133 魔王の話
「ま、魔王とか、いるの?」
ちょっと待って、それって、勇者とかが選ばれたりとかしてってやつ?
伝説の剣とか、本当にあったりするわけ?
「キリカ知ってる!魔王って、暗黒大陸の真ん中にあるダークダンジョンの一番奥に住んでるんでしょ?」
うわー、まじかぁ!
「キリカ、それおとぎ話だぞ?暗黒大陸がそもそもないんだよな、ブライス兄ちゃん」
カーツ君が鼻の下をこすっています。
おとぎ話?
な、なんだ。そうか。
「正確には、暗黒大陸と呼ばれる場所は発見されていないというべきでしょうか。海の向こうに何があるのか、誰も知りません」
「この大陸にある国のことですら、把握しきれていませんからね。ユーリさんの故郷のことも……。卵を食べる文化がある国は聞いたことがありませんから」
あ。
えーっと、この大陸にある国じゃないんですよね。
……でも、まぁ、いざとなれば海を越えたどこかとかいえば、いいのか。
中世ヨーロッパ風の世界なのだから、大航海時代の前なのか後なのか、この世界の状況は分からないけれど。
21世紀の地球ですら、新しくまだ文明跡や謎の遺跡が発見されるくらいだから、世界の隅々まで誰も知らなくてもおかしくないよね。
よし。
私の故郷は未知なる世界。異世界っていうことは言わなくても不信がられることはなさそうです。
「マヨネーズといいましたか……。卵がある世界には、他にどんなおいしいものがあるのでしょうね」
サーガさんがすっかりなくなったマヨネーズの器を見た。
「プリン……卵さえあれば、いつか食べられるんでしょうか。お金を出せば手に入るものであれば、私が……」
「キリカも!キリカもいろいろ食べたいの!ねー、ブライスお兄ちゃん、サーガお兄ちゃん、コカトリスをどうするの?」
おっと、キリカちゃんナイス質問です。
結局どうするんでしょう。
「繁殖させるための方法をこれから話し合います」
「幸い、鳥のように翼はあるが空を飛ぶことはできませんから、小屋、結界で逃がさずに飼育は可能でしょう」
「結界は念のため二重、三重にすべきかと」
「毒の拡散が一番の問題になりますね」
「クラーケンとバジルで作った毒消しは保存がむつかしいでしょうし」
「上級毒消し草で対処できますから、備蓄するなら上級毒消し草でしょうね」
クラーケンの保存かぁ……。
確か、するめほど有名じゃないけど、タコの干したものもあったよね?
干したこ。そのまま食べられる味醂干しみたいなものもあれば、塩味だけの料理に使う干したことかもあったはず。
巨大なクラーケンはまだ足1本も消費していない。
足1本くらいは試しに干したこにしてみようか?
塩干たこ、味醂干たこ……。海辺の町でタコがいっぱいつるしてある写真を見た記憶があります。
太陽の光に充てて、風を当てればできるんですよね?
バジルも、乾燥バジルがスパイス売り場に売っていました。乾燥して粉にして保存しましょう。
あ、あと、せっかくオリーブオイルが手にはいったのだから、バジルのオイル漬け。ドレッシング替わりに使ってもおいしいんですよねー。
あー。いろいろ作りたい。
バジルは、さっき大量に収穫しちゃったから、今日はもう無理ですね。数日成長を待たないと。
「我々は大丈夫だから問題ないとして、知らずに外から来た人間が毒に感染する可能性が一番の問題だな」
「結界に立ち入れないように設定すれば」
「なるほど。だが色々設定した結界は維持するのに相当魔石を消費するのではないか?」
「では、小屋に利用者登録をしておけば」
「ああ、なるほど。何とか、毒を拡散せずに飼育は可能だと思えるようになってきたな」
「エサはどうすればいいんだ?」
「何を食べるか、ですか。【鑑定】えーっと、好物は……」
サーガさんとブライス君が、コカトリス繁殖に向けての話合いを進めています。
ふふふ。どうやら、卵は手に入りそうです。
わーーーーーい!
やったぁ!
これで、朝食に、目玉焼き、卵焼き、スクランブルエッグ、ゆで卵、温泉卵、卵かけご飯、……ああ、卵ライフ!
たまご!たまご!
本格的な料理じゃなくたって、卵様は偉大なのでございますよ!
そうだ!オムレツとかもできそうですね!
バターはないけど、油が手に入ったので。むっふー。むっふー。
「じゃぁ、今度こそ畑に行ってくるね!」
サーガさんとブライス君は周りが見えないくらい真剣に話し合っている。紙をだしていろいろメモしたり、鑑定魔法で詳細を確かめたりと忙しそうだ。
いつもありがとうです!
ついに8月に入りました。
書籍発売までカウントダウンですね……。
本日より、公式サイトへのリンク画像が表示されます。
ちょこちょこ情報が更新されるようなので、ちょこちょこ見て見てね。
とまとインタビューとかも載ってる(けど、あんまり見られたくないな、恥ずかしいぞよ……汗)
あと、AI分析とかも載ってる(ふお!恋愛小説だったのか!ってなる)
(*'ω'*)それではよろしくお願いします。
……あううう 興味ない方には申し訳ありませんが、
書籍なくしてはハズレポーション続かないので目をつぶってくださいね( ;∀;)