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【連載版】双子の姉が神子として引き取られて、私は捨てられたけど多分私が神子である。  作者: 池中織奈


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少女と、二作目の絵本 1

 ニルシさんたちが戻ってきてから、しばらくが経つ。



 ニルシさんたち、探索に出かけていた人たちはゆっくりと休んでいる。しばらくの間は、何もせずに休んでいるようにという方針になっている。



 ニルシさんたちが持ち帰った話は、ランさんやドングさんたちが改めてまとめている。その話を考慮して、これからの事を話し合っているようだ。遺跡に行く話もこれから実現していくために、ランさんたちが決めていくことだろう。




 さて、これからの事への話し合いで忙しいはずのランさんだが、今、私の前で目を輝かせている。



 昼食の時間が終わって、のんびりしているとランさんとイルームさんがやってきたのだ。ランさんは一冊の本を手にしていた。

 なんだろう? と思っているとランさんがその本を私に差し出しながら口を開く。




「レルンダ、二作目の絵本を試作しました!」

「レルンダ様、もっと素晴らしいものにしましょう」


 神官のイルームさんも本当に張り切っている。

 一作目の絵本、『少女、レルンダ~お馬さんとの出会い~』は村中で広められている。イルームさんが読み聞かせをしているのもたまに見かける。ミッガ王国からやってきた人達にも広めているみたいだった。




 ランさんはこの村の様々な事に携わっていて忙しいだろうに、二作目の絵本作りを進めていたらしい。本当にランさんはやると決めたことに対しては全力で、いつ休んでいるのだと疑問視するほどに色々やっているように見える。

 ランさんから渡されたのは、絵本の試作品らしい。

 その試作品を私はドアネーアやグリフォンたち、シーフォ、フレネと一緒にのぞき込む。

 グリフォンたちの中の何匹かは狩りなどに出かけているからこの場にはいないけれど、今村に留まっている契約獣たちは絵本に群がっている。




「今回の表紙には、レイマーがいるんだね」

「ぐるるるるるるるう(私は? お母さんだけずるい)」

「ぐるぐるるるるぐるるう(僕も表紙が良かった)」



 今回の表紙はレイマーと私である。

 表紙に載っているレイマーは、金色だ。ということは私がレイマーと契約をするところまでは入るのかな?

 レマとルマは、自分も表紙が良かったと声をあげている。



「レマ、ルマ、貴方達は裏表紙にいるのですよ」

「「ぐる?(え?)」」



 ランさんはレマとルマの言葉を理解しているわけではないが、何となく何を言っているかというのが分かったらしく、そう口にする。

 その言葉にレマとルマは一瞬驚いたような声を出した。




 レマはわくわくしたように器用に本をひっくり返せば、確かに裏表紙に子グリフォン四体が書かれていた。

 



「ぐるるるるるうううう(私ものってる!! 嬉しい)」

「ぐるぐるぐるるる(僕達がのってる!!)」




 自分が裏表紙にいるからと、レマとルマは嬉しそうに声をあげている。

 裏表紙にいたからと喜んでいるレマとルマが可愛いなと思った。




 ランさんは喜んでいるレマとルマを撫でる。



「ひひひひひーん(今回はいないか)」

「ピキィイイイイイイ(我もいないぞ!!)」

「シーフォは中にはいると思うわ。ドアネーアはまだまだね。私もまだ出てないもの」



 シーフォ、ドアネーア、フレネがそんな感想を告げる。

 フレネやドアネーアが出るぐらいまで、絵本が出たら楽しいだろうなと思う。ちょっと恥ずかしい気持ちにもなるけど。



「私もいずれこの聖書に描かれることがあるのでしょうか。それはなんという幸福なことでしょうか。こんな風にレルンダ様の傍に仕えられるだけでも天にも昇る気持ちだというのに、聖書にまで――」

「イルームさん……。聖書ではないですからね? あくまで絵本ですからね? イルームさんには聖書のようなものかもしれませんが」


 イルームさんにとっては、この絵本が聖書のようなものという認識のようだ。聖書って、私はよく分からないけどそんな聖なる書って言われるようなものでは全くないのだけど……。

 ランさんの訂正も興奮しているイルームさんの耳には入っていないみたいだし。




「ひひひひひーん(中にはいるよね? 中よもうよ)」

「ピキィイイイイイイ(我こそ描くべきだろう)」



 はやく絵本の中身を読もうと言うシーフォと、自分の絵がないことに不服そうなドアネーア。

 ドアネーアが自分の絵は!! と言い張っているので、あとでドアネーアの絵を描いてもらおうかな。ビラーさんたちに言ったら、描いてくれそうな気もする。

 でもビラーさんたちにとってはドアネーアのことが神様だというなら、描くのは躊躇ったりするのかな?




 私は皆に囲まれながら、私は二作目の絵本、『少女、レルンダ~グリフォンとの出会い~』の表紙を捲った。




 ――少女と、二作目の絵本 1

 (神子な少女は、女史から二作目の絵本の試作品を見せられる)



 

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