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【連載版】双子の姉が神子として引き取られて、私は捨てられたけど多分私が神子である。  作者: 池中織奈


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少女の十二歳の誕生日 1

 ベッドの上で目を覚ます。

 暖かな体温を感じて横を見れば、ユインとルミハが潜り込んでいた。

 おお、ふかふか。両手で二人を触れば、何だか嬉しい気持ちになった。




 ベッドから起き上がった時、丁度、ユインとルミハも目を覚まして眠たそうにこちらを見ていた。




「ぐるるるる(朝?)」

「ぐるるるるるる(おはよう)」



 そんな声を掛けてくる二匹が可愛くて、座り込んだまま二人を撫でる。

 本当に可愛くて、嬉しい気持ちになる。



 朝から可愛い二匹と一緒に目覚められると何だか嬉しいよね。




「おはよう」


 窓の外から入ってくる光に良い天気だなと思う。

 二匹と一緒にベッドから降りてリビングへと向かう。ランさんはいない。まだ眠っているのだろうかと、部屋を覗けば、もういない。



 朝早くから出かけているのだろうか。



 そんな風に思いながら外に出れば、



「おはようございます。レルンダ。そしておめでとうございます」



 そんな風ににこやかに笑うランさんに迎えられた。



 なんかランさんもおめかししてる? いつもの研究者風のローブではなく、綺麗なドレスのようなものを着ている。

 どうしてそんな恰好をしているのだろうかと思っていたら、ランさんが続ける。



「レルンダ、気づいてなかったのですか、今日は貴方の誕生日ですよ」

「あ」



 ランさんにそう言われて、私はようやく気付く。

 そうか、今日は私の誕生日か。




「レルンダ、今日はおめかししましょうね。レルンダの誕生日ですから、皆で盛大に祝いましょう」



 ランさんはそう言いながら私の手を引く。



 わざわざ私の誕生日だからとランさんもおめかしをしているらしい。ランさんに連れていかれたのは、ゼシヒさんの家であった。ゼシヒさんの家に辿り着くと、女性陣たちが皆お着替えしていた。




「レルンダ、おはよう!」

「レルンダちゃん、おはよう」



 その中にはカユとシノミもいた。

 二人は私の姿を見つけると、すぐに声をかけてくる。






「おはよう。皆、おめかし?」

「そうよ。今日はレルンダの誕生日だし、折角だからおめかししようって皆で計画してたの!!

 こういう日じゃないと折角作ったこういう衣装着れないでしょ?」



 カユは私の問いかけに楽しそうに笑っていった。




 サッダさんがやってきて、お店を始めて――それで衣服などに関しても力を入れようとしていることは知っていた。

 この村では普段着以外の服は全然準備されていなかったけれど、サッダさんが普段着とはまた違う服を作っていたことも知っていた。


 けれど、いつ着るんだろ? と思っていた。

 今回、私の誕生日に合わせて皆、サッダさんの主導で作った普段着とは違うものを着ることになったらしい。

 パンツスタイルのものも多いのは、何か緊急時の事があった時にすぐに飛び出せるようにらしい。



 今日のカユとシノミは、いつもと雰囲気が違って、可愛いなって思う。



「ほら、レルンダも可愛くなりましょう!!」

「レルンダちゃん、可愛くしてもらおうね」



 二人にそう言われながら、私はゼシヒさんの前に座らされる。




 ゼシヒさんが皆の事をおめかししてあげているらしい。そういえばサッダさんから聞いた都会の話の中では、大きな街では人をおめかしするためだけの職業もあるって言っていた。

 そういう職業の役目を補っているのが、この村ではゼシヒさんなのだ。





「レルンダ、これに着替えましょうね」

「ひらひら」



 ゼシヒさんが満面の笑みで持ってきた洋服は、レースやお花の飾りが多くついている空色のドレスだった。

 


「これはレルンダが空の神の神子であるということなので、空色で作ってみたのです」



 空色なのにも意味があったらしい。

 私の大好きな澄んだ空。その色を身に纏えるかと思うとちょっと嬉しい。



 それにしても普段着とは違う皆を見ると、何だか別の場所に迷い込んでしまったかのような不思議な気持ちになってしまう。



 私もこの空色のドレスを身に纏ったら、違う自分に変身できるのだろうか?

 いつもと違う自分になるのかもしれない、と思うと不思議な気持ちだ。




 周りの皆を見ると、普段と違う格好をして、皆きゃっきゃっと楽しそうだ。



 可愛いや綺麗といった言葉を互いにいいあっていて、年配の人も同じようにおめかしをしていて、楽しい空間で私も楽しくなってくる。




 私はゼシヒさんにされるがままになり、その空色のドレスに着替える。





 髪も普段とは違って、ゼシヒさんがサイドでポニーテールにしてくれた。

 私は髪が長いから色々と髪型が変えれて楽しいとゼシヒさんが言っていた。




「あとこれもつけましょう」



 そう言いながらつけられたネックレスには、小さな石がついている。


「これは?」

「ビラーさんが折角のレルンダの誕生日ならと用意してくれたものよ。あのあたりは鉱石も取れるみたいなの」



 どうやらこれはビラーさんからのプレゼントであるらしい。

 あとでお礼を言わないと、そんな風に思いながら私はゼシヒさんたちにおめかしされるのであった。




 ――少女の十二歳の誕生日 1

 (神子な少女の十二歳のお祝いは、おめかしから)



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