 エルフも、老人の姿になるほど長生きをすれば、それくらいできるようになるということなのか……。

「気配でモンスターの種類や位置は分かっても、流石に心臓の位置までは正確に分からないからな。魔法を使えば心臓の位置がピンポイントで分かって便利だ。黄色い目印が点灯する。ああ、色の話だったな。お前たちが目で見ている色は分からん。仕方がない。弱虫、お前が見た白い樹液の木がある場所はどこだ?」

 どうやら、この先へ立ち入る許可が下りたようだ。

「確か、ここからもう少し奥へ進んだあたりに。あ、確かあの木だよおじさん。モンスターが傷つけた後がある。あそこから白い樹液が出ていたと思うんだ」

 ダイーズ君が1本の木に向かって駆け出した。

「誰が私より先に進んでいいと言った!」

 エルフの爺さんがダイーズの首根っこ木の棒でひっかけて止めている。

 うむ。ダイーズの安全のためには間違っていない。

 それにしても、木の棒の先にダイーズを吊り下げて持ち上げてしまったが……。エルフの爺さんは力持ちなのか、魔法で肉体強化しているのか。

「ごめんなさいっ」

 じたばたと手足を動かしているダイーズの横をすり抜けて葉のつやを確かめようと木に駆け寄る。

「あの木か?あれが、ゴムの木!ゴム……!」

「誰が、私より先に進んでいいと言った!」

 うっ。首が閉まる……。

 気が付けば、爺さんにいつの間にか木の先に吊り下げられていた。

「ワ、ワシの身を心配してくれるのはありがたいが、これでもワシはA級冒険者レベルだ。上級モンスターが出てきても問題ない」

「かっ、誰が心配なぞするか!万が一こんなところで野垂れ死にされたら、死体の処理は誰がしなくちゃならないと思っている?」

 どさりとワシを釣り上げていた木ごと放り投げられる。

「単独での行動はA級でも危険だ。私くらいになれば単独でもドラゴンくらい何でもないがな。お前じゃぁ、刃がたたんじゃろ?」

 む。


いつもありがとうございます!

口の悪いエルフの口調が難しい。

ハンノマさんとの口調の書き分けがががが

なんで、爺さんって言うと「なんとかじゃ」って言いたくなるのかしら?


ところで、皆さまそろそろ、

月 ツギクル

火 ツギクル

水 なろう

木 ツギクル

金 ツギクル

土 なろう

日 なろう

っていう更新ペースは覚えてくれたかな?

……覚えたころには変更するかもだけど……毎日とか……さすがに長期間は無理よね……遠い目

では!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 脱字:を エルフの爺さんがダイーズの首根っこ・木の棒でひっかけて止めている。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ