ssキリカの大冒険
「キリカ、どこ行くんだ?」
「あのね、うんとね、ないしょ」
「内緒って、あんまり遠くに行くなよ? 危ないところにも行くなよ?」
「うん。分かった。カーツお兄ちゃんは畑に行くんだよね?」
「ああ。野菜がおいしいって分かったからな。もっといっぱいおいしい物食べたいから」
「うん。キリカも、もっとおいしいもの食べたいの。それから……」
「それから?」
「なんでもないの。いってきまーす」
カーツお兄ちゃんは、畑仕事をがんばっている。
ユーリお姉ちゃんは、いつもおいしいご飯を作ってくれる。
キリカだけ、いつも少しお手伝いするだけだ。
……キリカも、もっと役に立ちたいの。
だからね、キリカ、今日は頑張るんだ。
「えっと、確かこっちだったよね……」
ユーリお姉ちゃんは、木の実をとても喜んでいたの。
だから、キリカ、木の実をいっぱい採っていくんだ。
「あ、あったの!」
綺麗に色づいた山葡萄を見つけた。
手を伸ばしてみたけれど、少しも届かない。
「えいっ、えいっ!」
ジャンプしても届かない。
「それ、落ちてこい!」
木の棒を拾って、実を叩いてみたけれど、やっぱり置いてこないの。
「うー……」
せっかく見つけたのに……。
「そうだ!」
キリカ、高いところは平気だもん。
「うんしょ、うんしょ」
木に登る。
大丈夫。下を見ても平気。怖くないもん。
「あ、もうすぐ手が届く」
山葡萄に手をのばせば、たわわに実った房を取ることができた。
「やった!」
あれ? でも、これをもって、片手でどうやって降りたらいいの?
どうしよう、降りられないよ。
「う、うっ」
「おーい、キリカ! そろそろ帰ってこい、どこ行ったー」
「あ、カーツお兄ちゃんここだよぉー」
「キリカ! 危ないぞ、早く降りてこい!」
「降りられないのー。手が片方ふさがってるの」
「は?山葡萄を持ってるのか?捨てて、両手でしっかり木につかまって降りてこい!」
「やなの! この山葡萄は捨てないのっ! ユーリお姉ちゃんに上げるんだもん!」
「……よし、分かった。じゃぁ、投げろ。俺が受け止めてやる!」
「わかった。カーツお兄ちゃん、頼んだね」
山葡萄を手放すと、カーツお兄ちゃんが上手にキャッチしてくれた。
「一人で降りれるか?」
「うん、平気なの……」
降りて行ったら、カーツお兄ちゃんに頭を叩かれました。
「無理すんなよ。怪我なんてしたら、ユーリ姉ちゃんが悲しむだろ」
「……う……うん……」
しゅんっ。なの。
「これ、きっとユーリお姉ちゃん喜んでくれるよ。キリカが採ってきたって知ったらどんな顔するかな」
カーツお兄ちゃんが笑った。
「えへへ。ユーリお姉ちゃん、どんな顔するかな」
キリカも、楽しくなった。
はーい。没SS第三段でしたー。
結構没になっておりますが、別に内容がどうのというわけでなく……
採用枠は、ローファスさん中心になりました。それだけです。
いつ公開されるかなー。えーっと、ローファスさんとブライス君の掛け合いだったり、
ローファスさんと飲み友達の会話だったり、
ローファスさんとギルドのおねーさんとの話だったり、
……ローファス、おまえなぁ……と、突っ込みどころ満載でお届けしております。
(*'ω'*)