少女、少年の憂いを知る。
誕生日のお祝いをした後、私たちはまた南へと向かった。どこに拠点を移すかという話し合いをしながら、私たちは進んでいく。
ガイアスは、相変わらず何かを考えたような顔をしている。オーシャシオさんは、放っておいていいといっていたけれど本当に放っておいていいのだろうか。ガイアスのこと、もっとわかる私でいたらいいのに。ガイアスのことわかってたら、ガイアスがそんな顔をしているのもどうにか出来るのだろうか。
そう思うけれど、私の心を皆が正確に分からないように、私とガイアスは違う人だから正確に全てが分かるわけではない。私は生まれ育った村に居た時、こんなこと考えたこともなかった。
ただ私は死んでいなかっただけで、あんまり何も考えずにただ生きてた。
会話をすることもあまりなく、口を開くこともなかった。誰かのことを知りたいという気持ちもなく、自分で何かをするというのがなかった。
でもグリフォン達やシーフォっていう家族と出会って、大好きな皆と出会って、私は色々な事を知った。話さなければ分からないこともあるというのも、皆に出会って分かったこと。
ガイアスから話を聞くタイミングは、それから数日後に出来た。
夜だった。
空を見上げれば、星々が輝いている。夜空は、とても綺麗。
星空を見上げていると落ち着く。ううん、星空だけじゃない自然に触れていると何だか落ち着くことが出来る。
ガイアスと、誓いを立てた時もこんな夜だった。そう思いながら、歩きたくなった。
「あ……」
歩いていたら、ガイアスが居た。
私はガイアスを見た。ガイアスも、私を見てる。
「レルンダ」
「ガイアス……」
私は、ガイアスと見つめ合う。
「ガイアス、話そ」
私がそういったら、ガイアスは頷いてくれた。だから、二人で並んで座った。
「ガイアスは……」
私はガイアスが何を考えているのか、知りたいなと思ってる。だけど、無理して話してもらうのもと思って言葉が続かなかった。
ガイアスは、私の方を見て少しだけ笑っていった。
「レルンダ、俺が何考えているか気にしてるんだろ?」
ガイアスは、私が何を聞きたいのか、わかっていてくれていた。ガイアスは、私に言う。
「レルンダは……、あの魔物退治の時も、凄かった」
ガイアスが、私のことを口にする。凄かった、なんていうけど私はただ必死だっただけだ。
「……皆のための力になれて。それに、グリフォン様たちやスカイフォースと契約を結んでいて、今回は精霊とも……」
「……うん」
ガイアスが、悩んでいること私に何か関係があるのだろうか。分からない。分からないからこそ、ガイアスの話を聞く。聞かなければ、ガイアスが何を考えているかも分からないから。ガイアスのことを、知りたいから。
「レルンダは……、その、神子かもしれなくて、凄くて……」
「凄く、ない」
「いや、凄いだろ。皆の役に立ってる。でも俺は―――、皆が安心できる場所を作りたいってそんな風に言ってはいるけど、全然駄目だろ」
ガイアスが、何を言っているのか分からない。
ガイアスが駄目? そんなことない。ガイアスは凄い。ガイアスは優しくて、私のこと助けてくれて、凄い。私はガイアスのこと、凄いって思う。
「―――俺は口だけで、レルンダみたいに行動できてない。全然、力がない。魔物退治の時も、俺は何もできなかった」
「……そんなこと、ない。ガイアス、凄い。私知ってる。ガイアス、いつも優しい。私、ガイアスのおかげで沢山、助かってる。それに私、安心できる場所作りたいとか、思いつかなかった。ガイアスが、思いついて、私たち、口にした。だから、皆もそれがいいってなったんだよ」
ガイアスはいつも優しくて。私はガイアスのおかげで助かっていて。それに、皆の目標になったことも、ガイアスが口にしたその願いがあったから始まったんだよ。多分、ガイアスが言い出さなきゃ、そういう願いが皆の目標にならなかったかもしれない。少なくとも、私はそんなこと思いつけなかった。
ガイアスに言われて、素敵だなと思ってその願いを私も叶えたいって思ったんだ。
「私、ガイアスのおかげでこれだけ、前向けるようになったんだよ。ガイアス、駄目とか違う。ガイアス、凄い!」
私はガイアス自身が何度、自分が駄目だっていおうとも、私はガイアスを凄いと思ってるもの。ガイアスは凄いって私はガイアスに何度だっていう。
「――そうか?」
「うん、ガイアス凄い!」
「……ありがとう、でも俺、もっと皆の役に立ちたい。口だけじゃなくてもっと強くなりたい。皆の事、守れるようにもっとなりたいんだ」
「うん、じゃあ、一緒に頑張ろう」
「ああ」
「私、ガイアス、強くなれるように祈る」
「はは、ありがとう、レルンダ」
ガイアス、笑ってくれた。少しは心が晴れてくれるといいな。ガイアスが強くなれるように私は願おう。ガイアスが笑ってくれるように、私は祈ろう。
そして一緒に、頑張っていけたらいいってそう思うんだ。
その翌日、思いもかけない変化が一つ起こった。
―――少女、少年の憂いを知る。
(多分、神子な少女は獣人の少年の憂いを知る。少年は自分が何もできていないと無力を感じていた)




