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103 燃やさないよ

 ううう、小屋にローファスさんがいてくれれば、高速の速さで肉取ってきてくれるのになぁ。って、だめか。肉取ってきてくれたとしても、やっぱりこの時間から血抜きしてさばいてとか、ちょっと無理かぁ。

 やっぱり、冷蔵庫欲しいよっ!

 れ、い、ぞ、う、こ!

 真空保存計画は、フリーズドライができてしまうという失敗だった。

 待てよ?

 フリーズドライは、真空にすると気圧が下がって沸点が下がるとかいうやつだっけ?フリーズだから、気圧のほかに気温が下がるとか?

 気温が下がるんなら、冷蔵庫じゃん?

 あ、でも中に入れるとフリーズドライになるのか!だめだぁ!っていうか、よくわからない……。

 うーん。うーん。

 ああ、やっぱり、自分で魔法が使えるようになって、氷作って、冷蔵庫に入れて食べ物を冷やすしかないっ!

 それか、氷魔法を使える人が近くにいつもいれば……。

 ブライス君は小屋出ちゃうし。

 あ、そうだ。

 もしかして、ダンジョン前食堂とか始めるんならさ、冒険者の人たちは結構氷魔法使えたりするんじゃない?

 食事代はいりませんから代わりに氷を作ってくださる方募集みたいな看板上げて置けばなんとかならないかな?

 主人の声が頭に響く。「お前ひとりじゃ結局何にもできないんだよ。俺がいなくちゃ、お前は今頃生きているかどうかもわからないぞ?」

 そんなことないよっ!わ、私だって一人でも生きていけるよ。小屋を出ることになっても、……。

 生きていけるように、やっぱり魔法は覚えないと。レベルを10まで上げて、それから氷魔法を使えるようになるんだ!

 私、気が付けば誰かに何かをやってもらおうって考えになってる?

 ぶるるっと身震いする。

 そんなはずない。

「なぁ、ユーリ姉ちゃんハズレMPポーションこんなに買い込んでどうするんだ?光の魔法石はローファスさんが小屋の分いっぱい用意してあるぞ?この間みたいにダンジョンで必要な時にも使えっていいんだぞ?」

「それからね、ローファスさんに言われたんだよ。明かりのそれは、火を使うから、火事になると危ないから子供だけで使っちゃダメだって」

 ああそうか。

 小屋でもし火事が起きても誰の助けもないもんね。ローファスさんはいろいろと子供たちのことを考えているんだ。火の魔法石はポーションと交換しないと手に入らなかった。だけど光の魔法石は生活に必要であれば好きに使えるようになっている。

「ふふふ、もちろん、料理に使います!燃やしたりしませんっ!」

 油、油。

 まずは何を作ろう。マヨネーズ?

 あ、卵がない。

 酢はあるのに、油も手に入ったのに!

 たーまーごーっ!

 とりあえず、何油があるか確認からだね。ゴマ油は確認済だけど。

 ナスと豚……猪の干し肉のごま油炒め。じゅるり。おいしそう。砂糖が少し欲しい。

 結局、後はローファスさんとブライス君の買い出しをお願いするしかないのね。

 ガタゴトと揺れる荷馬車。

 もうドナドナ気分はゼロです。

「止まれー!」

 遠くから静止の声が聞こえてきた。

 え?

 馬車がスピードを落とす。

 これ、まさか!山賊とかそういうのなのでは!荷を置いていけ!さもなくば命がないぞ!みたいな……!

 いや、でも待って、御者台に乗ってるの軍の人。兵だよ。ちゃんと制服着てたよ。そんな人相手に山賊が襲ってくる?

 2人しかいないから?

 どど、どうしようっ!

「止まれ!来るな!すぐに町に戻れ!」

 ん?町に戻れ?

「どういうことだ?説明してくれ」

 馬車が止まる。御者台から一人下りたような音がする。

 声の調子は山賊に遭ったという感じではない。

「近づくな、これ以上来ては……だめ……だ……」

 バタリと人が倒れるような音。

 え?切り殺された?とか?

 ぶるぶると震える。ど、どうしよう。

 両脇に座っているカーツくんとキリカちゃんを抱きしめる。

 私が、この二人は守らないと。どうしよう。私たちは荷物に隠れて姿は見えていないはずだ。今のうちに、二人を荷物に紛れさせる?

 でも、荷物が目的なら、連れ去られた先で結局見つかっちゃう。

 いえ、私がおとりになって、その間に二人には逃げてもらうとか?


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