少女と、神官と魔法剣士 3
イルームさんとシェハンさんのことを恋人にするお手伝いをすると決めたものの、どんな風にお手伝いしていけばいいのか分からない。
私は恋愛のお手伝いとかしたことがないから。
ランさんは「イルームさんのシェハンさんに対する好感度をあがるように会話するだけでも効果がありますよ」と言っていた。
イルームさんは私の事を信仰しているから、シェハンさんと仲良しというのだけでも好感度は上がるだろうって。
そんな簡単な事でいいのだろうかと思うけれど、余計なことをして邪魔をしたら大変だから、少しずつこなさないと。
それにしてもこうしてお手伝いをしようと思って、前よりもイルームさんとシェハンさんの傍にいるようになったら、シェハンさんってイルームさんの行く先行く先についていっているんだよね。
イルームさんはシェハンさんの事を嫌ってはないように見えるけれど、シェハンさんがイルームさんの活動の邪魔をしないからとついてくるのを拒否してないみたいだけど。
うーん、私が思っていたよりも一方的にシェハンさんがイルームさんの事を追いかけているような形なのかもしれない。
あと何というか、イルームさんって私に対する信仰の気持ちが強すぎて他に目が行かないのかもしれない。そう考えると研究が楽しいという気持ちが強すぎてそう言うことに目を向けないランさんと似ているのかもしれない。
「イルームってシェハンの事を意識とかしてないわね」
「うーん、そうだね」
今はフレネと一緒にイルームさんとシェハンさんの様子を覗き込んでいる。
つい少し前までグリフォンたちやシーフォもいたのだけど、人の恋路に興味がないのか去って行ってしまった。フレネは面白がってみているけど。
「もっと人の恋愛に詳しそうな人に聞いたりしてみた方がいいかもしれないわね。というか、シェハンはイルームと恋人になりたいとかいいながら何も普段と変わってないし」
「……恋人になるのって、何すればいいんだろうね?」
「さぁ? 精霊の私に人の恋愛事情なんて分からないわよ」
「だよねぇ……」
何というか、子供で恋愛とか分からない私とそもそも精霊でそういう感情が分からないフレネじゃ実際に何をどうすればいいのかというのが分からない。
誰か相談出来そうな人がいたら相談したほうがいいかな? ただランさんもそういうの興味がないらしいし、誰に相談したほうがいいんだろうか。
ドングさんとかに聞いてみる? 結婚している人とかに聞いてみたら分かるかもしれないし。ああ、でもシェハンさんの気持ちを下手に多くの人に伝えるわけにもいかない。シェハンさんは他の人に言わないでほしいって態度だったし。誰に聞こうかな。
というわけで悩んだ末、薬師のゼシヒさんの所へ向かった。
「シェハンさんがイルームさんにねぇ。シェハンさんがイルームさんに意識してもらいたいなら、あの恰好どうにかしたほうがいいんじゃない?」
「恰好?」
シェハンさんは魔法剣士で、鎧を身に纏っていてかっこいいなぁと思ってみているんだけど。
そのことに対して私は思う所は特にないのだけど……。
「好きになってもらいたいならもっと女の子らしい恰好をして、おしゃれに気を使ったりした方が意識してもらえるものよ」
「そうなの?」
「そうよ。レルンダも好きな人が出来たら教えてね」
ゼシヒさんはにこにこと笑ってそう言った。
「シェハンさんへの洋服を作りましょうか。女性らしい服装にして、髪も伸ばしてもらって女性らしくしたら、イルームさんだって意識してくれるかもしれないわね。そのあたりは考えなきゃいけないけど……。
あとシェハンさんは恋愛とか今までしてこなかったからなのかもしれないけれど、もう少しなんとかしようとすべきね。好きになってもらうための努力はやっぱりしたほうがいいわ」
「シェハンさんに似合う服を作るの? それ、楽しそう。シェハンさん、背が高いから色々似合いそう」
「そうね。作ってプレゼントしてみましょう」
というわけでシェハンさんへの服を作ることになった。ゼシヒさんが色々と人手も集めてくれるといっていた。
それにしても可愛い恰好をして、意識させるか。そういうことをしたりしながら、人は誰かと恋人になったりするのかな。
恋愛って分からないから、色んな人に聞いてみてどんなものか知りたいなとも思った。
その後、シェハンさんに服を作ることなどを話しに行ったら、そういう格好をほとんどしたことないのか「え」って顔をしていた。
フレネに「そういうのしないと難しいらしいわよ」って言われて渋々受け入れていた。でもそういう格好しなきゃいけないのが恥ずかしいのか、少しだけぶつくさいっていたけれど。
シェハンさんが可愛い恰好したら印象が変わるだろうから、ちょっと見るのが楽しみだ。
洋服作るの、一緒に頑張ろう。
――少女と、神官と魔法剣士 3
(神子な少女は、魔法剣士の恋のために洋服を作ることにする)




