少女と、村づくり 2
「神様、祈る場所作った方がいい?」
「そうですね……、あったほうが良い影響が出るかもしれませんね」
私が相談しにいったらランさんはあった方が良い影響が出るかもしれない、とそんな風に言っていた。
もし、本当に私が神子という存在として、どの神様が私に対して影響を与えているのかとかさっぱり分からないけれど、それでも小さくてもお祈り出来る場所を作ってお祈りしよう。私に不思議な力を与えてくれてありがとう、って。私がこうしてここにいれるの、そういう不思議な力があるからなんだと思えるから。
お祈りする場所が欲しい、と思ったからお祈りする場所は一生懸命自分で作ってみることにした。一人だけでは作れないから皆の力を借りてだけど。それに自分たちの住む場所を作ってからになるから、すぐには作れないけれど。
神様にお祈りしたら、何か変化が起きたりするんだろうか。ちょっとわくわくする。
私とランさんの家もしばらくして完成した。
グリフォンたちやシーフォも一緒に入れるように、大きめの家なんだ。木で出来た一階建ての家。扉は大きくて、中の家具も自分たちの手で必要なものを少しずつ作っていく。こうしていくと、家具を作るのも少しずつ得意になってきた気がする。こうして出来る事が少しずつ増えていくことも嬉しいなと思う。
「ベッド、出来たね」
「ええ、出来ましたね。レルンダはどんな家具が欲しいですか?」
「私は、タンスとかももっと欲しいんだ」
「そうですね。洋服もこれから増えるでしょうしね」
私はほかにどんなものが欲しいだろうか、すぐには全然思いつかないのだけど少しずつ揃えていって生活していく中で必要なものが見えてくる。
シレーバさんたち、エルフの人たちの家も一軒、一軒完成していく。あと精霊達への信仰の建物を一番エルフの人たちは気合いを入れて頑張って作っていた。エルフの村に居た時は、その建物の中には入ったことはなかったけれど、今回は出来たら入らせてもらえると聞いて嬉しかった。
この新しい場所は、私が生まれ育った場所とも、私が大好きだった獣人の村とも、そしてあの幻想的な風景のエルフの村とも違う光景が生まれていくのだろうか。
私たちの作り出す、私たちの村。私たち自身が住んでいく場所。
「村、という形が出来たらここでの決まりとかも作っていかなければなりませんね。少しずつ、私たちが住みやすい場所を作って行って、周りの環境をもっと知っていかなければなりません」
「うん」
住みやすい場所を作るための決まりを作らなければならない。そして私たちの自身の住みやすい場所にもっとしていかなければならない。そしてもっと周りの環境を知るのも大事だろう。私たちがここで過ごしていくために周りを探索していかなければならない。
「このあたりは人の手が入っていない場所ですからね、このあたりは私たちが思ってもいない発見が沢山あるかもしれませんから。育っている植物も見たことないものがいくつかありますし、色々調べていかなければなりません」
この辺りは人の手が入っていない。自然豊かで開発されている様子がない。だからこそ、このあたりには何があるのか、というのはまだ未知数だ。
私たちの村、建物を建て終わった後にどんな感想を私は抱くだろうか。この、私たちの住まう場所は何処に向かっていくのだろうか。それも、まだ未知数なこと。
「うん。どんな発見が待っているか、楽しみ」
「ええ。でも大変な発見ももしかしたらあるかもしれません」
「うん。でも、私、今度は逃げないで済むように、皆のこと守れるように頑張る」
「ええ、頑張りましょう。私も一緒に頑張りますから」
私とランさんはそんな話をする。ここでどんな発見が待っているのか、どんな出会いが待っているのか、それを思うと不安もあるけど、楽しみが大きかった。
私たちは少しずつ村を形にしていった。
その結果、時間をかけて建物が連なっていく。精霊樹を真ん中に、その周りには大きな広場が作られた。そこは、皆で集まって話し合いをしたり、祭りをする時に使えるようにって作ったんだ。その広い広場が凄く雰囲気が好きだなと思った。
その周りに家が作られている。
精霊樹の近くに、私が神様について祈る小さな建物も作った。お祈りする場所を真ん中に作ろうってことになって、その近くに精霊への祈りをする礼拝堂も作られているし、グリフォンたちへのお祈りの場所も作られていた。
薬草園や畑もそれなりに形が整ってきた。まだ、少ししか面積はないけれどすくすくと育っているといっていた。
ここから、新しい一歩が始まる。村が出来上がるのが終わりじゃなくて、出来上がってからが始まりなんだ。
私は、この皆で作った場所で、ずっと生きていきたい。そう、思ったんだ。
――――少女と、村づくり 2
(多分、神子な少女の新しい場所は出来上がっていく。それを見ながら、ずっとこの場所で生きていけたらとそんな風に少女は思うのだ)




