番外編 冒険者登録の話=ダイーズ君視点1=
僕の名前は、ダイーズといいます。
それほど変わった名前ではないのですが、世間的には「タイーズ」と濁らない人の方が多いでしょうか。
さて、そんな僕ですが、晴れてレベルが10に上がり、冒険者見習いから、冒険者となることができました!
まずは、ギルドに行ってレベル確認。
そして、冒険者ランク登録です。
まぁ、スタートのランクはF級と決まっているんですけどね。依頼をこなしてレベル同様ランクも上げて行かなければなりません。
「はい。確かにレベル10ですね。今週レベルが10となり新たに冒険者となった者に対する講習が2時間後に行われますので、参加してください。それまではは仮のF級冒険者カードとなります」
え?
講習?
首を傾げた僕に、受付のお姉さんが親切に教えてくれた。
「レベルを10に上げただけで、ダンジョンルールもろくに知らない人間が冒険者になることもあるんですよ」
「ダンジョンルール?」
「あら?もしかして誰かに教えてもらわなかった?この時期に冒険者登録をするということは、冒険者養成学校に通っていたわけではありませんよね?だとすると、通常レベル上げはポーション畑や、魔石畑など、初級ダンジョンより難易度の低いダンジョンでモンスターを倒してあげるんですが……。そこで周りの人がダンジョンルールを教え合うはずなんです」
「あ、そうなんですか?僕は、その、村で狩りをしたりしてたらレベルが10になったので」
お姉さんはにこりと笑ってくれた。
「そんな不安そうな顔をしなくても大丈夫ですよ。君のようにレベルを上げて登録に来る人も年に何人かいます」
あ、そうなんだ。よかった。
それにしても、お姉さんは僕の気持ちがよくわかるんだ。そんなに表情に出ていただろうか?
「ダイーズ君のように、全くダンジョンルールを知らない人や、間違って覚えている人、それからダンジョンルールを軽く見ている人、そういった人たちがいないか確認し、必要な人間にはダンジョンルールを叩きこむための講習ですから。F級に登録時とB級昇格時には義務付けられています」
「え?B級昇格時に?」
「そうです。忘れていることがないかという復習と、気のゆるみによる事故を防ぐため。それからB級となってから課せられる責任の重さを叩きこむための講習ですよ」
なるほど。
叩きこむというところでお姉さんの表情がちょっとだけ怖くなった。
気のせいかな。
「できれば、S級冒険者向けにも講習してほしいんですけどね」
S級冒険者に?
あ、お姉さんの表情が、笑っているのに怖いです。
S級冒険者は国内外合わせても数名しかいないんですよね、確か。国をまたいで活躍しているため、現在どの国にどれだけのS級冒険者がいるかはギルド本部以外、王様でも知らないんですよね。そのS級冒険者を集めて講習は無理だと思うのですが。
それに、S級冒険者に講習なんて必要なのかな?
2時間の間に食事をして、講習会場と言われる部屋に入る。
中には4人いた。
2人が男の子で、1人が女の子。それからもう一人は……男の子かな?
やけに綺麗な子がいた。部屋にいる全員がその子のことが気になるようでチラチラと見ている。
年齢はみな僕と同じくらいだろうか。13歳~16歳の間のようだ。
「はい。では、早速ですがテストを行います。テストの結果を見て、それぞれ必要な講習を受けてもらうことになります。受講が義務づけられている講習以外にも、ギルドでは様々な講習を行っていますので、必要に応じて受けてくださいね。どの講習も1回ポーション5本で受講できますから」
ポーション5本?お金じゃなくて?
「聞いたことがある。その5本って、結局講習受けてる人間が使うんだって……」
「え?どういうこと?」
「剣術の講習1回受けるのに、ポーション5本は飲まなくちゃいけないくらいハードだってことだろう?」
「う……なるほど……」
後ろの席の二人がひそひそと話をしている。
そういうことか。あ、でも剣術の講習なんてものがあるんだ。受けてみようかな。他にどんな講習があるんだろう?
僕は狩りしかしたことがない。それも弓や罠を使った狩りだ。罠にはまった獲物を棒で殴り倒すことはあったけど……剣は使ったことがない。
「それから、魔法の基礎講習は無料で受けられます。レベルが10になってからはじめて皆さん魔法を使うわけですから。基礎以上の初級中級上級、それ以外の何かに特化した特殊な魔法などは、MPポーション5本から受けられます。講座によって必要なMPポーションの数は変わります」
へぇ。
そうか!
魔法の講習もあるんだ!
というか、魔法!そうだ!僕もレベルが10になったんだから、魔法が使えるようになったんだ!
どんな魔法が使えるんだろう。
いつもありがとう。
ツギクル版も合わせてお楽しみください。
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今回から数話はギルドサイドを、モブ視点からお届け。
ブライス君とかローファスさんはどういう位置づけなんでしょうね?
って書き始めたら、ちょ、ダイーズ君1話で終わらなかったー汗




