05.真神尚人の逃亡準備
今日も臭い。臭いが取れない。なんという悪魔的なものを作ってしまったのだろうか・・・。
異世界生活も3週目に入りそろそろ逃亡準備。
装備品や道具などは出発前に揃えるとしてやはり必要なのは身分証。ステータスブレスレットに代わる身分証が欲しいということで冒険者ギルドに登録することにした。もちろん電脳スキルでステータスは隠蔽済み。
簡単に登録でき、ステータスプレートも発行してもらえた。
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冒険者ギルド ランクE
名前 ナオト 17歳
種族 人間族
職業 平民
レベル 1
HP 100/100
MP 50/50
力 50
体 20
俊 20
魔 20
【スキル】
剣術 体術
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このプレートは女神の力で出来ており、レベルやステータスが上がれば内容も更新され、内容の改ざんや破壊不能。犯罪歴なども表示されるため身分証にも使えるということ。
あれ?改ざん出来ちゃってるんですけど(笑)
武器防具も必要かと城に戻り国に支給してもらったら質の引くそうな一式が届いた。はい鑑定。
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鉄の剣 銘無し 両刃直剣
精製度の低い鉄と未熟な職人製の品質の悪い鉄の剣
使い込むとすぐに折れる
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皮の鎧 銘無し
ホーンラビットの皮製
柔軟性が高く動きやすいが防御性耐久度は低い
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期待されてねぇ。
鎧は良いとして剣がなぁ。
剣は自作することに。どうせなら刀とか作っちゃうかな。
素材になりそうなものを適当にお願いしたら夜にはそろえてくれるということでMP温存のために場内をうろうろすることに。
「尚人君!昼間から城にいるなんて珍しいね!」
僕にこんなフレンドリーに話しかけてくる奴なんて一人しかいない
「よう美雪。今日は土に埋まらなくていいのか?」
美雪は顔を真っ赤にしていた。うん、訓練とは言え、あれは見られたくないね。
美雪と他愛もない会話をしていたら会話に入ってきた奴がいた。
「美雪、そんな奴はいいから早く狩りに行こうぜ。」
イケメンモテ男こと小池颯太だ。こっそり鑑定したらユニークスキルが『リーダーシップ』だった。リーダーになると恩恵とかそんなスキルなのかな?ユニークスキルの内容まではわからなかった。
「尚人君は私の大切な人なの!そんな奴言わないで!」
空気が変わった。やめてくれ。面倒くさい。
大芦家にお世話になっていた時から美雪が僕に好意を持っていてくれたことは知っている。だが美雪はモテる。しかも断れない性格からか男に期待を持たせる。そのせいか取り巻きから目の敵にされるんだよなぁ。
面倒だからあまりかかわらないようにしているが、向こうからトラブルと一緒にやってくるから困ったものだ。こっそり美雪のスキルを鑑定したら『聖女』となっていた。
美雪の周りには、小池の他にイケメンで正義感が強い遠藤勇大、委員長の小林国彦もいた。一緒にパーティを組んでいるらしい。
聖女様は逆ハーの姫ですね。美雪さん乙。
「僕は忙しいから美雪はさっさと狩りにいってきな。」
手で追い払うような動きをしながら不愛想に話を切り上げようとしたら美雪は怒っていた。
あと男共に睨まれた。
「この陰キャラが」と呟いたの聞こえてますよ小林委員長。
ちなみに、遠藤は『英雄願望』小林は『ジャッジメント』というスキルをもっいた。どんな性能か予想がつかないな。
なんとなく食堂に近づいたら、ちょい太め女子がこちらに走ってきた。
「マヨネーズ君!今日は何か新しいの作ってない?タルタルとかケチャップとかプリンとかプリンとかプリンとか!」
目が血走ってますよお嬢さん。
というか僕は真神尚人です。マヨネーズに改名した覚えはないんだが。
あとでたくさん作ってやるからとちょい太め女子改め激ぽっちゃり女子、大森詩子をなだめて食堂から逃げた。持ってるスキルは『暴飲暴食』だった。
これテンプレなら大罪スキルとかいってヤバいのじゃねーよな?幸せそうに飯を食う大森を見てそれはないなとなんとなく納得。
色々疲れてきた。街に出たり部屋に籠って物作りとかが一番楽だな。
さっさと部屋に戻ったら素材が届いていたので刀作りを始めることに。
コスト計算をしたら鉄鉱石からインゴットを生成するだけでMPが枯渇しそうだったので刀作りは翌日に持ち越し、インゴット作成とポーション類作成して枯渇からの爆睡。
鉄鉱石は、極限まで不純物を排除し炭素分の多い硬い銑鉄インゴットと炭素分の少ない柔らかい鋼鉄インゴットと何種類か用意した。
枯渇から開けて翌日。
街で旅に必要な諸々を購入。まとめて街門の近くに隠し隠蔽を施す。逃げ出すときに回収すればOKだ。
あとは夜に刀作りで枯渇睡眠したあと翌日の明け方に街から逃げすという算段をつけたところでソワソワしてきた。
もうこの国には戻るつもりはないので今まで寄り付かなかったところを覗いてみることにした。
奴隷商だ。
アルカディア王国は人間族至上主義の国だ。なので奴隷商で買える人間の奴隷は借金による奴隷で人権が保護されている。借金額によって奴隷の期間が決められていてそれが終われば解放される仕組みだ。奴隷側は労働により借金から解放され、奴隷を買う側は安い賃金で労働力が手に入る仕組みになっている。なんとなく日本の派遣を想像させる。
他に犯罪者奴隷もいる。犯罪者奴隷は一般に売買は出来ずに国の管理の施設で強制労働をさせられる。死ぬまでだ。死刑みたいなものだな。
例外は、獣人や亜人。
物のように扱われていた。胸糞悪い。
「勇者様には普通の奴隷はお売りできませんが、獣人や亜人ならお好きになさってださい。戦闘での盾や夜のお供などご自由に。」
奴隷商人は、ニヤニヤしながら説明してくる。
アホか。日本生まれの勇者に奴隷なんて嫌忌されるに決まっている。さらに獣人や亜人なんて更にだ。日本人舐めるな。
獣人や亜人は奴隷にするものではない。愛でるものだ!
奴隷商の奥から聞いたことがある声が聞こえてきたので覗いてみたらクラスメイトがいた。
下卑た顔をして獣人や亜人を物色していたのは、ヤンキーの堂島郁夫と取り巻きの3人、本能寺光夫、松永久幸、小早川秀史。
今すぐ裏切りそうな取り巻き達だ。
奴隷商人に聞くと顔の良い獣人や亜人を探しているらしい。
清々しいほどクズだな。
鑑定で見てみると、堂島は『暴力』本能寺は『金銭回収』松永は『他力本願』小早川は『厚顔無恥』
ユニークスキルまでクズだ。
今夜あたりに『童貞卒業』というスキルを習得しそうだな。
関わると面倒になりそうなのでそっと奴隷商から出た。
「真神君お待ちになって!」
城に戻ると金髪ドリル髪にコスプレみたいなゴスロリ服で純和風な顔した女に声をかけられた。誰だっけこいつ?
「私ですよ、わたくし、高円寺エリザベートですわ」
「ああ、房子か。」
鑑定したら高円寺房子と名前が出ていた。
こいつ黒髪おかっぱ頭の地味な奴じゃなかったっけ?
「房子じゃありませんわ。エリザベートですわ。エリィと呼んでくださいな。」
「で、何の用だ房子?」
「エリィィィですわ!」
一緒にドリルも逆立ってちょっと面白い。
「わたくしのスキル『豪華絢爛』によって髪も服も煌びやかになったのですわ。だから真神君に色々な装飾品や家具を作ってほしいの。それをわたくしのスキルで煌びやかにするのです。ほら殺風景なこのお城もヴェルサイユ宮殿ですわ!」
「房子、ちょっと病院行ってこい。」
ギャーギャー騒ぐドリルを無視して自室に逃げ込んだ。
なんだかどっと疲れた。
自分のステータスを鑑定したら称号が増えていた。
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マヨネーズ
アースガルドにマヨネーズを普及させた勇者
アースガルドのマヨラー達に神と崇められている
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なんだかさらにどっと疲れた。
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名前 真神尚人 17歳
種族 人間族
職業 勇者
レベル 1
HP 300/300
MP 440/440
力 100
体 80
俊 80
魔 150
【スキル】
万物創造 共通言語認識 電脳
剣術 体術
【称号】
異世界人 勇者 マヨネーズ
【装備】
皮の鎧
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他の生徒をチラホラだしてみました。
ダークファンタジーを書いていたつもりなんですけどあれ?