閑話*日本では
閲覧注意。かなり腹が立ちます。
仕事から帰ると家の明かりは消えたままだった。
テーブルの上に置かれていたのは、あいつの欄が埋まっていない離婚届。
「まだ離婚に承諾しないつもりか……」
それにしても、どこへ行ったんだ。もう10時だぞ?帰ってこないつもりか?
「あーっ、ったく。ふざけんなよ!ご飯くらい用意して出かけろっての!」
冷蔵庫の扉を開く。
野菜や肉や卵。そのまま食べられそうなものはない。
ちっ。
どこに何があるんだ?
戸棚や引き出し、どこかにレトルトカレーの一つもありはしないかと探して見る。
「ねぇな。それくらい用意しとけよ。カップラーメンすらないのかよっ!」
諦めて、コンビニに行くことにする。
へぇ。コンビニの弁当はこんなに種類があるのか。
どれにするかな。
ハンバーグ、から揚げ、オムライス、みんな食べたいな。
よし。買おう。
帰って、コンビニで温めてもらった弁当を開ける。
居間のソファに座ってテレビを……。
ん?
「おい、リモコン」
と思わず口にして、あいつがいないことを思い出す。
ちっ。本当に使えねぇ女だ。
きちんと離婚が成立するまで、彼女を家に呼ぶこともできないだろう。流石に鉢合わせさせるわけにはいけないだろう。
子供たちが混乱するだろうからな。随分なついていたみたいだから、子供たちに俺の悪口を吹き込まれたりしてはたまったものじゃない。
から揚げはぺちゃぺちゃしている。
なんだこりゃ。
揚げたてじゃないからか。衣がサクッとして肉汁がじゅわっとあふれ出るから揚げを想像していただけに驚いた。
まぁいい。他にも弁当は買ってよかったな。
次はハンバーグにするか。
一口かじる。
「コンビニの弁当に期待しても駄目だよな。こんなもんか」
ハンバーグは、俺の知っているハンバーグとは違い、ハンバーグっぽい形をした何かだ。何であるかを説明するのも難しい。ハンバーグっぽい練り製品とでもいうか。
「オムライスは……なんだか、食べる気がしないな。今日はもうやめだ」
箸を放り投げ、服を脱ぎ捨て風呂場へ向かう。
「ちっ、なんだよ、空じゃないかっ。畜生っ!」
疲れて帰ってきて風呂にも疲れずシャワーで済まさないといけないなんて。
それもすべて、判も押さずに家を出て行ったあいつのせいだ。
くそっ!




