表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/457

少女と、グリフォン 1

 グリフォンの鳴き声と共に私は目を覚ます。


 馬さんにグリフォンの巣に連れてきてもらってから既に数日が経過していた。

 そうそう、馬さんも一緒にいる。馬さんとグリフォンは別の存在だろうに、何だか仲良くしている。目標を見つけるのが目標といいながら、私は今のところ何をしたいか、どう生きたいか、そういうのが思いつかなくて困っている。



 私は、多分、確証はないけど神子だろう。でも、神子だからって理由だけですべてが許されるというのもなんだかなと思う。私は生まれ育った村で疎まれて生きていたけれど、もし、姉ではなく私が神子だと露見したらお母さんとお父さんも態度を変えたのだろうか、などと考えると複雑な気持ちになったりもするから。



 朝起きてすぐ、私はまず顔を洗いに行く。グリフォンに乗せてもらって川までいって、顔を洗う。ついでに飲み水を採る。グリフォンの巣の中には、グリフォンたちが集めた小物とかが多くあって、その中に水筒もあったから綺麗にあらって使わせてもらっている。

 グリフォンたちはそのまま川に口をつけて水を飲んでいるため、子グリフォンたちには私が水筒を使っていると不思議そうな目で見られたものだ。



 それにしても、グリフォンなんていう村で生活をしていたらお目にかかることもない魔物とこうして仲良く過ごせるとは思っていなかった。

 神子かもしれない……と、そう思ったのはたまたま魔物に遭遇しなかったり、たまたま食べ物が手に入ったからで。それでいて馬さんが私に親切にしてくれたから。でも……魔物全てが私に友好的であるかというと、それは違う気がする。そもそも全ての生物が私に親切だというのならば、家族や村の人たちがああいう態度だった説明がつかないし。生物によるとか、色々あるのかもしれない。


 でも考えても正直よくわからない。

 私が神子として神殿に正式に引き取られていれば、歴代神子がどういう存在であったかとか分かったかもしれないけど。



 グリフォンの巣で、私が特に出来る仕事はない。

 グリフォンたちは狩りをして帰ってくるが、正直私には何か生物を狩るということが出来ない。そういうことを学んでもこなかったし。ただ、神子って、なんとなく聞いた話で凄い魔法を使ってたりするから、もしかしたら……とは思うけれど習ってもないものをすぐに使えるかというと使えないし。


 ちなみに食事はグリフォンさんが狩ってきたものを、火で焼いて食べたりしている。火は馬さんが出してくれた。本当に馬さん、何者?


「……グリフォン、さん」



 グリフォンたちに話しかける。グリフォンには私の言葉は通じているみたいで、声をかけると反応を示してくれる。

 それにしてもあまり話してこなかったから、喋るのは苦手だ。

 振り向いたグリフォンに、言葉を放つ。



「私も、仕事……欲しい」


 そういうと、グリフォンは少し考えるような仕草をして何かをいった。しかし、私の言葉はグリフォンに通じているようだけど、私はグリフォンがなんていっているか正直わからない。


「ぐるるぅ」

「……ごめん、わかんない」

「ぐる………」



 グリフォンがしょんぼりとした。ごめんなさい、でも本当に分からないの。

 グリフォンさんと言葉が交わせたら一番良いのだけど……。少しは仕草とかでわかるけど細かいことだと、鳴き声でなんていっているか判断するのは難しい。


 グリフォンたちの言葉、わかるようになりたいな、そう思ってしまった。


 グリフォンたちや馬さんにはお世話になっているから、何か返したいとは思うのだけど。私が、出来ることってなんだろう。私はまだ七歳で、神子だとは思うけれど何が出来るかさっぱり分からなくて、うん、役立たずな気がして少し凹んだ。



 落ち込んでいる私を馬さんがお散歩に連れていってくれた。

 ……うーん、馬さんとグリフォンたちが喜ぶことってなんだろう。あ、子グリフォンたちは私になでられると嬉しそうだから、ブラッシングしてあげたらよろこぶかな。などと、一つ思いついた。だけど一つの問題としてブラシがない。もしかしたらグリフォンが集めている物の中にあったりするかな。

 そう思いついた私は馬さんとの散歩から戻ったあと、ブラシを捜索した。見つかった。というか、一杯あった。もしかしてブラシ見つけると持ってくる習慣でもあるのだろうか。分からないけれど私がブラシを一度洗ってから、子グリフォンたちの前に出たらキラキラした目で迫ってきたので、ブラッシングして上げることは喜んでもらえるだろう。



「痛く、ない……?」


 グリフォンをブラッシングすることなど、もちろん初めてなのでそう問いかけながらブラシを通す。グリフォンのふさふさの毛皮はさわり心地が良い。気持ちよさそうに声をあげられるとこちらまで嬉しくなる。

 子グリフォンたちをブラッシングしたあとは、大人のグリフォンたちと馬さんも「やってほしい」という目で見ていたので数が多くて大変だったけれど全員分ブラッシングをした。

 全員のブラッシングを終えたあとは、何だか私は達成感に満ちていた。




 ―――少女と、グリフォン 1

 (多分、神子な少女はグリフォンとのんびり過ごしている)



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ