153 キリカちゃんがぁぁぁぁ!
テンテテーンッ。
ハンノマ印の包丁!
と、子供向けアニメの青い奴がすごい道具を取り出す効果音つけて、ハンノマ印の包丁を握りました。
だって、たぶん、普通の包丁じゃむり。専用の道具を使ってすることだもん。
でも、ここにはその道具がないから、包丁で何とかしないとだけど、普通の包丁じゃ絶対無理。
ってなわけで、石すらすぱーんと切れちゃうハンノマ印の包丁の登場です!ああ、ハンノマさんありがとう。感謝感謝ですよ。
「薄ーく、薄ーく、向こう側が透けて見えるくらい薄ーく」
と、念じながらキリカちゃんの持ってきてくれたハズレ魔石にハンノマ印の包丁を当てる。
すると、念じた通り、薄ーく切れた。息を吹きかけると飛んでいく薄さ。
小さな塊だけど、これだけ薄くカットすると、ボリュームは出るのよ。うん。十分、十分な量になります。
どんどん薄く薄く、薄く。
「うわー、ふわふわ、きれいなの!」
「え?これがさっきのフンみたいなやつ?」
カーツくぅん、君、食べ物をうん〇呼ばわりはいけないよ。
君には、カレーは出せないよ?みんなでおいしく食べてるところを、遠くに隔離するしかなくなるよ?
「ふふ。さっきの石みたいに硬い塊、あれは鰹節っていうのよ。色が黒っぽいから多分荒節で、枯節ではないと思うんだけど、って、そんな細かいことはいいね。えっと、それを削ると削り節っていうんだけど、特にこう薄くふわふわにしたのは花かつおっていうんだよ」
「花かつお……にゃ……キリカ、たべたい」
「ん?」
キリカちゃんが目の前でよだれをたらしています。
「ああ、そうね。花かつおもそのまま食べることができたね。あと、醤油を少し欠けておかかご飯なんてくのもおいしいよ」
「なんか、うまそうな匂いがするな」
カーツ君も寄ってきました。
「うん、そのまま食べてもおいしいよ。味見どうぞ」
その間に、麻痺回復薬の下準備だ。
半分は、大人用おつまみ用に、細切り。半分は鶏肉料理用にすりおろす。辛いけど、火を通すと辛みは飛んで風味だけが残るから子供でも大丈夫なんだよね。
それから、大葉はみじん切り。
「にゃーーーーーっ!おいしすぎるにゃんっ!」
「キリカ!おい!大丈夫か?」
え?
後ろが騒がしくて振り返ると、キリカちゃんがまるでローファスさんのような食べっぷりで、花かつおを口に次々放り込んでいた。
「あああ、キリカ!なくなっちゃうぞ!」
「力が、みなぎるのー!」
え?え?
キリカちゃんの髪の毛のはねているところが上にぴょこんと立ち上がった。
うわー、力がみなぎって髪の毛が立つとか、そういうアニメありましたよ……。色が黄色くは……なってませんね。キリカちゃんは……。
「にゃにゃーっ!」
「おい、キリカっ!」
キリカちゃんが小屋を飛び出していった。
え、え、え?
「大丈夫なの?キリカちゃんっ!様子が、ちょっと変だったけど……」
飛び出していったキリカちゃんを追おうとドアに駆け寄ると、キリカちゃんはすごい勢いで走っていき、すぐに見えなくなった。
「カーツくん、どうしよう……もしかして、これ、日本……故郷で見かける私が知っているものと同じだと思っていたけど、何かやばいやつ、なのかな?」
少しだけ残された花かつおを見る。
「ステータスオープン」
カーツ君がステータスを確認している。
「異常状態を示す表示はないけどなぁ……」
残った少しの花かつおを食べる。
あー。やっぱり鰹節おいしい。って、味わっている場合ではない。
「ステータスオープン」
異常状態を示すっていうのは、一番下のほうに状態表示みたいな欄があったけど、そこかな?じっと視線を下に向けると、表示がスクロールしていき、下のほうが表示された。
状態……。正常ってなってる。
あれ、じゃぁ、あのキリカちゃんのあの過剰反応って何なの?
まさか、鶏からを食べた時のローファスさんや、甘いものの話を聞いた時のサーガさんのように「おいしい!」っていうことの過剰なリアクション?
う、うう?
それにしては、力がみなぎる?
いつもありがとうございます。
えへへー。
そうです。この、跳ねた髪が、ピーンと立ち上がるとうのがですね、あれです。
キャラデザで、どうしても跳ねたところ作ってくださいとお願いしたところなのです。やっと出せた。
そして、皆様のご想像通り、キリカちゃんは実は……うふふ(*´▽`*)
さて、鰹節料理にしたらキリカちゃんどれだけパワーアップするのかにゃー




