117 じゃがいもの魔法
「任せておけ!鶏うまい。鶏うまい、鶏うまい……」
ローファスさんが親指立てて、去っていきました。
あ、あれ?
タコの唐揚げが残されています。
ちょっ、これ、倒れてる人に運んで食べさせてくれないの?
何しに来たのでしょう……。
「ユーリちゃん、効果抜群ですよ。今、回復した兵たちが兵や冒険者の回収を行っています。次のはできていますか?」
「よかった。皆さんに効果あったんですね」
日本だと、薬は効く人もいれば効かない人もいるからね。
「どうぞ。キリカちゃんとカーツ君が手伝ってくれていますから、どんどん作りますよ」
「ありがとう、二人とも」
サーガさんは簡単にお礼を言ってタコの唐揚げを持って行った。
「キリカちゃん、カーツ君、たくさん作ろうね。余ったら、一緒に食べよう」
「うんっ!キリカ頑張る!」
「俺も!」
油の温度調整をしなくてもいいのは便利。
火の魔法石さんありがとう。
油が少なくなったら、追加していく。
ハズレMPポーションだってバレないようにね。人目を確認してからね。
「あ、ハズレMPポーションだ!」
ギクッ。
「本当に、料理に使えたんだ!すげー。こんなにうまいのできるなんて……!」
あ、カーツ君でした。びっくりした。
「すごーい」
キリカちゃんもお目目がキラキラしています。
ふふ。
油があるといろいろ作れるんだよ。
二人をもっと喜ばせたくて、早くマヨネーズを作ってあげたくなった。って、卵がないって!卵が!
100個ほどのたこの唐揚げの山が3つできた。
油切り用にジャガイモを敷いた皿が油に浸っている。
「カーツ君、ジャガイモをこんな風に細長く切ってもらえるかな?」
「わかった!」
油まみれのジャガイモは、そのまま揚げ油に投入!
油のリサイクルもできるし、ジャガイモはポテトフライにしちゃいます。
いいよね。唐揚げは3山あって、取りに来てないし。……できればあったかいうちに食べてもらいたいんだけどな。そればかりは仕方がない。
細長く切ったジャガイモ。
……あ、油を切る場所がない……うー、うー。
そうだ!
テントから紙を持ってきて皿に敷く。
初めからこうすればよかった。紙、ないわけじゃないもんね。新聞紙やキッチンペーパーとも違うけど。
きつね色手前でジャガイモを引き上げる。熱いうちに塩を振りかけざっくりとかき混ぜる。
「キリカちゃん、カーツ君、おなかすいてたら、これどうぞ」
「いいのか?あ、ジャガイモ切れたよ」
そうだ。油切り用のジャガイモを切るのをカーツ君に頼んだんだった。紙の節約に使おう。また後で揚げればいいし。
って、そんなにポテト食べられないか。ほかの人にも食べてもらえばいいか。
皿の数は限られてる。
そうか。
再びダンジョン内テントから紙を何枚か持ってくる。A4コピー用紙くらいの大きさの紙だ。
簡単にポテトを入れる袋を作れたんだ。子供たちとお店屋さんごっこをするために作った。4、5回追って端を中に入れるだけでテープものりも使わなくて作れる。
皿の数も限られている。紙なら幸いにしてそれなりの枚数はある。
「キリカちゃん、これ、覚えて同じように作ってくれる?」
2回折って見せたら、キリカちゃんは一人で折れるようになった。
一つに、タコの唐揚げを3、40個ほど入れる。それをいくつも作っておく。
「次のをもらいに来ました」
サーガさんが来た。
差し出された皿に袋に小分けした唐揚げを4つ乗せる。
「これはいいですね。携帯に便利です。ありがとう」
お礼を忘れずにサーガさんは去っていった。
「うんめぇ、クラーケンのもうまかったけど、俺、こっちのが好きだ」
「キリカもこれ好き。じゃがいもに魔法がかかったみたい!」
魔法か。
いつもありがとう。
ポテト旨い。




