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【連載版】双子の姉が神子として引き取られて、私は捨てられたけど多分私が神子である。  作者: 池中織奈


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少女と、これからのこと 1

「そうか」

「まぁ……、レルンダとガイアスはそんなことを考えているのね」




 私とガイアスは、二人で誓い合った翌日、一緒にドングさんとランさんの元へ自分達の決意を言いに行った。

 私とガイアスは、手をつないでいる。



 ―――獣人たちが、安心して暮らせる場所を作りたい。



 そう伝えた私たちを、ドングさんとランさんは笑わなかった。私もガイアスも子供で、叶うかも分からないような夢物語のような夢。ただ、作りたいと口にしているだけの私たちの夢。

 それを、ドングさんとランさんは受け止めてくれた。




「それは、難しい」



 ドングさんは、難しい顔をして言った。



「難しいが……いい、夢だ」



 そして続けた。いい夢だと、ドングさんは言って口元を緩めた。




「ええ、いい夢ですわね。その夢をかなえるためにもまずは、私たちがこれからどう動いていくかを考えなければなりません。ガイアスとレルンダが望むその未来のためにもまずは、私たちが生活をしていくことですわ」




 ランさんも、そんな風に言った。

 夢をかなえるためにも、私たちが生活をしていくことが重要なのだと。



「うん」




 私とガイアスは、二人そろってドングさんとランさんの言葉に頷いた。

 私とガイアスの、誓い。私とガイアスが、望んだ未来。それを叶えるためにも今を見なければならない。




「私たちは、今逃亡者です。グリフォンたちやシーフォがいて、皆さんがいて、そのため運がよく、こうして私たちは危機にさらされることがなく、進んでこられていますが、正直この後の見通しは立っていません。レルンダ、ガイアス、貴方たちは子供だけれども、それでも数として考えなければならないほど、私たちは大変な状況にあるのは確かです」




 逃亡者だと、ランさんは言った。私たちは逃亡者。逃げるしか道がなくて、逃げた。

 今はなんとか進んでいけているけれども、この先はどうなるか分からない。



 ランさんは、ちゃんと私とガイアスを、子供だけれども、一人の人として難しい話もしてくれている。私が守られるだけではなくて、ちゃんと知りたいと思っている気持ちをわかってくれている。




「貴方たちの夢は難しい。本当に難しい話です。でも———それが叶ったらどれだけ素敵な話でしょうか。私は、貴方たちが願ったその夢が、叶った瞬間を見たいと、そう思いますわ。だからこそ、本当に貴方たちがあきらめずにその夢をかなえ続けようと努力をするならば、私もそのためのお手伝いをしましょう」




 ランさんは私たちの夢が難しいとそれをちゃんと告げた上で、ランさんは笑った。

 ランさんの言葉を聞いて、頑張りたいと思った。私が想像するよりもずっと、ずっと難しいことだろう。だけど、それでも叶えたいと思うから。




「俺も……その夢には、協力をしよう」



 ドングさんもそういってくれた。



「ただし、ランが言っているように……今の生活を安定させることが大事だ」



 ドングさんの言葉を聞いて、私もガイアスも頷いた。


 私たちは、誓いを叶えるためにも先を見るだけではなく、今も見なければならない。









 結局の所、誓いをした後も今の逃亡の生活は変わらない。ただ、行くあても分からない旅を続けている。これからのことをどうするのかという話し合いがされている。

 何処かに村をつくるのもいいだろうという話もされているけれど、あまり、フェアリートロフ王国やミッガ王国から離れていない場所だと、危険かもしれないからというのもあってとりあえず歩き続ける日々が続いている。



 シノミやカユ、そして男の子の獣人たち。

 皆不安そうにしていて、足が痛いんだって泣いている時もある。グリフォンたちのうち一匹に足が痛いっていってる皆を乗せてもらったりした。



 グリフォンたちやシーフォは周りへの警戒などをやってくれている。だから一匹だけでもそれから外れるのは、私たちが進む速度を少しだけ縮めてしまうことになったけれど、それも仕方がないことだと受け入れてもらった。私は皆の背にはのらずに、自分の足で歩こうと頑張っている。私と契約をしているグリフォンに私が乗らずに、自分が乗っていることに申し訳なさそうな顔されたけど、大丈夫だからっていった。



 私は、もっともっと、強くなりたいから。こういう時に皆に頼ってばかりではいられないから。私はもっと自分の足で、自分の手で、頑張れるようにならなきゃなんだって、そう思ったから。

 アトスさんのようなことがこれから起こらないように。私は、そのためになんだってしたいって思ったから。

 そのためにも、私は不安そうにしている皆の不安を少しでもなくしたいって思った。

 大人の皆も不安そうだけど、子供たちの方がもっと不安そうで。だから、友達の皆を元気づけられたらって思った。



 私は、私が出来ることをやる。この先、皆で、どうなっていくか、どのようにしていくかなんて結論はついていない。分からないけれど。

 私はこれから、ガイアスとの誓いを叶えるために、私が守りたいものを守るために、そのために行動するのだ。




 ―――少女と、これからのこと 1

 (多分、神子な少女はこれから自分が出来ることをやり、自分の誓いを叶えるために動いている)



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