100 攻撃力は3
ハンノマさんの指が太くて肉厚な手のひらが私の頭をなでた。
「嬢ちゃんみたいな子がローファスの坊主の嫁になってくれりゃぁ安心できるんだけどなぁ」
「なっ、なりませんよっ!ローファスさんとは結婚しませんっ!」
ハンノマさんはそうかそうかとしばらく私の頭をなで続けた。
「まぁ、また来てくれよ。ゴムの話もまた聞きたいからな。配合によっていろいろ硬さが変わるって言っていただろう?いろいろ試作してみるから、何に使えそうか教えてくれると助かる」
ローファスさんのことを坊主っていうハンノマさん、いったいいくつなのかな。私よりも年上っていうことだよね。父さんくらいの年なんだろうか。
頭をなでられているうちに、ちょっぴり小さなころを思い出した。父さんに最後に頭をなでられたのはいくつの時だっただろう……。
「はい。また街に来た時には顔を出しますね」
ハンノマさんが荷物を背負いなおして、店を出ていこうとするので、後に続いて店を出た。
「ありがとうございました!」
「気を付けて帰るんじゃぞ」
ハンノマさんの店を後にして、今度は防具を探しに行ったんだけど。
「それ、ハンノマのだろ?」
カーツ君が持っている短剣を見た店主が大慌てで予算に見合った防具をそろえてくれた。キリカちゃんの分も。
どうやら束に見ればわかるハンノマ印みたいなのがあるようだ。このハンマーみたいな形の印かな?
ハンノマさんはこのあたりで結構みんなに慕われてるのかな?印を見ただけで「ハンノマの紹介なら」みたいな状態だ。重ね重ねハンノマさんありがとうございます。
カーツ君は、額に金属のついたハチマキみたいなの。忍者みたい。それから皮の胸当てと短剣を腰にさせるベルトを購入。
キリカちゃんもナイフを腰にさせるベルト。それからもともと来ていたベストの胸元の裏に皮を縫い付けてもらった。
うん。
「ステータスオープン」
カーツ君もキリカちゃんもさっそく装備してステータスを確認している。
「あ、防御力が3上がった!キリカはどうだ?」
「キリカは2上がったよ。それからナイフが変わったから、攻撃力が12上がった」
「おお、12も?いや、俺も攻撃力が30近く上がってる。ナイフから短剣に代わっただけなのに?これ、すげーいいやつなのかな?」
いいやつ?普通はナイフ一つとか短剣一つでどれくらいステータスが上がるのか分かんないけど……。
カーツ君が驚いているってことは普通より上がってるってことだよね?ハンノマさん、ちゃんと金額に見合う品を用意してくれたのかな?
やっぱりもう少しお金を払うべきだったんじゃ……。
「ユーリ姉ちゃんは?」
「私は武器は買ってないから変わらないと思うよ?ステータスオープン」
えーっと、レベルは2のままです。
3日間ダンジョンでゴキスラいっぱい倒したんだけどなぁ……。1から2へ上がるより、2から3へ上がるほうがたくさん倒さないとだめってことだよね?
そりゃそうか。何年とか単位でブライス君も小屋でゴキスラ倒してたんだよね?
「あ!」
「どうだ?ユーリ姉ちゃん!」
「えっと、カーツ君やキリカちゃんにも見えるようにするにはどうしたらいいんだったっけ?」
「攻撃力開示――で、俺の攻撃力見えるようになっただろ?」
そうか。うん。開示ね。開示。
「攻撃力開示」
これで、見えてるかな?
っていうか、私のステータス日本語表示なんだけど大丈夫かな?それによく考えたらみんな文字読めないのに何でステータスは理解できてるんだろう?
どうも脳に言語ごして働きかける不思議表示なのかな?うーん。
「うっわー、すごいのユーリお姉ちゃん!攻撃力が200もある!」
あ、理解してもらえた。
「カーツお兄ちゃんが、短剣を装備して42で、キリカはナイフ装備して20でしょ。ユーリお姉ちゃん強かったんだね!」
いや、そんなはずはないよっ、っていうか、装備なしでカーツ君が12くらい?キリカちゃんが8くらいってこと?レベル2の私がそれよりも攻撃力あるはずがない。っていうか、いつもあんまりステータス真剣に見てないけど、攻撃力もともといくつだっけ?
「っていうか、私、武器持ってないよ?」
「えー、さっき買ってたじゃん」
「買ったの、これ、包丁だけど」
手に持って二人に見せる。
「でも、武器にもなるよね」
え?そんな感じでいい訳?
そういわれれば、RPGゲームの初期装備が木の棒っていうのもあったような?
棒が武器判定なら包丁なんて立派な刀もどきか……。
「じゃぁ、これちょっと持ってね」
カーツ君に包丁を手渡してもう一度攻撃力を確認。
3。
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えー、本編100話目です!どうも!ありがとうございます!
ささ、遠慮なく褒めてええんやで?←厚かましい




