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会社一のイケメン王子は立派な独身貴族になりました。(平成ver.)  作者: 志野まつこ
第2章 おまけのコーナー <その後の二人>
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3、バレンタイン家飲み <前>

 前々回のお弁当箱ネタと時期が前後してしまいました。

 書いてすぐに更新するとやはり詰めが甘くなってしまいます。

 大変申し訳ございません。

 ぎりぎりセーフな流れだと思っているのですが・・・分かりにくければご意見いただけたらと思いまうす。

 もう少し大きい鍋が欲しいなぁ。


 深手のフライパンいっぱいにロールキャベツを並べて思う。

 大きい鍋だったら1日目はコンソメ、2日目はトマト風味にアレンジして二日分一気に作れるのに。

 今まで一人暮らしだったから大きな鍋は要らなかったけど、たろさんと2人分になると少し心許ない。 

 おでんとか、鍋物も作れるしなぁ。

 一気にいっぱい作って二日食べる方が効率が良いしなぁ。

 おでんって一人だと作る気にならないけど、二人で食べるなら急にアリになるのはなんでだろ。


 車も置けるようになったので、今日はちょっと手の込んだ料理でバレンタイン企画「おうちディナーごっこ」。

 ロールキャベツと、いつもよりちょっと具材の多い見目良いサラダと、パン屋さんでハード系のパンを何種類か買ってきた。

 冷凍している白ご飯も選択可能でございます。

 それからあっさり目のスープ。

 年齢的にね、あんまりこってり系ばかりはちょっと脂っこくて重たく感じちゃうようになったので。


 残ったパンとスープは明日の朝ご飯へ。

 近年稀に見る、見事な使い回しに自己満足がハンパないですよ。

 ベーコンエッグのサンドイッチにしよっと。

 朝から手作りサンドイッチ、と言えば響きはいいけど挟むだけで恐縮です。


 


 たろさんと話した結果、「やっぱビールは仕事の後の生が最高」と意見が一致したので、缶ビールはやめてスパークリングワインを用意。

 甘口のスパークリングワインは好きだけど、一人では飲みきれないから家では飲めないので嬉しい。

 って!!

 バレンタイン飲みなのになぜか譲ってもらってない!?

 今日はたろさんがお泊りしてくれるのでゆっくり飲めるのに、申し訳ない事をしたかもしれない。

 他にわたしが時々飲んでいる梅酒もあるけど、たろさんは日本酒とか洋酒の方が良かったのかも?

 後で聞いてみよう。

 あぁ、しまったなぁ。




「お邪魔します」

「お疲れ様でした」

 今日わたしは昼までの半日出勤、たろさんは出勤日の土曜だった。

 会社を出る時にメールをもらったので、もうすぐロールキャベツとスープが温め終わる。


「何したらいい?」

 シンクに向かってロールキャベツを盛りつけようとしていたら、背後からふんわりと包み込まれた。

 しかも、こめかみへのキスのおまけつき。


 こ、これは!

 色恋に関して多少ドライだという自覚があるわたしが、唯一憧れる「新婚さんシチュエーション」!

 帰って来た旦那さんが「ただいま」と言ってキッチンに立つ新妻に、の妄想。

 それが現実に自分の身に起ころうとは!

 こうもあっさり理想をかなえていただけるとは、思ってもいませんでしたっ。


 でもって「何かする事ある?」とかではなく、ご飯の支度をするのが前提なんですね。

 たろさん、出来過ぎで恐ろしいです。



◆―――――――◆―――――――◆―――――――◆―――――――◆



 着替えてから、キッチンに立つ堀ちゃんの背中にくっつくと腕の中で一瞬固まられた。


 あれ?

 もしかしてこういうべたべたしたのは嫌いだったか。

 えっと、ここは離れるべきか。


 そう思ったら。

 ゆっくりこちらを見上げた彼女はとても嬉しそうな顔をしていたので、思わずもう一度、今度はその唇へキスした。

 身長差があるから、上目遣いで見られる事が多い。

 あの目にはいつもやられてしまう。

 これ、どう考えたって不利過ぎるだろ。


「たろさん今日はお仕事だったんですから、座っててもらっていいですよ。すぐ出来ますし。でもお手伝いしたがりなたろさんは気になるでしょうから、お仕事を一つご用意しておきました」


 企んだような顔をして、コタツを振り返った。


「バンテージを巻いといてもらえると助かります」


 とても楽しそうに言ったその顔は、ニヤニヤ顔と言うにふさわしかった。

 悪い顔するなぁ。


「マジックテープがついてる方から、包帯を巻くみたいにくるくると最後まで巻かなきゃいけないんですよ。2本ありますので」

 ボクシングジムで使うのだという、それ。

 細くて白い、限りなく包帯に近い物。

 けれど包帯ではないとなぜか直感させる、得体の知れないそれ。

 それが部屋に入った時、コタツの上に山を作るように乗っていた。

 気付いていながら、なんとなくあえて聞いてなかったのだけれど。


 あぁ、うん。あれでしたか。

 知ってる。

 ボクサーが拳に巻いてるやつだよね。

 まさか彼女のうちでこういう体験をする事になろうとは思っていなかった。

 本当に、堀ちゃんといると面白い。


「使い終わると毎回巻いとかないと次の時に使えないんですよ。あ、今回のは洗濯してありますのでご心配なく。あの会社にいた頃は休憩時間に巻いてたんですけどねー」

「……すごい光景だったろうね」

 事務所配属の彼女とは休憩場所が違うので会う事はなかった。

 ちょっと見て見たかった気もするけど、彼女をあまり知らなかったあの頃に見ていたら受ける印象は今よりだいぶ違っただろう。

 見なくて正解だったかもしれない。


「さすがに今の会社じゃちょっとやりづらくて」

「まあ、確かにね。置いといてくれたら俺巻くから。会社ではしない方がいいかもね」

 毎週巻いてあげるのは無理かもしれないけど。そう思いつつ言ったら、冗談だと思ったらしく彼女は大笑いしていた。

 かなり本気だったんだけど。

 「実に愉快な人」という彼女の魅力の一つを、俺以外の人間に知られるのはとても癪なので。



 これまで「たろさん視点」の時は「堀ちゃん」呼びだったのですが、付き合い始めたのでたろさんが「彼女」と呼ぶ事が増えました。


 明記はしていませんでしたが本編が1月初旬からのお話だったので、完結してから「あれ!?恋人たちのビッグイベント、バレンタインをスルーしちゃった!?」と慌てました。

 カレンダーとにらめっこした結果、たろさんが出張から帰ってから1週間~10日後にバレンタインになる計算になり、ぎりぎり間に合いました。


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