168 現金ゲット
「あ、そうだ。ポテトサラダには、この間食べたマヨネーズが使ってあるので、少し酸味があります。腐って酸っぱくなっているわけではないので
」
ローファスさんが、私の両肩をつかむ。
「ま、ま、マヨネーズって、あれ、あれだろ、あれ!えええ!あれって、卵使うんだよな?卵、えっと、卵……」
語彙がおかしくなっている。
「1個しかなかったので、料理には使えなくて。マヨネーズにしました」
「やったぁ!おい、ブライス、早く行こう!早く行って、早く食べよう!」
……早く行っても、お昼には早くならないと思います。苦笑。
ポテトサラダには、塩とマヨネーズ。それから玉ねぎのスライスとニンジンが入れてある。それをパンにはさんだものだ。
口に会うといいけどな。
「行ってらっしゃい」
小屋を出ていく二人を見送り、次はいつ会えるのか、そういえば……分からないんだよね。
「おう、王都土産楽しみにしててくれよ!」
「行ってきます、ユーリさん。カーツもキリカも、がんばるんだよ」
あわただしかった数日。
ここからはしばらく……また、いつもの平穏な日々が戻ってくる。……冒険者としてレベル上げがんばらなければ!
「じゃぁ、片付けようか。早くしないと街に行くの置いてかれるといけないし」
3人でてきぱきと片付けを済ませ、街に行く準備を整える。
まぁ、準備と言っても、買い物したときに入れるカバンを用意したりするくらいで、着替えるわけでもないんだけどね。
……っていうか、着替え!着替えが欲しいです!今まで何とかだましだましやってきましたが……。もう、限界です。
忘れ物は、ないはず。
ローファスさんから預かったブラックカードは持った。
それから買い物メモ。今日見て回る予定は、泡だて器、シフォンケーキの型、食器。それから食材。
それから着替え。
あれ?着替えとか、ブラックカードじゃ買えない……。料理関係の品じゃないし。調理服とかいう名目ならワンチャンス……。
って無理だ。と、とりあえず、見て値段確認と、あと、ブラックカードで買えるようなら買う。
あー、どれだけ回れるかな。
「はい、キリカちゃん、カーツくん。クッキー、昨日作ったやつ。上手に焼けたよ」
忘れずにハンカチに包んだクッキーを二人に手渡す。3種類同じ数ずつ入っている。形はまちまちなので、まぁ、だいたい同じ。
「わーい。食べていい?」
「お昼ご飯の後に食べようか。デザート替わりで」
「分かった!楽しみ!えへへへ。お昼ご飯は、キリカ達もポテトサラダ?」
「そうよ」
クッキーは、ハンノマさんへのお礼にも持っていくんだった。えーっと、私がつくったジャムのは補正値の都合でなし。
サーガさんにもいろいろなお礼として渡そう。3種類とも。ほかの人に渡すならば補正効果が切れるころに渡すようにと言わなければ。
「準備はできていますか?」
ちょうど荷物を手に持ったところに、サーガさんが顔を出した。
「はい」
クッキーをサーガさんに渡し、軍の馬車の荷車にのせてもらう。
「そうだ、買い物に行くのですから、お金が必要でしょう?今回の働きで報奨金が出る話はしましたね?」
はい。砂糖で先払いでもらいました。
「本来なら……原因究明から、薬の調合……兵や冒険者など何百人もの命の救済、さらには町への拡散防止と、とんでもない額の報奨金が陛下じきじきに与えられるような活躍です」
え?また出た。陛下とか……。ぶるぶると首を横に振る。
私の様子を見てサーガさんがにこっと笑った。
「ユーリちゃんが望んでいないことは知っています。まだ、いろいろとハズレポーションの件など表に出せないこともありますし、今回は軍の迅速な働きと、S級冒険者である兄さんの感、および偶然が重なりなんだかんだと解決できたと……報告する予定で」
「ありがとうございます!」
うん。なんか、長々とローファスさんとブライス君が口裏合わせとかしていたし、サーガさんも口裏合わせてくれるんだね。軍医さんにも口留めしてくれるっていうし。
「それでも、毒消し効果のあるクラーケンとバジルの調理……というか、まぁ、調合ということになるかと思いますが、調合を迅速に行い協力してくれたということで、いくらかの報奨金は出ます」
調合……。私にとっては料理なので違和感があるけれど、食べた人はひとかけらずつなので、薬認識なのかもねぇ。
「それと、手柄を横取りする兄さんに支払われる報奨金も、ユーリちゃんに渡るようにしますし」
え?
「でもまだ金額算定から実際に支払われるまでは時間がかかります。でも、せっかく買い物に行くのにお金があったほうがいいでしょう。これ、少しですが先払いさせてもらいます」
ふおうっ!
なんと、お金ゲットです!
金貨が3枚も!
これだけあれば、着替えが買える?
ありがとう!
金貨1枚って、100万くらいの価値ではありませんでしたかな?
(/・ω・)/すげー




