125 保護される子供じゃないっ!
「カーツ君、キリカちゃん、ブライス君を連れてきて」
ダンジョンの中に入れられないのは不便だ。
「ああ、俺が運ぶよ」
ローファスさんがずかずかとダンジョンの中にはいってブライス君を運んでくれた。
そうだった。男手があったんだ。
「ブライス君、これどうぞ」
少し覚ました小さめの唐揚げをブライス君の口に運ぶ。
「ありがとう」
ブライス君の口元に流れていた血はキリカちゃんがきれいにしてくれたのだろうか。
ブライス君が小さな唐揚げを飲み込んだ。
しばらくして、苦しそうだった呼吸が落ち着き、目の充血も収まり、青かった顔色も元に戻った。
「よかったぁ」
ほっとして胸をなでおろす。
「ブライスよかったなぁ。お前上級ポーションまだ飲める体じゃないのうっかりしてたよ。何かあってもポーション持ってるから大丈夫と思ってたけど……」
「ローファスさん……ブライス君のことは俺が守るって言いましたよね?」
何それ!
なんかあったらどうするつもりだったのよっ!
うっかりじゃないんだから!
「ブライス君に何かあったら……何かあったら……ローファスさんのこと、一生……ゆるさ……な……」
急に怖くなって涙が出てきた。
「僕が泣かせてしまったんですね……」
ブライス君が頬を伝う涙を人差し指で掬い取る。
「ごめんなさい。僕は……まだまだ未熟だ」
「な、何を言ってるんですかっ!私を助けてくれたんだよね!私を助けて怪我して……」
ぶるぶると首を振る。
「僕のけがは僕自身の責任で、ローファスさんという保護者の責任ではないです。ユーリさん」
はっとする。
そ、そうだ。
冒険者になったばかりだとか、レベルが10になったばかりだとか、それからえっと……そういうの関係ない。
見た目は中学生だって、28歳の男の人なんだもん。
「ごめんなさい……」
「いいえ、僕のほうこそ、心配させてすいません。上級ポーションが飲めないのだったら、中級ポーションやほかの方法……治癒魔法を覚えるか、治癒魔法を発動する魔道具を用意すべきでした……いい勉強になりました」
「私、私もなんとか、もう一度……作ってみる。作れるように、研究するっ!」
偶然一度だけで来たフリーズドライ。お湯を入れれば出来立ての味……。
味だけではない。出来立てと同じ効果が得られた。
角煮の干し肉は、時間がたつと補正効果が落ちていく。
だけれど、フリーズドライにした角煮は、お湯を注いで作れば作りたて判断のようで、補正効果がマックスで付く。
もしかしたら、私がお湯を注ぐときと、キリカちゃんがお湯をそそぐときじゃぁ効果が違ってくるのかもしれないけれど、それでも初級ポーションよりは効果の高いHP回復効果があるはずだ。
偶然できたときは、真空保存ができないかと思ってツボに入れて、風の魔法石でツボの空気を抜いたんだ。
同じツボに入れて魔法石を発動させたけれど、そのあとはできなかった。
何が違うんだろう?密閉度なのかな?それとも壺を置いておく場所?壺の置き方?日数?よくわからないんだよね。
水分抜ける場所が壺のどこかにないとだめなんだろうけれど、風の魔法石が上手く水蒸気として抜いてくれるかどうか?
うーん。本当に分からない。
だから、繰り返し実験するしかない。
フリーズドライ……そういえば、凍らせてもらってからツボに入れたんだっけ?
あれ?あれ?
フリーズドライっていうから、ああ、そうだったかもしれない。
え?
まって、じゃぁ、それじゃぁ……凍らせないと作れないってことは、えっと、私一人じゃ作れないってこと?
……。
「何を作るんですか?」
「えっと、いえ、その、と、鶏から、おいしかったですか?作りますよ?」
へへへと笑ってごまかし、鶏からを揚げることにした。
じゅわー。
皿を持って、出来上がりをローファスさんが待ってます。
とりあえずあがった鶏からをキリカちゃんの皿、カーツ君の皿、それからブライス君の皿にのせてから、最後にローファスさんの皿にのせる。
最後に回されたにも関わらず、ローファスさんは文句を言わなかった。
っていうか、さすがにここで文句を言うようであれば人間性を疑わざるを得ないんだけどね。
いつもありがとうございます。
予約投稿している時点で、まだ書籍のことなぁんも分かっていないという。いつ告知できるのかしらね?そろそろ告知してる?あと何日みたいな感じで活動報告に書いてる?
どうなの、未来の自分!
というわけで、現在の私登場!
あ、未来の私です。もう書籍情報出てまーす。8月10日発売で、予約とかも始まってるみたいなのよ。
どうぞよろしくお願いします。
加筆あります。あと、今頑張って特典SSとか販促SSとか書いてます。




