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【連載版】双子の姉が神子として引き取られて、私は捨てられたけど多分私が神子である。  作者: 池中織奈


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少女と、神官と魔法剣士 1


「よしっ」


 私はその日、目を覚ましてから卵に魔力を込めてから一息をついた。

 ドウロェアンさんの元から帰って来てから数日、まだ翼を持つ者たちをどんなふうに受け入れていくか、彼らとどんな風に関わっていくかというのはランさんたちが話しあいを続けていることだ。


 私も意見は口にするけれど、最終的には大人たちの意見がまとめられて決まるだろう。


「ぐるぐるぐるるるっ(レルンダ、今日は何をするの?)」

「お手伝いするの」


 村では役割を分けていこうと働きが出来ているけれど、まだ私は何をやっていきたいのかっていうのが決められないので色んなお手伝いをしている。

 


 ダンドンガは解体の仕事を、リリドはランさんのお手伝いをしていて、他の子たちは戦いを学んでいたりする。

 私は……神子だからもっと違う立場にならないってランさんは言っていたからそのあたりもこの村がもっと大きくなっていくにつれて考えていかなければならないことだ。




 此処が村になって、それがもっと大きな街になって、国になる。

 ――そんな夢を私たちは見ている。





 ランさんは昨日夜更かししていたからか、まだ眠っているようなので寝かせておくことにする。

 ランさんはこの村のためにと一生懸命なのだ。




「レルンダ」

「あれ、シェハンさん?」



 私が子グリフォンを連れて外に出たら、シェハンさんに話しかけられた。



 シェハンさんは基本的にイルームさんの傍を離れることはない。なんだろう、いつもイルームさんの傍にいるのだ。



 そんなシェハンさんが単独でこちらにやってくるのは珍しいことだった。だから少しだけ不思議な気分になって、シェハンさんのことを見てしまう。



「レルンダ、少し聞きたいことがあるんだが……」



 森の魔物を狩ったりすることで村に貢献しているシェハンさんは、女性だけどかっこいいという言葉が似あうような人だ。

 とても強くて、真っ直ぐで、いつだって自信にあふれているような人だ。


 そんな人がただならぬ雰囲気でこちらにやってきたので、何か起こったのではないかと不安になる。

 ただ嫌な予感は全くしていないので、村全体の事ではなく問題ではなく、シェハンさんの問題なのかもしれない。



 でもシェハンさんが何かしらの悩みを抱えているにしても、それは私にするべき相談なんだろうか。もっと大人の人に相談するべきではないのか……と思いながらもシェハンさんを中に案内する。



「シェハンがこんな態度しているのも珍しいわね」


 フレネもそんなことを言いながら私の横を飛んでいる。



「それで、どうしたの?」

「……えっとだな」

「……私に言いにくいなら、ランさん起こす?」

「いや、それは必要ない。その、だな……」



 本当にこれだけ言うのをためらうことってなんだろうか。ドキドキしながらシェハンさんの事を私はじっと見る。



 椅子に腰かけてこちらを見るシェハンさんは、眉を下げていていつもの様子が嘘のようだ。



「……神官というのは、恋人とか作ってはいけないものなのか?」

「はい?」



 突然言われて、何を言われたのかが正直言って理解が出来なかった。

 神官が恋人を作ってはいけないのか? 私は正直言って一般的な常識を知っているわけではない。

 神官と言う立場は神に仕える立場ではあるけれど、実際はどうなんだろうか?


 というか、そもそも何でそんな質問をシェハンさんは私にするのだろうか。この村に居る神官なんてイルームさんだけだし、そもそもイルームさんのことだからこそシェハンさんはこんな風に私に聞きに来たんだと思うけれど……。



「……私、一般的な事が分からないから何とも言えない。何で、それ聞くの?」

「えっと……そのだな、イルームはレルンダに仕えている神官だろう。イルームにそういうのはどうなっているんだと聞いたら「レルンダ様の望むままに」って言ってたんだ」

「へぇー」


 ……基準、私なの? 誰を好きになったとしてもそれはその人の自由だし、私はイルームさんが恋をしようが、恋人を作ろうが別にいいんじゃないかなと思うのだけど……。


 私の頭の中は、自由にしたらいいんじゃないかと言う気持ちと結局シェハンさんは私に何を言おうとしているのだろうかという疑問でいっぱいだった。



 そんな私にフレネが言った。



「レルンダ、シェハンはイルームさんのことが恋愛的な意味で好きなんじゃない? 多分それで聞きに来たんだと思うけど」

「え」

「ちょ、フレネ様!!」


 フレネはシェハンさんに聞こえるように声を発していた。楽しそうなフレネの声を聞いて、シェハンさんが慌てたように声をあげた。

 よく見ればシェハンさんの顔が少し赤い気がする……って、ああ、そういうことかとようやく気付いた。

 シェハンさんって、恋愛的な意味でイルームさんのことが好きなのかと。



「シェハンさん、イルームさんのこと、好きなんだね」

「……あ、うぅ……」



 シェハンさんは私の言葉に顔を赤くしながらも頷いたのであった。




 ――少女と、神官と魔法剣士 1

 (神子な少女は、魔法剣士の訪問理由を知って笑った)




 

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