128 卵型の!
マタギになりたいって今彼が、蛇を食べに行こうって言うから蛇センターに行って食べてきたんだけど、意外とおいしかったよ……と。
意外とおいしいというのがどういうレベルなのかはわからないんだけどうーん。
食べるべきか、食べざるべきか……。
「これだけおいしいのに、もう食べられないかと思うと残念ですね」
というブライス君の言葉に、ローファスさんが驚きの顔を見せる。
「バジリスクなんてそうそう現れるモンスターじゃないですから」
そういえば伝説のなんとかっていうレベルだっけ?
「ユ、ユーリ、コカトリスは?コカトリスでもこういう味するか?なぁ?」
血走ったローファスさんの目が怖いです。
「さぁ?故郷では鶏といえば、どちらかというとバジリスクよりもコカトリスのサイズだったんですけど……」
といった瞬間、ローファスさんの姿は消えていた。
そして、すぐに戻ってきた。
「ブライス、お前も来るんだ!」
ブライス君の腕をひっつかんで再び姿を消した。
なんなんだろうか?
「兄さん、いったいどういうことですか!コカトリスを殺すなって!」
すぐに、ローファスさんはブライス君とサーガさんを引き連れて戻ってきた。
手には……しっぽをつかまれぶら下げられたコカトリス。
「ユーリ、子供を作ろう!」
ニカッと笑うローファスさん。
は?
え?
顔が赤くなる。
ちょ、結婚しないって、言いましたよね!っていうか、結婚せずに子供を作る?それ、もっとダメな方向じゃ……。
「コカトリス、ちょうど雄と雌がいるんだ。繁殖させて数を増やせば、いつでも鶏から食べられるだろう?」
え?
鶏?
「あれ?ユーリ、顔が赤いぞ?ちょっと無理したから熱でも出たか?ポーション飲むか?」
ローファスさんが心配そうな顔をして手を伸ばしてきた。
「しっ、知りませんっ!っていうか、触らないでっ!」
伸ばしてきた手には……。
「コケーッ」
コカトリスがつかまれています。
鶏は、鶏は平気なんです。で、でも!
にょろにょろと動くコカトリスのしっぽが……しっぽが……。
「へびぃーーっ!」
蛇を繁殖させるだと?
飼うの?
ありえない、ありえない。
鶏からが食べたければ山鳥を取ってくれば似たようなのできますよっ!っていうか、蛇に囲まれてまで鶏を食べたいなんて思いませんっ!繁殖させたいなら、私の見えない場所で勝手にやってくださいっ!
っていうか、まさか、さっき姿を消したのは、コタトリスを生け捕りにするためだったんですね……。ブライス君に敵索魔法を使わせてまで……。軍がローラー作戦して必死にコカトリス殲滅しようとしてるのに……素早く生け捕りにして持ってくるなんて……。
もう、なんて言っていいのか分からないけれど、いや、何も言わないけど、とにかく一つだけ言えるとしたら。
蛇の繁殖なんて、あ、り、え、な……。
「おお、ちょうど卵産んだ。この調子で繁殖」
へ?
た、卵?
「た、たまごぉ!」
ローファスさんの手の上には、見慣れた白くて卵型の卵が!いや、卵なんだから卵型は当たり前って思うかもしれないけど、亀の卵は真ん丸なんだぞ。
ローファスさんの手の上から卵を取る。って、ぎゃーっ、蛇のしっぽにちょっと触っちゃった。
うう、うううう、が、我慢なのっ!
卵のためには我慢なのぉっ!
「何を作ろうかな。一つしかないから、目玉焼きや卵焼きやゆで卵はみんなで分けられないでしょう」
オムレツやスクランブルエッグもそうだなぁ。卵メインの料理は無理だ。
「何を言っているんですか、ユーリさん」
ブライス君が首を傾げた。
「え?何をって、もしかして卵焼きをみんなで分ける?ああ、ゆで卵にしてスライスしてパンにのせる?それなら分けられないことも……」
ブライス君が困った顔をする。
「いえ、そうではなくて」
じゃぁなんだ?
いつもありがとうございます。
(*'ω'*)卵だぁ