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【書籍化】ハズレポーションが醤油だったので料理することにしました【web版】  作者: 富士とまと


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90 やったぁ!塩だ!

「じゃぁ、俺も!」

 今度はカーツ君がトマトにバジルを乗せた。

「【鑑定】……効果がありませんね?もしかして、カーツ、クラーケンも入れてみてくれ」

 カーツ君がクラーケンも入れると、効果が表れた。

「ということは、バジルとクラーケンという組み合わせで、バジルはバジリスクの毒をも解毒する効果を得ることができるということか……」

 ブライス君がはははっと楽しそうに笑った。

「これは、料理云々というよりも、新しい薬草の調合ですね。ドラゴンの心臓を材料に調合するみたいなもので……まさか、クラーケンにも有用な利用法があったとは……」

 へー。そうなんだ。

 っていうか、ドラゴンの心臓を調合するの?いったいどんな薬ができるんだろう。

 日本だと、人魚の肉を食べると不老不死になるみたいな伝説があったりするけど、ドラゴンって龍だから、神様を食べるなんて話ないんだよねぇ。

「ユーリ、これはギルドに登録してもいいか?ポーションは関係ないみたいだし、強力な毒消し薬が作れるのであれば多くの冒険者が助かる」

「え?登録?みんなに教えてあげるっていうことですよね?いいですよ、もちろん。みんながクラーケンを食べるようになれば、普通に街でもクラーケンを売るようになるといいですね」

 そうしたら手に入りやすくなる。

 さすがに今回のように軍まで動員した大掛かりな討伐でしか手に入らないなら、もうこの先一生クラーケン食べられないかもしれないし。

 ……あ、いや。ローファスさんがまた食べたいと思ったら、大掛かりにクラーケン退治して持ってきそうな気はするけど……。

「ブライス、いいよな?」

「ええ、そうですね。ポーションのように謎が多いわけではにでしょうし、誰でも同じように調合できるのであれば……。試しに、ローファスさんも調合してみてください」

 ブライス君の言葉に、ローファスさんが外に出て手でクラーケンの身を引きちぎりこぶし大の大きさに握って持ってきた。

 そこに、葉っぱの状態のバジルを乗っける。

「【鑑定】……ローファスさんでも強の解毒作用の毒消し薬が作れましたね。しかし、こんなに簡単に誰でも作れてしまうと、調合士の出番がないですね」

 ブライス君が頭を抱える。

「ははは、まぁ、クラーケンの販売先を調合士に限るとかすればいいんじゃないか?」

 え?

「それじゃぁ、私はクラーケンを買うことができなくなるの?」

 タコ料理が!

 タコ料理がっ!

「なんで、ユーリががっかりしてるんだ?」

「だって、タコ料理が!いえ、クラーケン料理がもう作れませんっ!」

 ローファスさんががびーんという顔をする。

「そ、そうだ、料理は作れなくても、解毒薬として買えば食えるからな?」

 と言って、ローファスさんは手に持っていた生クラーケンの身にバジルの葉っぱだけを乗せたものをパクリと口に入れた。

「まずっ!ぬるぬるする、げぶぅっ」

 青ざめながら飲み込んだ。

 ええ。ぬめりとか取らないとあれですよね。本当は塩が欲しかったんだけどなかったので、酢でぬめりを取りました。

 ぬめり取りに酢を使っても、酢ポーションの補正効果はなかったので、味付けにしか効果はないのかなぁ?調味料的役割を与えないと……。

 って、ああ、そういうこともメモしないとだめじゃないのかな?うっかりしてた!

 とりあえず、キリカちゃんが使ったものはすでにぬめり取りなどの下処理をしたものだったので大丈夫ですが、果たしてバジルをまぶしただけでどれだけの味になるのか未知数です……。

「だめだ!やっぱりユーリ、料理だ!料理してくれ!いくら解毒されても、こんなもん食べたら戦闘意欲がなえるっ!クラーケンの調合士のみへの販売はやめだやめ!いいじゃないか、一つくらい誰でも調合できる薬があったって!」

 ローファスさん涙目です。

 ブライス君がキリカちゃんの作った生タコバジル和えを口にしました。

「あー、これもユーリさんが作る料理に比べたら味気ないですが、まぁ、薬として口にするにはこんなものでしょうか……」

 キリカちゃんがしゅんっとした。

「キリカの作ったの、おいしくない?」

「キリカちゃん、違うよ、おいしくないのは、キリカちゃんが作ったからじゃなくて、材料が足りないからだよ!塩がないから!」

 そう、たぶん、塩気を足してあげればかなり落ち着いた味になるはずだ。

 肉のバジル醤油焼きみたいな料理もあったから、醤油を使えばいいんだけど、ポーション類は使うと調合レシピとして表に出せなくなる。

 せっかくなら、良薬は口に苦しっていうけど、おいしく食べられたほうがいいに決まっている!

「塩か!塩だな!ちょっと待っていてくれ!」

 何やらメモを取っていたサーガさんが小屋から出て行って、すぐに一握りほどの塩を持ってもどってきた。

「まだ掃討作戦の終了時期がわからないのでたくさんは提供できませんが、どうぞ」

 塩が器に乗せられる。ほんの少し指で取ってなめる。

「うわぁ!やった!塩だ!嬉しい!塩!ありがとう、ありがとうサーガさんっ!ずっと塩が欲しかったんです!嬉しい!嬉しい!」

 しかもこの塩、しょっぱいだけでなく少しの苦みとそれから後で口に広がる甘味が絶品。ミネラル分も豊富に含んでそうだ。

 夏場の水分補給用のスポーツドリンクっぽいものも作れそう。

 塩があるだけで料理の幅が広がる。何を作ろう。

「ユーリさんがこんなに喜ぶなら、もっと早くに塩を持ってきてあげるべきでした」

 ブライス君が落ち込む。

「ああ、そういえば、あのメモにもしつこいくらいに塩塩塩って書いてあったもんなぁ」


いつもありがとうございます。


さぁ、少し書き貯まったので、更新予約しときます。

とりあえず、月火、木金土

週に5日更新目指すよ!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 楽しく拝見させてもらってます! 旦那さんの閑話もすきですよ! [気になる点] 誤字報告できないので、こちらで失礼します。 誤字脱字で気になる点が… 「ええ、そうですね。ポーションのように謎…
[気になる点] 80 全部クラーケンのせい!において 外に出して巨大化するなどクラーケンを狩ることの危険性を散々説いたのに この話では普通に狩っても良い流れになっていて違和感しかありません。
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