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【書籍化】ハズレポーションが醤油だったので料理することにしました【web版】  作者: 富士とまと


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155 鰹節といえば

 ブライス君はエルフの血が流れてて、キリカちゃんは獣人なんだ。それでもって、私なんて、異世界人なんだよー!

 ふ、ふふふ、すごい。

 笑い出した私にカーツ君とキリカちゃんが戸惑いの顔を見せる。

「すごい!キリカちゃん、少し獣化開放メーターが上がっただけで、こんなにたくさんのリンゴを取ってくることができたの?すごいね。うん。だけど、急に小屋を飛び出しちゃって、心配したんだよ?」

 キリカちゃんの目がクリンと小さく動いた。

「今度から、力がみなぎるとか、何か体調に変化があったら、すぐにステータスを確認するようにしよう?どんな食べ物がどういう影響あるのか、分からないことだらけだから……もしかして、キリカちゃんには毒だったのかもと考えると、怖いの。キリカちゃんが無事でよかった……」

 ぎゅっとキリカちゃんを抱きしめる。

 ああ、ついでに、頭なでなで。

 おかしいなぁ。

 昨日までとキリカちゃんは何も変わっていないというのに。この髪の毛のはねた部分が、髪の毛じゃなくて耳だと思うだけで……。猫の獣人だったと知っただけで……。

 なんだか、キリカちゃんをなでる手が「もふもふ」と音を立てているような気がするのは、日本人の性なのだろうか……。

「ユーリお姉ちゃん……うん、キリカ、あのね、キリカ、ちゃんとステータス確認するようにするよ。だから、あの、キリカ、ユーリお姉ちゃんと一緒にいてもいいの?」

「当たり前だよ。むしろ、キリカちゃんのこと、また一つ知ることができてうれしいよ。鰹節……ハズレ魔石は、キリカちゃんの獣化解放メーターを上げる効果があるんだね。料理に使ったらどうなるのか……今度手に入ったら慎重にステータス確認しようね」

 キリカちゃんの手が伸びて、私の体をぎゅっとつかんだ。両手はまだまだ小さくて、私の背中にまで回らない。

 小さなキリカちゃん。

 かわいいキリカちゃん。

 もしかして、今まで獣人だからって差別的な扱いを受けたことがあったのかな。

 変なの。

 キリカちゃんはこんなにかわいいのに、なんで差別する必要なんてあるの?あ、逆差別はしそうだなぁ。だって、かわいいは正義。もふもふは正義!

 かわいすぎる。

「ユーリねえちゃん、さっきのハズレ魔石、鰹節ってのもいろいろな料理が作れるのか?」

「そのまま食べてもおいしかったの!」

 キリカちゃんが猫の獣人だとすると……鰹節は、猫好きだもんね……とか、そういうことも関係するのかな?

「鰹節をそのまま食べることもあるけれど、一番簡単な料理はおかかのおにぎりかな」

「おにぎり?焼きおにぎりみたいなの?」

 キリカちゃんの質問にこくんと頷いて答える。

「焼かないから、もっと簡単かなぁ?ぎゅぎゅって握るときに、削った鰹節を中央に入れたり、ご飯と混ぜたり、最後に周りにつけたりして作るのよ。鰹節に、あらかじめ醤油で少し味をつけたりしてね」

 キリカちゃんの目が輝いた。

「それなら、キリカにも作れるよね!キリカ、ハズレ魔石手に入れたら、おかかおにぎり作る!」

「俺も!俺も作る!鰹節うまかったもん。ご飯と一緒に食べたらおいしいんだよな!」

「補正値が付くのか、キリカちゃんだけに効果があるのか分からないけれど……約束して。一人では絶対作って食べないでね。もし、すごい効果があって、小屋を飛び出すくらいじゃ済まないようなことがあったら困るから。どんな効果があるのか……ちゃんと確かめてからって。ね?」

 キリカちゃんとカーツ君がうなづいた。

「分かったよ、ユーリ姉ちゃん。もし、俺がレベル10になって、魔石のでるダンジョン行って、ハズレ魔石見つけても、絶対一人で食べたりしない。ここに持ってくる。それで、ユーリ姉ちゃんと一緒に料理する!」

 カーツ君が笑った。

 ああ、そうか。

 魔石のでるダンジョンに行くっていうことは、レベルが上がって、この小屋を出ていくってことなんだ。

「キリカも、キリカも、えっと、鰹節食べたいの我慢して、ちゃんと持ってくる!」

 キリカちゃんとカーツくん、二人を両手に抱える。

「約束ね。一緒に料理しよう。おかかおにぎり以外にも、卵と組み合わせる茶わん蒸しには鰹節は必要なの。ほかにもたくさん……鰹節は料理に使えるの」

 たこ焼きの上で踊る鰹節を想像する。

 クラーケンと小麦粉……。丸い穴の開いた鉄板欲しいなぁ。

 ソースはないけど、醤油味のたこ焼きもおいしいよね。って、鰹節はハズレ魔石なんだし、次いつ手に入るか分からないんだから。考えても仕方がない。

「ハズレ魔石にも種類あるのかな?」

 ハズレポーションには醤油とみりんと料理酒と酢があったし。

 ハズレMPポーションも、全部油だけど、私が確認できただけで、胡麻油と、オリーブオイルと、菜種油っぽいのがあった。

「ハズレ魔石がどうしたって?」

 突然ローファスさんが姿を現した。

「あのね、コカトリスのしっぽをダンジョンに入れたら、ハズレ魔石になったの。それがね、鰹節っていって、ユーリお姉ちゃんのこ……」


ご覧いただきありがとうございます。


なんか、鉄板さえあれば、ローファスさんが、指で突いてたこ焼き焼く鉄板作れそうな気がしてきた……。

あとで、指が痛いとか言いながら……ポーションで回復するとかまでワンセット。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] ……高度じゃなくても中級鑑定とかで年齢出そうだな……。(出てたかな?) 元々若いけど確かに幼くなっても驚かない。 (でも自覚なしだからなぁ……) (下手すると元々この世界の生まれで地…
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