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まずい麦と黒のハズレポーションで……

「これ、間違いないよっ!醤油だよ、醤油!」

 そりゃ醤油は調味料であって飲み物じゃないから、ごくごく飲めばしょっぱくて喉がひどいことになる。

 吐くこともあるだろうし……。

 そういえば、一升瓶の醤油を飲むと死ぬと言われているくらいだ。海水といっしょで、喉が渇いているときに塩分濃度の高い液体飲むと逆に喉が渇く。だから、ハズレだと思った人たちの気持ちもわかる。

 だけど、私は使い方を知っている。飲み物じゃないことを知っている!

 っていうか、黒いハズレポーションがまさかの醤油とか!いや、醤油味の別のものかもしれないけど、でも醤油!

「ああ、もう2センチしかない、もったいないことをした……」

 っていうか、昨日も何かおいしそうだと思う匂いがした。あの薄い黄色いハズレポーションからした匂いだ。

 捨てちゃったけど、もしかして、他のハズレポーションも飲むとまずいけど料理に使うとおいしい何かだった可能性があるっ!

 うわー、もったいないことした!

 いや、でも待って、ハズレポーションは当たりよりもいっぱい出たから、がんばる!がんばってゴキスラ倒す!

 おいしいご飯のためならば……!

「ユーリさん、ぱりぱりって音がしてきましたよ」

 おっと、火の番をしてもらっていたブライス君からお呼びがかかった。

 火を止めて蒸らしている間に。

 かまどの横にあるオーブンっぽいものを確認する。

 本当は七輪みたいなものの方が使いやすいんだけど、これでもできるかな?

 鍋のふたを開ける。

 ふわーっと炊き立てご飯のおいしそうな匂いが立ち上がる。

 ああ、これだけでもおいしそう。お米が立っている!お米の品種は分からないけれど、かまどで炊いた炊き立てご飯だもん。まずいわけないよね?

 お皿に出して少し冷めるのを待ち、手にお水をつけて握る。

「ふわー、すごい、三角になった。お姉ちゃんすごい」

 キリカちゃんが目を輝かせている。

「まだ食べられないのか?別に形なんてどうでもいいんだけど」

 カーツ君がお腹を押さえている。

「まずい麦をそのまま煮るなんて変わった料理ですね」

 料理ではないし、煮るんじゃなくて炊くんだけど。

 おにぎりにしてから。オーブンへ投入!

「まだ、できないのか?お腹空いたぞ」

「カーツ君、ごめんね。もう少しだけ待ってね?仕上げはこれだよっ!」

 じゃーんと、醤油を取り出す。

「それ、ハズレ黒ポーションじゃん」

「ふふふ、違うのでーす。これはハズレじゃなくて、大当たり。私の故郷の調味料、お醤油と言います!」

「調味料?冗談だろう、とんでもない味だぞ?」

 ブライス君が首を傾げた。

「塩も、じゃがいものように大量に口に入れたらとても食べられないように、醤油も飲み物のように飲んだらそりゃまずいに決まってます。でも、ちゃんと量を考えて使えばおいしんですよ!」

 表面がカリッとしてきたおにぎりに醤油をぬりぬり。もう一度オーブンへ。

 うはー。醤油の焦げるおいしそうな匂いがしてきました。

「はい!焼きおにぎりの出来上がりです!熱々なので気を付けてたべてくださいっ!」

 お皿に焼きおにぎりを乗せて、フォークを添える。

 手で食べるには熱すぎるので。本当は手で持って食べたいところですが。もうみんなお腹ぺこぺこなようなので。

 あ、そうだ。余分に作ってお昼のお弁当にすればいいんだ。そのころには手で持って食べることができる。

 ご飯はまだあるので、残りも全部握って焼きおにぎりにしちゃおう。

「うっ、うまいっ!なんだこれ!ユーリ姉ちゃん、これ、本当にハズレポーションで作ったのか?」

 カーツ君の言葉に続いてブライス君が口を開く。

「ハズレなんて呼ぶのは失礼でしたね。ユーリさんの言うように、当たりでしょう。醤油と言いましたか?」

「はい。醤油です。故郷では普通に大豆から作っていたのですが、えーっと、なんか作り方はとても難しくて専門家の人が作っていたので私には作れなくて……」

 昔は各家庭でも味噌や醤油を作っていたりもしたんだろうけど。現代日本人の私には無理だ。スーパーで買ったことしかない。

「それが、手に入ってうれしいです」

 はふはふと、暑くてなかなか口に入れられなかったキリカちゃんもかぶりと焼きおにぎりを口に入れた。

「ほんとーだ、おいしいっ!カリカリしたとこもほくほくしたところもおいしい!まずい麦とハズレ黒ポーション大好きっ!」

「米と醤油よキリカちゃん。それから三角ににぎったものがおにぎりで、おにぎりを焼いたから、これは焼きおにぎりね」

 うんとキリカちゃんが頷く。まぁ三角じゃなくてもおにぎりだけど。お結びっていうこともあるけど。

「【契約 焼きおにぎり1個 ポーションと交換】もう一個食べたいっ!」

 カーツ君が食べ終わったからの皿を突き出してそういった。

 もちろん、私は首を横に振る。

「えーっ、なんでだよっ!ポーション2個ならくれるか?」


ご覧いただきありがとうございます。

ブクマ、評価、感想励みになりますありがとうございます!

ポーションはHP回復の役割なのですが、MP回復の役割を持たせたもので分かりやすい名前を考え中です。MPポーション、魔力ポーションあたりを検討中です。他に何かよい案がございましたら教えていただけると助かります。ところで、エリクサーの一般的なイメージも教えていただけると助かります。私の中では上級ポーションより上のイメージなのですが……。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「暑い」は「天候・気象上の方、つまり夏の時のあつい」でこの場合は「単純に物体の温度の方」なので「熱い」が正しいですよ。
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