135 油封印
「キリカ、あれまた食べたかった」
「そうだね。じゃぁ、今度、ローファスさんに頼んでみましょうか?……そう、鶏肉のレンコン挟み揚げとかできるよ」
生姜がないか。
「レンコンチップスもおやつにいいかも」
塩も手に入ったし。
あー、油と塩があるだけで、メニューの幅が広がる。
それに加えて、卵が手に入るなんて!
卵が手に入るなんて!
何を作ろうかなぁ。
プリンはむつかしいけれど、茶わん蒸しなら……。
だしがないので味気ないかもしれませんが。
あ、中華風茶わん蒸しなら、鶏ガラスープをまた作れば作れそうですね。
「おやつ?レンコンチップス?」
キリカちゃんが首を傾げる。
「うんそうだよ。パリパリって食べるんだよ。ポテトチップスよりは硬いから、持ち運んでボロボロになることがないから、あー、2日3日くらいなら携帯食にもなるのかなぁ?」
完成してからの補正効果は6時間ごとに1減るから、半日で8、1日で6になる。1日半で4、2日で2……か。
それでも、初級ポーションよりは回復スピードが速いだろうし、補正効果もないよりはましだと思う。まずは短期携帯食……。
初級ポーションのジンジャーエール味、初級MPポーションのコーラ味のレンコンチップス?
「キリカ食べてみたい!」
「俺も、俺も!」
「うん。また今度レンコンが手に入ったら食べようね。とりあえず、今日は大葉を持って帰ろう」
大葉だけでは寂しいですよね。
油があるし、小麦粉も塩も、軍の物資で分けてもらえるから……。
天ぷらが作れる!
天ぷら!カボチャにサツマイモに玉ねぎとニンジンのかき揚げもいいなぁ。
って、だめだめ。
揚げ物ばかりじゃ胃が持たれます。
油はなくなったりしないんだから、また今度にしましょう。
そもそも、ハズレMPポーションで料理しているところは、あまり人目につかないようにしなければなりませんよね?
緊急時代だから揚げ物したけれど……。
軍の人も冒険者の人も、復活してコカトリス殲滅……じゃなくて、たぶん変更してコカトリス捕獲計画になったのかな。
まだ周りにたくさんの人がいるっていうことだから、用心するに越したことはない。
大葉と、何作ろうかな……。
「ユーリお姉ちゃん、この葉っぱをちぎればいいの?」
「うん、そうよ。お手伝いありがとう」
「どれくらいいるんだ?」
大葉……青じそは、わさわさと生い茂っている。これも確か繁殖力が強かったはずなので、ちぎってもまたすぐ増えるはず。とはいえ、取りすぎても使い道……あ!
今日の料理と、他に大葉の醤油漬けを作ろう。それからそうだ!
前から気になっていたんだけど、スーパーで大葉を買うときは10枚とか束になったものばかりだったから作る機会がなかったアレを作ろう。
空を見上げる。
「あー、もうすぐ日が落ちちゃうか……」
作るのは明日にしたほうがよさそう。
「ん?まだ日没までには時間があるよ?」
カーツ君も私につられて空を見た。
「そうなんだけど、何時間か天日に干したいから、明日朝から作るよ」
「何を作るの?」
「フリカケ」
「ふり、か、け?」
「なんだ、そのふり、か、けって?」
キリカちゃんとカーツ君が首を傾げた。
「えーっと、ご飯がおいしく食べられるもの」
「どんなおかずなんだ?」
おかずではないですね。
なんと説明すればいいのか。
ご飯すら食べる習慣のないこの世界だから、当然フリカケも存在するわけないし。
えーっと。
「見ればわかるよ。明日作ろうね」
あれ?だけど、青じそフリカケって、子供の口に合うかな?
赤い普通のしそフリカケは小さい子も大好きだけど。
ご覧いただきありがとうございます。
予約投稿なのですが、もう、帯は見てくれましたね?
Amazonとかの書影とかで見られるような気がする。
あ、公式ページで見られるのかな。
なんせ、現状確認方法がないのであれですが……そして万が一、まだ公式発表ないとやばいので、予約投稿の段階では言葉を濁しておりますが……
そーなんですよ!そーなんですってば!
ありがとうございます。
と、お礼も書いておこう。