167 カレーって何?
「ドレッシングですよ。ハズレMPポーションのオリーブオイルと、塩とハズレポーションの酢を混ぜたものです」
ニンニクを入れたりドレッシングもいろいろとバリエーション作れるんだけど、今日はシンプルに。……まぁ、にんにくはないから。
玉ねぎすりおろしドレッシングでもよかったかな。でも、玉ねぎもわさびと違ってフードプロセッサーとかないとすりおろしとかむつかしいんだよね……。
「ハズレ毒消し草である山わさびをすりおろして混ぜてもおいしいですよ」
「それは、今度来た時な。せっかくうまいんだ。はー、トマトとレタス、ドレなんとかかけるといくらでも食べれるぞ!」
くすっ。
「ローファスさんは、どんな食べ物でもいくらでも食べられるでしょう」
ブライス君も同じことを考えたようで、楽しそうに口を開いた。
口調は、いつものように戻っている。
「ありがとうユーリさん。……おかげで、すごい勢いでMPもHPも回復しています……あの、それで、契約は……」
「ブライス君、こんなものが食べたいなぁっていうのは、わがままでもなんでもないよ?むしろ、何を作ろうかなぁって考えるのが大変な時は、カレーが食べたいとかリクエストもらったほうが楽だったりするのよ?」
わがままっていうのは、カレーが食べたいといったくせに、作って待っていても「食べてきた」といって食べないこととかだと思う……。
そうか。主人はわがままな人だったのかもしれない……。
「あの、でも……」
「鶏小屋作ってくれてありがとう。これで、卵でいろいろ作れるんだもの。嬉しい。無理させちゃって、ごめんね」
そうだ。
どちらかと言えば、卵が食べたいっていうのが私のわがままなのだ。
「ユーリさん、あの、僕はユーリさんに喜んでもらえれば、無理なんて思ってないですし、その……あ、ありがとう」
「なぁ、カレーってなんだ?」
「カレーが食べたいって言えば、ユーリお姉ちゃん作ってくれるの?」
カレーか。
「ごめんね、材料がそろわないから作れないと思う……」
小さく首を横に振ると、ローファスさんの目がギラリと輝く。
「材料?何が必要なんだ?」
……たくさんの種類の香辛料がいる。
香辛料って高価なんだよね。っていうか、そもそも種類そんなに流通してるのかな?
中には薬として使われるようなものもあるから……あれ?薬の研究所に行けば揃ったりして?
……。
ダメダメ!王立とか近づかない。
いくらカレーが食べたくなっても、忘れる。忘れる!
「とってもたくさんいろいろ、あの、私も、よくわからないから、名前とか覚えてないから、えーっと、作れません」
日本にはカレールーという見方があったので、さほどたくさん材料はいらなかったけどね。
「そ、そうか……」
しゅんっと肩を落とすローファスさん。
……。たぶん、カレーの味知ったら、後戻りできないよ?
ローファスさんみたいなタイプはカレーは飲み物!とか言いそうだもん。
「はー、美味しかった」
お腹をさすっているローファスさん。
「はー、ゆっくりしたいところだがそうもいかないな。ブライス、モンスターのうち漏らしがないかチェックしたらギルドに報告に行くぞ……それからそのあとは王都……だろうなぁ……」
ローファスさんが食器を手に取って立ち上がった。
「ああ、今日は後片付けはこちらでやりますよ。鶏小屋作るのに徹夜したんですよね?少しは休んでください。ブライス君も無理しないでね、それから、ちょっと待っていてください」
部屋に戻って昨日作ったクッキーとお弁当を持ってくる。
「これ、キリカちゃんとカーツくんと3人で作ったクッキーです。あ、お菓子なので、休憩時間とかにどうぞ。それから、こっちはお弁当」
大きな葉っぱを広げて見せる。
「角煮干し肉サンドと、ポテトサラダサンドです」
「ポテトサラダってなんだ?食べてもいいか?」
ローファスさんが手を伸ばしてきた。
「お弁当です!今食べてどうするんですか!ちゃんとお昼に食べてくださいよっ!」
慌ててローファスさんの手が届かないところによけて、くるみなおす。それを布に包んでブライス君に手渡す。
「ブライス君の分も一緒に入っているから。ローファスさんに取られないようにね」
「ちょ、俺持つよ、ブライス、ほら、よこせ」
信用できません。
「ブライス君」
「はい。ユーリさん、任せてください。ちゃんとお昼までは死守しますから」
頼りにしています。
いつもありがとうございます!
ぐおっ、ローファスさん信用ないw




