130 やっぱり兄弟か
そうでした。唯一の卵で作ってたんです。
さっき揚げたフライドポテトをつまんでつけてサーガさんに手渡す。
「卵は、おいしいんです!」
「みんなもどうぞ?」
ポテトに、出来立てのマヨネーズを付けて食べて見せる。
それをみて、サーガさんが手渡したポテトを口に入れた。
「こっ、この味は……!」
「ああ、サーガばかりずるい。俺にもくれよユーリ!」
「キリカも!」
「俺も、俺も!」
もちろん、みんなで一つしかない卵を味わえるようにマヨネーズにしたんですから。どうぞ、どうぞ。
「マヨネーズって言うんです。故郷では、野菜が嫌いな子供もマヨネーズを付ければ食べられるとか、ご飯にまでマヨネーズをかけるマヨラーという人がいるとか、とにかく大人気の料理店…というか、調味料というか、ソースの一種というか、ドレッシングの一種というか……」
そういえば、マヨネーズって分類はなんなんだろう?
「こ、これは、やばいだろう……。やばすぎる。やばい……」
ローファスさんの言語が崩壊しました。
「兄さん、その通りです。これはやばい」
おや、サーガさんがローファスさんと意気投合しています。
「やばいな。やばい。世の中で鶏からが一番うまいと思っていたが、認識を改める必要があるようだ」
って、もう認識を改めるのか!早いな!
「問題は……コカトリスの毒対策をどうするかということですね」
サーガさんが制服の一部を取り外した。
グイっと引っ張ると、長いひもになって、それでコカトリスの両足をくくって端をローファスさんのベルトに結び付けた。
え?
「殺さなくて、いいのか?そうか!サーガ、おまえはさすが俺の弟だ!話が分かる!」
ローファスさんがサーガさんの頭をぐりぐりとなぜました。
え?
ローファスさん、サーガさんは、さすがに大人。軍の偉い人。
頭をぐりぐりなぜるなんて、子ども扱い……。
「兄さん、やめてください」
あ、弟だからなのかな?
それとも、誰にでもあんな態度?
「今は、バジリスクとバジルで作った毒消しが効いている人間しかここにはいませんから問題ありませんが、繁殖させるには毒を何とかしなければ無理ですね」
ブライス君も考え始めた。
「えーっと、とりあえず、コカトリスは繁殖させるつもり?」
首を傾げる。
だとしたら卵が手に入るようになって嬉しいんだけれど。
「ユーリお姉ちゃん、このマヨネーズ付けたら野菜がおいしいって本当?キリカ、卵好き」
「俺、野菜好きになったけど、もっと好きになれるってことか?畑に行って取ってこようかな。卵すげーな」
卵の価値うなぎのぼりです。
「卵はね、他にもいろいろと使えるのよ。おいしい料理いっぱいあるの。例えば、茶わん蒸しとかプリンとか」
「茶わん蒸し?プリン?なぁに、それ?」
「えーっと、茶わん蒸しは料理で、プリンは甘いお菓子」
とキリカちゃんに説明すると、サーガさんがこちらを向いた。
「甘い、お菓子……ですか?」
サーガさんの目がきらりと……いえ、ギラリと光った気がします。
ほんの一瞬ですが……。で、でも、光った、間違いない。
でもって、これ、知ってる。
この目……。
ローファスさんとおんなじ。
ううう、変なところで兄弟の血を感じました。
「あ、でも、卵があっても、他の材料がないと作れませんけれど……」
シンプルなプリンの作り方は意外と簡単だ。
卵、牛乳、砂糖を混ぜて蒸せばできる。
バニラエッセンスだとかゼラチンだとかを使ったレシピもあるけれど、一番シンプルなものは、材料は3つだけ。
この3つの基本の材料に、カボチャを混ぜてカボチャプリンだとかいろいろアレンジもできます。
はー、食べたくなってきました。
ご覧いただきありがとうございます。
……やばい、サーガさんの株も落ちてしまいそう……。
(´・ω・`)
うごごごごっ!