番外編 ダイーズ君視点2
早速魔法の基礎講習は受けてみよう。それから、何の講習があるのか見てから……あ、受講にはポーションが必要だって言っていた。
ポーションを買わなくちゃいけない。どこに売っているんだろう?
村なら村長さんが管理してて、村人が必要な時に売ってくれたんだけど……。
なんせ、小さな村だったから、お店が一つもないし、行商人から個別に購入すると、必要な時に必要な人が持っていないなんてこともあって困るから、村長さんが結局店のようなことをしていてくれた。
村からギルドのあるこの町についてから少しだけ町の中を見たけれど、いっぱい店があった。
どの店に行けばポーションは売っているのかな?
お金、足りるかな……。村を出るときに持って来たお金……ギルドで講習を受けるのに何日もかかるなら、宿代も必要になるし……。
講習は諦めて村に戻った方がいいのかな?でも、せっかく遠くから来たし。魔法が使えるようになったら、村でも何か役に立つかもしれない。
「なぁ、講習どうする?」
「とりあえずさ、初級ダンジョン行ってみたくね?」
「行きたい!」
「だよなー。講習よりダンジョンだよなぁ。早くダンジョン行きたい」
スパーンと、受付のお姉さん……今は、講習の先生として教壇に立っているお姉さんから何かが飛んで、後ろで話をしていた二人の額にすここーんとぶち当たった。
「無駄話しない。それではいつまでもダンジョン行きの許可が下りませんよ!」
「先生、進めてください」
真面目そうな女の子が手を上げた。
「そうね。じゃぁ、テストをします」
と、白紙の紙とペンを配られた。
あ……。
顔が青ざめる。
何を書かされるのか分からないけれど、僕は字が書けない。村じゃ、誰も字が書けなかったから。唯一村長が数字だけは知っていた。
「はい、この問題を解いてください。答えは〇か×で書けばいいので、文字が書けない人も大丈夫ですよ」
そうか。〇と×なら書ける。
けど、前に貼られた大きな紙に書いてある文字が読めない。
「文字が読める人はどんどん問題を解いていってくださって構いません。読めない人のために、今から1問につき2回ずつ問題文を読み上げます。よく考えて答えてくださいね。もし、問題を聞き逃してしまった場合は、挙手してください」
ほっ。
よかった。問題文を読み上げてくれるんだ。それなら大丈夫。
「では、第一問。ダンジョンの中で、血を流して倒れている人がいました。周りを確認してモンスターの姿が無かったので、すぐに駆け寄り、背負って出口に向かいました。――この行動は〇か×か」
なんだ、簡単な問題。
そりゃ、もちろん〇でしょう。
血を流しているなら怪我をしているはずだ。
怪我人がいたら助けなくちゃだめだよね。
「第二問。ダンジョンの中で、怪我をして動けなくなりました。そこに強そうな冒険者が現れました。そこで、助けてほしいとお願いしました。冒険者が断ったので、では誰か助けを呼んでほしいと言いました。この行動は〇か×か」
ん?
ひっかけ問題かな。
強そうな冒険者と言っているから、本当は強いとは限らないということ?
だから、助けてといって助けてくれなかったからって、怒ってはいけない。怒らずに、助けを呼んでほしいと別のことを頼むんだから、〇だよね?
自信をもって〇をつける。
前の席の性別不明の綺麗な子は、すでにペンを置いて紙を裏返している。
もう、全部解き終わった?
「第三問」
おっと、人のことを気にしている場合ではない。
「では最後の問題です。第十問」
よかった。
冒険者としてダンジョンルールなんて習ったことなかったけど、問題はどれも簡単だった。
人として当たり前の行為を選べばいいんだから。
お姉さんが紙を回収して採点。
「はい、では用紙を返しますね。まずはブライス君」
名前を呼ばれて立ち上がったのは、顔が綺麗な子だった。
君ってことは、男の子だったんだ。少しがっかり。
「満点です。ダンジョンルールの基本はすべて分かっているようなので、初級ダンジョン基礎講習の知識編体術編を受ければ問題ないでしょう」
満点!
「次です」
次に呼ばれたのは女の子。1問だけ間違えていたらしい。
「はい、次は、おしゃべりする余裕があった割には、ずいぶん残念な結果ですね?初級ダンジョン基礎講習を受ける前に、ダンジョンルール基礎と応用も受けてもらいます」
男の子ふたりは赤点だったようだ。
「それから、最後にダイーズ君」
「え?」
名前を呼ばれたとき、前に座っていたブライス君が振り返った。
ん?
はい。どうも。まだ終わらない……。
やっとブライス君出てきた。
ところで、ダンジョンルールは皆さん、ちゃんと覚えてますね?
(覚えてないと思うけど)
答え合わせはしませんよ?いいですね?
というわけで、なんかだんだんダリーズ君が可愛くなってきたね。
ああ、もちろん、ダリーズ君、弓チートです。
ダンジョン入らなくてもレベル10まで上げた強者ですからね。しかも子供の間に。
ん……弓と言えばエルフ……もしかして、ダリーズ君の師匠に……もしくはダリーズ君の血筋は……
も、妄想ふくらむわ!
きっと、後で合流するのよね!どこかでユーリとの人生交わってるんだよね!




