閑話*日本ではショートバージョン
土曜更新休みが寂しい方のためにショートバージョンをお届け。
旦那サイドなので苦手な人は読み飛ばし推奨。
「見ちゃったんだけど……」
朝の井戸端会議。
「見たって、何が?」
「ほら、結梨ちゃんの姿見なくなったでしょう?」
今日集まっているのは、5人。
ゴミ出しのタイミングが同じなので、ゴミ捨て場の手前で話し込むことが多い。
「おめでたでしょう?そう聞いたけれど……」
「うん、そう、旦那さんにお守りを渡したときに否定しなかったからおめでたなんだと思ってたのよ」
声を潜めるけれど、実際にはとても大きな声でのおしゃべりだ。
ゴミを捨てに来た人たちが何の話なのかと、聞き耳を立てている。
「ほら、結婚してずいぶん経つでしょう?」
「そうそう。学生結婚だったっていうから、まだ若いは若いけれど、そろそろ10年くらい?」
「へぇ、学生結婚だったの。それはそれは。ご主人が結梨ちゃんにぞっこんで一日も早く自分の物にしたかったのかしら?」
「ああ、だとしたら、結梨ちゃんは不幸だったわねぇ。あんなご主人につかまってしまって……」
「ねぇ、それで、見たって、何を見たの?」
「……ご主人が、絨毯というかラグというか、なんか大きなものを捨ててたんだけど……」
「大きなもの?ちゃんとゴミ捨てルールも守っていた?あそこのご主人、ゴミ捨て一つちゃんとできないってゴミ当番の人がいつも顔をしかめていたものねぇ」
「今回は大丈夫。捨て方の問題じゃなくて、物が問題で……」
「そういえば、奥さんが留守の間に、家のことに疎いご主人が大きなものを捨てるってちょっと変だね」
「ああ、確かゴミがベランダに放置してあったと言っていたし、大きなゴミなんて捨てるのめんどくさいから一番やらなさそうね」
「それが、真っ白なまだ綺麗なラグだったんだけど……見ちゃったの」
「見たって、何を?」
「血の跡。あの色は渇いた血だと思う」
「え?」
さぁ、久しぶりの旦那サイドでございますが、何やら、不穏な空気が……。
覚えていない方のために、なんかコップ割って、踏んづけたの覚えてます?




