少女と、女史の帰還 3
「昨日はすみませんでした。遺跡のことを皆さんにお伝えしようと思っていたのに眠ってしまい……!」
「ランドーノ、それは気にしなくていい。ランドーノも疲れていたのだろう」
目が覚めたランさんは、昨日眠ってしまったことを気に病んでいるようだった。
その言葉にドングさんがそう告げる。
ランさんが遺跡から帰ってきて眠ってしまったのも仕方がない事だと思う。ランさんは体力が少ない方だしね。
私も適度に体は動かしてはいるけれども、獣人たちほど体力はないから遺跡に行ったらランさんのように疲れてしまうかもしれない。
私は今、広場にいる。
今回、遺跡の情報を知りたい住民たちが此処に集まっている。
この場に居ない村人たちももちろんいる。
私は、遺跡にこの後向かう予定もあるし、ランさんの話を聞きたいなと思って此処に居る。
ガイアスたちもここにいる。私の右隣にガイアス、左隣にはシノミがいる。
あとは興味をもってやってきているリルハとカミハ、あと子グリフォンたちが此処に居る。その横にはドアネーアも。
それと私の頭の上にはフレネが乗っている。
「では私が行った遺跡の概要を説明させていただきますわ!!」
広場の中心でいきいきとランさんはそう言う。
それだけでもその朽ちた遺跡というのが、ランさんにとって何処までも楽しいものだったのだと分かる。
ランさんの紫の瞳が生き生きと輝いている。私はランさんのこういう表情が好きだなと思う。
「ドアネーアの言っていたように、あの遺跡は過去に魔法文明が栄えていたというのがよくわかりました。私は魔法を使う事が出来ないのですが、確認していただいたところ、とても魔力の残骸が残っている箇所が多いとのことでした。私が魔力を感じられたらもっと色んな研究が出来たでしょうに……いえ、でも例え私自身が魔力を感じることが出来なくても研究をすることは幾らでもできますもんね。次にあの遺跡に向かう時は是非とももっと研究をした――」
「ラン、今はそういうのを語る時じゃねぇだろ。いいから、話を進めろ」
「はっ、ごめんなさい。続きをいいますね」
ランさんはランさんだなぁと思わず笑ってしまう。
ニルシさんに注意をされ、ランさんはこほんっと咳ばらいをして話を進める。
「随分昔に朽ちた遺跡であるというのは、かろうじて残っている遺物で確認することが出来ました。
フェアリートロフ王国にいた頃に読んだ書物で見た事があるような年代のものが沢山見られました。すっかり姿を無くしてしまっていたので、元々の姿はもっと研究しなければ分かりませんが、あの場所に巨大な国があったことは分かります。
よほど大きな国だったのでしょう。よく調べてみると広範囲にわたって、何かしらの痕跡が残っているのです。この土地は木々の浸食が激しく、建物はよく見ないとわかりませんが……それでもそれだけの文明がこの土地に栄えていたと思うと歴史を感じます。
遺物のすべてを回収出来たらよかったのですが、全てを回収することは出来ませんでした。少しずつ回収して記録を取って行けたらと思います。
それにあの土地に人が住んでいた痕跡があるということは、あの土地を開拓していくことも出来るということですからね」
私はまだ行ったことのないその遺跡は、よっぽど木々の中に埋もれている場所なのだろう。
すっかり姿を無くしてしまっているというその場所では、どんな人たちが生きていたのだろうか。どんな風に過ごしていたのだろうか。
その場所で生きていた人たちはもう寿命で存在はしないだろうけど、そういうことが気になった。
ランさんと一緒に遺跡の事を調べて行ったらその場所で生きていた人たちのことも分かるだろうか。
それにしても私は遺跡の事を聞いた時、興味はあっても先のことは考えてなかった。だけどランさんはその遺跡の場所をどうしていくかも考えていたのだなと思うと凄いなと思う。
少しずつだけどこの場所を、これからのために国へと成長させていくために私たちは前へと進んでいる。
今は、穏やかに過ごしていられているけれどこれから先にどんなふうにこの場所が変わっていくかも分からない。
その時のために、ガイアスと誓い合った――もう誰も失わない場所を作るために……ランさんは遺跡の場所も開拓していくことを考えているのだろう。
「私たちの村にはまだまだ人が少ないですが、それでも少しずつあの遺跡を開拓していくことも出来るでしょう。時間はかかるでしょうけれどあの遺跡の残っている部分をそのままに、少しずつ開拓していきたいものですね。
あとは私には分かりませんでしたが、あの場所には精霊の痕跡もあるそうなので……、もしかしたら生きている精霊も近くにいるのかもしれません。それかもし精霊が居なかったとしても精霊がいた名残ということで色んなものが残されている可能性があるのですよね。そのあたりも調べていきたいです」
魔法文明が栄えていた国だったというのならば、精霊たちも多くいたのだろうか?
それともその国が栄えた時にそこにいた精霊達はいなくなってしまったのだろうか?
遺跡に向かう時に確認出来たらいいな。
――少女と、女史の帰還 3
(神子の少女は、女史の話を聞きながら亡き国の精霊について思う)
捨て神子コミック2巻本日発売です。
購入特典などは、活動報告にあげます。




