157 リンゴの皮
リンゴらしい風味は濃いし、美味しい。ただ、想像していた甘さがなくてちょっと口が驚いた感じだ。
砂糖があまり食べられないこの世界では、これでも十分甘いのだろう。
サラダにするとおいしそうだ。
それからやっぱりジャムとか火を通してもう少し甘くしたい。
あ、のどが渇いたとローファスさんが来たんでした。
「キリカちゃんとカーツ君、いっぱいリンゴ食べてね」
二人は私よりもリンゴの満足度が高そうなので食べたいだけ食べてもらおう。その間に、他のリンゴも向く。5個ほどリンゴをむいて8等分して芯をとる。それを大きな皿に山盛りにする。
「すげーな。俺、リンゴの皮をむいて切ってるの初めて見た」
まぁ、料理とかこの小屋ではしてないもんね。
「うん。キリカも!ブライスお兄ちゃんたちもびっくりするよ。これ見てもリンゴだって分からないかも!」
え?
どういうこと?
「丸かじりするもんだと思ってたけど、貴族は違った食い方するかもしれないからなぁ、ローファスさんとサーガさんは驚かないかもしれないな」
「「あ、そうか」」
キリカちゃんと私のことが重なった。
そうか。皮ごと丸かじりが普通……か。
確かに、リンゴって、皮と実の間が一番栄養があるとかなんとか……。現代日本のようにいろいろな食べ物を贅沢に食べる世界じゃなきゃ、わざわざ栄養のある部分、しかも食べられるところを捨てるような食べ方はしないか。
いや、捨てないけどね。
向いた皮と芯を鍋に入れて水を入れて煮ていく。
「リンゴ、食べたらブライス君たちに持って行ってあげて。休憩しながら食べてって」
「わわっわ」「もんももも」
口にリンゴをたくさん入れたまま返事が返ってきた。「わかった」と「きりかも」って言ったような気はする。うん。
リンゴの皮と芯を煮込んで、皮から色が抜けて来たのを確認する。
本当は、紅茶があれば、アップルティーができるんだけど、に出したリンゴの汁。これでリンゴ水ができる。水を飲むよりはおいしいと思う。
火を止め、芯と皮を取り出し、あとは冷めるのを待てばいい。
「うん、いい香り」
それからリンゴの芯は捨てるしかないけれど、皮は細かく切って、リンゴの皮のきんぴら。
大根の皮やニンジンの皮や、メロンの皮の内側の食べるには固い部分とかでもできる。
醤油とみりんとごま油。うは。ご飯に合いそうです。
それからメインの鶏料理には、麻痺回避草。
あとは、麻痺回避草でおつまみっぽいの作って。
取ってきた野菜でサラダ。
今日はスープ系ないけどいいかな。うん、いいよね。
それから、リンゴでジャムを作ろう。ご飯食べている間も、申し訳ないけれど、鍋は火にかけた状態で、時々焦げないように様子を見ながらさせてもらおう。
せっかく鍋の前に張り付いてみているなら、もう一つのコンロでも何か一緒に煮込もうかな?
ああ、そうだ。また鶏がらスープを作ろうか。ちょうど料理は鶏肉だし。鶏がらもあるし。
鶏がらスープで中華がゆとかも作れるよね。うん。お米の可能性は無限大だと、教えてあげたいので、明日の朝は中華がゆにしよう。そうしましょう。塩も手に入ったので。
「リンゴ、ありがとうございました。皮をむいてリンゴを食べると、ユーリちゃんはよく知っていましたね」
空になった皿を持ってサーガさんがやってきました。
うん。
なんだろう。
よく人が出入りする小屋だよね。
「よく知っていたとは?」
「あれ?貴族の私や兄さんに合わせてむいてくれたんじゃないのですか?」
うほ。
やっぱり貴族はリンゴの皮は食べないのかぁ。
「それとも、ユーリちゃんも普段から、リンゴは皮を食べてなかった?」
うっ。
「立ち振る舞いも上品だし、肌や髪の艶もいいし、やっぱりユーリちゃんはどこかの……」
うわー、誤解される!どこかのお嬢様でも没落貴族の娘でもなんでもない。
「た、食べますよ。皮!故郷では、その、皮を料理にして食べるので……ほ、ほら、これです。あ、そろそろご飯ができますから、あの、サーガさんも食べますよね?」
「え?私も、食べてもいいのかい?」
「はい。お口に合うかどうかはわかりませんが……」
にっこり笑って、サーガさんが私の頭をなでた。
うん、サーガさんも子ども扱いですね。完全に。
「じゃぁ、皆を呼んでくるよ」
と、サーガさんが小屋から出ていきました。
気が付けば、長い一日がやっと終わろうとしています。
いや、終わってませんよね?
もしかして、まだローラー作戦続行中なのでは?
あれ?サーガさんとかご飯食べてる場合なのかな?
お読みくださり感謝でございます。
リンゴの皮を、カレーにいれたことがあるトマトです。
だって、リンゴと蜂蜜とか言ってるから、合うんじゃないかと思って……。
結論、リンゴの皮が甘かった。
カレー食べてるのに、時々リンゴの味がした。
……(´・ω・`)想像となんか違ったよ!




