115 ハズレMPポーションオリーブの補正値
「そだ、ステータスオープン、補正値は……命中率かな?かっこがきで1ついてる。1?いつも10とかなのに、たったの1?」
そか。たったの1なら、まぁ別にほかの人もステータス確認してさほど驚くようなことないか。よしよし。
オリーブオイルのハズレMPポーションは命中率がちょこっとだけ上がると。
手でタコを油にぽとぽとと投入。
あ、油を切るための何にもない……。そうだ、せめて……。
テントにいってジャガイモを取って、細長く切る。
それを皿に敷き詰める。
揚がったタコをその上に載せていく。
多少はジャガイモの隙間から油が落ちるだろう。
油まみれになったジャガイモは後で炒めるか揚げるかすれば食べられるからね!油を無駄にしないの!
第一弾で揚がったタコの唐揚げは40~50ほどだろうか。
小さくしすぎたかな。菜箸で引き上げるのがすごくめんどくさい。
でも、もう噛む力も残ってない人が万が一いたら……大きいとのどに使えて窒息しちゃう。これくらいの大きさなら丸のみしても大人なら大丈夫なはずだ。
子供が口に入れて危険なサイズの実物大が家庭の医学という本に書かれていたのをふと思い出す。
念のため、すべての唐揚げにバジルの緑がくっついているか確認する。大丈夫そうだ。
「ユーリちゃん、まずは北側に20名、兵を集めました。先に彼らの分をもらっていっても?動ける人間が増えたほうが回収は早まりますから」
タイミングよくサーガさんが現れた。
「はい。できてます。どうぞ。あ、えっと入れ物が……」
皿を持っていかれると困る。
「入れ物?っていうか、なぜ、小屋ではなくこんなところで?小屋に何か器ありましたよね?取ってきましょう」
サーガさんが小屋に向かって走っていく。
「あっ!」
小屋にはモンスターが!
と、言おうとする間もなく、サーガさんは小屋に入ってしまった。
……。
……。
すぐに、小屋の窓から緑のモンスターがぴょんっと飛び出して逃げていくのが見えた。
ほっ。
何にほっとしたのか……。
サーガさんは、いくつもの器や鍋など料理を入れるためのものを運んできた。
「そういうことでしたか。気が付かなくてすいませんでした。モンスターから逃げるためにダンジョンのすぐ前で料理しているんですね……」
サーガさんが食器を置いた手で頭をなでる。
「よかった、無事で」
サーガさんがすぐに立ち上がる。
「回復した兵を何名か警護でこちらに向かわせます」
「え、大丈夫ですよ?ここにいれば平気です。一刻も早く皆を助けてあげてください。あの、街に被害が及ばないようにとか……」
森の中に散らばった人を回収するならどれだけ人がいても足りないくらいじゃないのかな?
日本でも山で遭難したらなかなか見つからないもん……全員が無事でいてほしい。
「ふぅ……今の言葉、聞かせてやりたいですね。ワシを守れ!街の人間なんか知ったものか!というやつらに」
え?何それ?悪徳政治家?
「ユーリちゃん、ではお手伝いを回します。足りない材料確保や、今みたいに皿を持ってきたり、それから料理の手伝いもできそうな人を」
料理の手伝い?
「あ、それなら……」
MPポーションを使っているのは知られたくない。
いや、まだ知られちゃだめなはずだ。
ハズレMPポーションはダンジョンの中に入れてある。鍋の中のこれは何かと尋ねられたら……ど、どうしようか。
「おーい、」
「あ、カーツ君、キリカちゃん」
二人がかけてくるのが見えた。
「よかった、無事だったのね」
両手を広げて二人に駆け寄りぎゅっと抱きしめる。
「ユーリ姉ちゃんも無事でよかった」
「あのね、途中でね、お話聞いたの。コカトリスの毒が原因で、クラーケン料理食べると大丈夫だっていうの」
ああ、途中で軍医さんに会ったのね。
「街への説明は途中で会った兵が任せてくれっていうから、戻ってきた」
そっか。
いつもありがとう。
感想、ブクマ、評価を励みに生きてます。あ、生きてるは大げさ?ううん、大げさじゃなくて、落ち込んだ時に嬉しい感想とか見ると生きる気力がわいてくるんだよ。
さて、実はオリーブオイルが私には分かりません。ごま油は良くわかるんだけど、他の油との見分けができないんです……これではいけないと、オリーブオイルのちょっといいの買ってきて匂いを嗅いだりなめたり料理をしたりと努力したんだけどね……なんか、難しい……。どうしてだろう